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287話

イード王国は今混乱の中にあった。

イード王国の貴族同士が殺し合いをしているのだ。もう敵も味方も無くなっている。


「いやー、大誤算です。」

「馬鹿者ーー、誤算で済む事か。」

「父上申し訳ありません。」

「アレク、お前が責任をもって終息させろいいな。」

「はい分かりました。」

「しかし、イード王国の貴族達があれほど浅はかな者達とはな。」



イード王国貴族達は裏切りすることで生き残ろうとしたが。まさか貴族達全員が裏切るとはさすがのアレクも予想できていなかった。全貴族が裏切れば争いもなく終息すると思うだろうが、貴族の理論ではそうはいかなかった。貴族達は功績が必要だったのだ。裏切っただけでは次の王国貴族としての地位を考えたときに足りないと思ったのである。その考えが、イード王国貴族のほとんどの者がそう思ったことがイード王国の混乱に拍車をかけてしまった。


イード王国の貴族達が王国を裏切ったのには王が原因であった。元々イード王国は貴族の代表のような存在が王であった。ところが現在の王は王の権威を高めるためにイード王国の力のあった貴族を罠にはめて取り潰したのである。イード王国を支える公爵家3家の内2家を潰したのである。

貴族達はこれにより王家に何も言えなくなった。難癖を付けられて取り潰しにあってはたまらないと。王家に対して何も言わなくなったのである。そんな独裁が続いている時に今回のオリオン王国からの寝返りの打診と領地安堵の約束であった。


イードの貴族達はイード王国が負ける事は分かっていた。何しろ隣国での事はすぐに伝わってくる。今までの噂もある。

そしてイード王を打診前から見限っていたことが貴族達の裏切りを加速させた。

この混乱でイード王国の騎士団も独自の行動に出ていた。王を殺して騎士団長が独自の勢力を作っていた。王都を中心とした勢力で、イード王国の中では一番の軍事力を持つ勢力となっていた。

イード王国の貴族達もこの王都には手を出すことは出来なかった。


アレクはまずイード王国内、王都以外の平定を行った。イード王国内の貴族達は、アレクが来るとすぐに大人しくなり貴族同士の争いは急速に鎮静化していった。

イード王国内の鎮静化を行なったアレクは王都へ向かう事にした。王都ではイード王国の騎士団が王都を掌握している為にイードの民たちは王都への出入りが出来ない状態になっていた、騎士団は王都から民を出さないようにしていたのである。

これは王都での経済活動が出来ないことを示していた。王都も民たちはその日の食料もない状態に陥っていた。騎士団の武力による王都制圧で王都の機能は麻痺状態となっていた。騎士団は全く政治力がなく何もしなかったのである。


アレクは王都が見える位置まで来ていたが王都を攻撃することをすなかった。そばで待機をさせ王都を眺めていた。


「アレク、いつ攻めるんだよ。」

「カイン兄、もうすぐですよ。」

「アレク、イードの王はもう殺されているんだろう。その騎士団長を殺せば終わるんだからさっさとやろうぜ。」

「カイン兄、そんなに単純ではないんですよ。」

「んー、どうしてだ。敵がいて親玉がいるんだから殺して終わりだろう。」

「それがおかしいんですよ、まったく統治能力のない騎士団長が王都を掌握しているんです。おかしいでしょう。」

「そうか誰かが騎士団長を操っているというわけか。」

「そうです、多分もうすぐ交渉人が来るでしょう。」


翌日イード王都より騎士二人と王族一人がアレクの元を訪れていた。


「私はイード王国第2王子である、レイモンド・イードと申します。アレクス王にお会いできて光栄です。」

さわやかさを感じさせるその青年は堂々としていた。

「初めまして、アレクス・オリオンです。今回は戦いの前の挨拶ですか。」

「いえいえ、戦うつもりはありません。」

「降伏すると言う事ですか。」

「降伏します。ですが少し条件があります。」

「どのような条件でしょうか。」


このイード王国の第二王子は王の使者であった。騎士団が王都を占領したのは王の指示であった。イード王は貴族達が裏切ったことを知った時に、王都にも貴族達が押し寄せてくると考え騎士団が王都を占領したことにして偽王を処刑させたのである。

騎士団に統治能力がない事は分かっている。民は不満を募らせる。そこに王族が王都を統治しなおせば民は従うと考えたのである。

オリオン王国に対しても戦わずに降伏して貴族として生き残る道を探していたようだ。

アレクはこのイード王の姑息なやり方が気に入らなかった。


「ではイード王派生きていると言う事ですか。」

「そうです王は生きています。」

「それは困りましたね。」

「そんな王など要りません。民を犠牲に自分だけが生き残ろうなどと王の資格がありません。」

「で、ですがイード王国は由緒ある家柄です。」

「それが如何したのです。由緒ある家など沢山ありますよ。」

「・・・・・・・・」

「まだ下手な小細工などせずに降伏したほうがよかったのではないですか。」

「あなた達は馬鹿なのですか、王都を貴族達から守るためと言って、実は自分たちの安全の為だとは情けない。それでも王族ですか。」

「・・・・」

「お帰り下さい。今回は使者としてきていますから殺すような事はしません。ですが次に会った時には殺しますよ。」


第二王子と騎士は王都へ帰っていった。


「アレク、もういいじゃないか早く攻めようぜ。」

「そうですね、明日王都を落としましょう。」


翌朝、アレク達が王都の攻撃準部をしていると、王都内から騎士や兵たちが王都の門から出てきたのである。その数15000もの数であった。騎士は3000人程度であるが後の12000は王都内で徴兵された者のようだ、粗末な武器を持ち怯えた表情をしている。


「カイン兄王都内で戦闘しなくて済みそうだね。」

「そうだな、でも皆殺しできないだろう。徴兵されているんだろう。そいつらは殺したらまずいだろう。」

「カイン兄そこまで気にしていられませんよ。敵は敵ですから、一応その者達は釘を刺しておきましょう。」

そういうとアレクは敵軍の前まで出ていった。


「イード王国の兵たちに伝える。私はアレクス・オリオンだ。今からお前たちを殲滅するが、強制的に兵として連れてこられた者は助けよう。武器を下におろしその場所から動くな。動いた者は殺す。では戦闘を始めようか。」



アレクは一人で敵に向かい歩いていく。



その後ろからカインが追いかけてきていた。

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