291話
カイン王国、元マクシス王国そこにカール、ハリー、レミュウ、エミュウのカインの子供たち4人が話し合っていた。
「カールどうする、このままいくと貴族達が反乱するぞ。」
「わかっているよハリー。」
カイン王国は今大問題を抱えていた。
それは国の中枢に獣人がいる事が問題になっていた。今までの元マクシス王国は人間が支配者であった。アース大陸北部ではほぼ人間しかいなかったのである。ノースオリオン王国建国時に南部からの移住で少数であるが獣人がいるだけであった。
アース大陸も南部に近づくにつれて獣人が多くなっていくがこのカイン王国はアース大陸の北に位置している。ほとんど獣人がいなかった地域なのである。そこに獣人の者達が国の中枢に居座る事が元マクシス王国貴族には許せないようだ。
「カール、反乱者の後ろにいるやつらは分かったのか。」
「元マクシス王国の引退をさせられた貴族が先導しているようなんだ。」
「ああアレク叔父さんが、引退させた貴族当主たちか。」
「元々不満があって、領地を村2つに減らされて鬱憤がたまっているんだよ。それを言えないから獣人に不満をぶつけているんじゃないかな。」
「そうだろうな、そこしか言えるところがないんだろうね。」
「今の当主に一度通達を出して、ダメなら潰す。」
「あんたたち、父さんみたいな事はしたらダメよ。」
「な、なんだよレミュウ、俺たちは反乱の首謀者を潰すだけだぞ。」
「はー、いいカール、ハリー。今はねカイン王国の物凄く大事な時期なの、これからこの国が飛躍するのか衰退するのかは私たちにかかっているの。ここで無暗に内乱にしたら諸外国や国内から信用が無くなってしまうの。戦う事をしないで乗り切らないといけないのよ。いい分かった。」
「内乱にはさせないよ、素早く首謀者を捕らえて終わらせるよ。」
「出来るの。」
「レミュウとエミュウにも協力してもらえれば出来るよ。」
「どうするの。」
「今まで調べた限りではね、元当主たちの中でも6人の人たちが中心になっているんだ。その6人を捕らえてしまえば反乱する前に抑えられると思うんだよ。」
「反乱未遂で捕らえるのね。」
「そう、それとどうせなら反乱者たちに分からせないといけないと思うんだ。」
「どういう事。」
「不満を持っているのは主に元マクシス貴族達だよね、平民たちは生活が少し豊かになって不満は出ていないよね。」
「そうね、平民の人たちはむしろ喜んでいるわね。」
「そこでね平民の人たちの中から優秀な人たちを雇って官僚にしようと思うんだ。獣人だけが国を動かしている訳ではないとわからせるんだ。カイン王国は種族で差別しない事を広められるでしょう。」
「優秀だから働けると言う事ね。貴族でも優秀な者達は今でも働いているんだけど反乱者たちには見えていないみたいだけどね。」
「本当に父さんとアレク叔父さんが居なくなったとたんに不満を言うなんて、まぁ私たちの力が無いせいでしょうけど、面白くないわね。」
「ここで力、いいや能力を見せる事が出来ればこれからの国の運営がしやすくなるよ。ちょうどいい機会かもね。」
「それなら目立たないとね。」
「ねぇ、目立つことをするなら一度反乱をやらせたら、そこを私たち4人で抑えるの目立つわよ。」
「エ、エミュウ過激だな。」
「ハリーに言われたくないわ。」
「カールどう。」
「んーーーー。反乱する者達を一か所か二か所に集められれば行けると思うけどそんなことできないでしょう。」
「そうね至る所で反乱されたらまた国が荒れるもんね。」
「やっぱり事前に拘束が一番でしょう。」
4人は色々と考えたが妙案は出てこなかった。それでも反乱の首謀者や関連事項を調べていくと反乱者たちは王都で集結する事が分かった。反乱者たちは態々一か所に集まって王都を攻略する計画になっていた。
その事を知ったカール達は反乱者たちが集結するまで放置することになった。その間に平民からの登用や公共事業の拡大、商業の自由化などの政策を打ち出し国民の支持を集めていった。
反乱者たちは逆に人集めが厳しくなっていった。元貴族当主がいくら元領地の平民たちに訴えても元領民たちは乗ってこなかったのである。
それはそうだろう。今のカイン王国は民に対して不満になるようなことなどしていない。民に良い事しかしていないのだ。
反乱者たちの元に集まったのは元マクシス貴族の者達だけであった。平民も一部いるが元は貴族家に仕えていた者達である。完全な平民ではないために今のこの状況が許せないのだ。一般の平民たちは生活が向上しているが、この者達は生活が以前よりも下がってしまっている。貴族の保護の元、いい生活をしていたのだ。
それでも勢力として3000にもなっていた。一地方などを攻略するのなら簡単に出来る勢力になっていた。だが集まったのが元貴族、貴族、元平民の家臣と軍としては言えない者であった。
各勢力が集合しているだけの勢力であったために協力というより誰がトップになるかでもめているような状況である。
この3000人の勢力は1000と2000に分かれて王都に進軍することになった。仲間割れが起こり二つに分かれたのである。
反乱軍は王都まで半日の距離まで近づいていた。カール達は王都の民に布告を出し壊滅する事を宣伝していた。王都の民たちは兵として志願してくる者が多くいたがカール達はすべて断っていた。カール達は4人だけで反乱軍を抑える事にしていたのだ。カイン王国の獣人達は参加させろとうるさかったがカールが俺たちの力を示す場所だと言い張り今回だけと約束をさせられて納得してくれた。
「カール、反乱軍が二つに分かれたんだから、俺たちも別々に行動しないとまずいだろう。」
「いいやどうせ王都に向かっているんだから同じでしょう。ここに来るんだから先に着いた方を殲滅してからで大丈夫だよ。」
「同時に着いたらどうすんだよ。」
「その場合は俺が抑えるよ。」
「それはないだろう、俺がやるよ。」
「いい加減にしなさい、その時は二人で行きなさい。私たちも居るんだから大丈夫よ。ねエミュウ。」
「大丈夫よ。」
カイン王国王都ではお祭りのようになっていた。王都の民たちは最初は混乱していたが獣人や官僚などの国を動かしている者達が普通に生活している為に混乱が収まってきたのだ。宣伝の効果もあった。反乱軍に4人で対応すると宣伝していたために4人で勝てるのかという不安があったが国の者達は問題なしというだけだった。
王都の民たちも自然と問題なしと思うようになっていった。それと王都の防壁の上に見学席まで作っている始末であった。戦いを王都の民の娯楽として見せる事により、カール達の強さを見せつける狙いがあった。
そして王都の目前に1000の反乱軍が到着したのである。