283話
アレクとカインは二人でノースオリオン王国へ来ていた、なぜか晴れ晴れとした顔をしているのは気のせいであろう。
「レオン兄、話があるんだ。」
「何だカイン、突然に俺は物凄く忙しい。後にしてくれ。」
「そう言わないでください、レオン兄にもいい話ですから。」
「余計に聞きたくないな、お前たち二人が来ていい話など一度もなかった。」
「あー、そんなことないぞ、俺たちが来たってことは戦いがあるってことじゃないか、戦えるのはいい話だよなーアレク。」
「・・・・まぁ見方によってはいい話でしょう、軍人とかにはいい話になりますね。」
「・・・・聞きたくない。か、え、れ。」
「もう遅いですよレオン兄、次の戦いは始まっています。」
「・・・・・・・」
「お前たちが来ると戦争が拡大していく、俺はお前たちに応援を頼んだことを後悔している。」
「心配ありません、大した戦争ではありません。イスパスが分裂する話は聞いていますか。」
「ああ聞いている、確定なのか。」
「ほぼ間違いなく分裂しますね。」
「せっかくハルノール王国を滅ぼしたのにまた戦か。」
「それでですね、多分ですがカイン王国に支援の申し込みが第一、第二王子から来ます。ノースオリオン王国には第三王子から支援要請が来ると思います。どうします、うちと戦争しますか。」
「フン、馬鹿なことは言うな。そんなことするか。」
「ですよねー、そこでイスパス王国とイード王国をノースオリオン王国にしましょう。」
「・・・・・・・・いらないし。やらない。ノースオリオン王国はもう十分な国土がある。これ以上国を広げても意味がない。静観する。」
「そんなことは言わないでください。今回は貴族も殺しませんし、死者も少なくする予定です。」
「そんなこと信じられるか。マクシス王国の貴族の大半を殺しているんだぞ。」
「いやーあれは民を肉壁にしていた者ですから、懲らしめてやりました。少しやり過ぎましたね。アハハ。」
「・・・・・・」
「そうだぞアレク、やり過ぎだぞ。俺を見習え、自重を知っているのはこのカインだけだな。」
「・・・・・・・・・カインお前本気で言っているのか。」
「当たり前だろう、レオン兄。」
「お前が一番ダメだな。」
「レオン兄、イスパス王国はもう限界を超えています。王子たちの内戦が長引いているせいで暮らしが成り立っていません、農地は荒らされ食べる物のない状態です。ここは北部の雄であるノースオリオン王国がでて納めてもらわないといけません。」
「お前らがやればいいだろう。うちはやらんぞ。」
「レイン兄、港が欲しいんでしょう。」
「・・・・・・・・・」
「イスパス王国にもイード王国にも港があります。国の繁栄は港にあります。ノースオリオン王国が1000年続く様に国の礎を築いていかなければなりません。そこで今回の戦です。ノースオリオン王国100年の念願が叶うのです、交易港を手に入れるのです。」
「アレク、ノースオリオン王国はまだ建国して10数年だぞ。」
「・・・・まぁ言葉のあやというやつですよ。」
「まぁいい、だがイスパス王国だけでいいだろう。イード王国は相手にしなくていいのではないか。」
「そうなんですけど、いずれイード王国は敵対しますからついでに潰してしまおうと思っています。」
「・・・・・アレクについでに潰される国はたまったもんじゃないな。」
「そうだぞ、アレクついでに潰すなんて失礼だぞ。やるなら思いっきりやらないとな。」
「カイン、お前が思いっきりやったら国が滅ぶんじゃなくて消えてしまうからやめろ。」
「消えないだろう。更地になるだけだ。土地は残るぞ。」
「・・・・・・こいつらダメだ。」
「いいかお前ら、今は待機だ。絶対に何もするな。兄貴と父上を呼ぶまで何もするな、いいな。」
「えー、父上は必要ないでしょう。」
「そうだそうだ、父上は余生を過ごすと言っていた。あの世でゆっくり過ごしてもらおう。」
「カイン兄まだ父上は生きています。言いつけますよ。」
「アレク、今のは内緒で頼む。」
「・・・・お前たちは俺では手に負えん、待機だ、いいな。」
レオンはオリオン王国に連絡を入れた。ルドルフとハロルドに大至急ノースオリオン王国まで来てもらう事になった。
数日後ハロルドとルドルフはノースオリオン王国にきていた。
「アレク、カインお前たちはいつも戦争を拡大させることをするな。」
「父上、そんなことはありませんよ。」
「戦争をなくすように努力しています。」
「どの口が言うのか、全く信じられない言葉だな。」
「・・・・・」
「まぁ良い、それで今回のイスパス王国の分裂の事だな。」
「はいそうです、うちとしてはどう動くのかを悩んでいます。」
「イスパス王国を滅ぼせ。」
「えっ、父上本気で言っていますか。」
「レオン、イスパス王国は内乱が続き民の事を全く考えていない。分裂しても争いはまた起こるだろう。王家の意味がない。王は国、民の為に働いているからこそ王として認められるのだ。民の事を考えずに王位に着こうなどという者など要らん。このままならもっと多くの血が流れる。それならアレクとカインに王子とその周辺を始末してもらった方がいい。アレクなるべく血を流さずに始末をつけられるか。」
「出来ます。まとめて始末します。」
「そうかカインも頼むぞ。」
「父上、すぐこんな奴ら潰してやる。」
「あまりやりすぎるなよ。」
「父上、イード王国はどうしますか。」
「イード王国かルドルフはどう思う。」
「そうですね、イード王国は今回のイスパス王国の第三王子への支援でかなり疲弊しています。内戦が長引いたことが原因ですが、イード王国内でも不満が募っているでしょう。不満は爆発してからでは手遅れになるのではないでしょうか。イード王国も一緒に潰しましょう。」
「父上も兄貴もどうしてしまったんだ。今まで戦争を促進したことなどなかっただろう。」
「レオン。俺は今でも戦争なんて嫌いだし、やりたくもない。でもなアース大陸を平定出来るのはアレクとカインがいる今しかないんだ。血は流れる、だけどそれを最小限度に抑えて平和な時を創るんだ。俺はタンドラ大陸を見て思ったんだよ。一度武力で抑えないといけないってな。国も民も強い者に従う。その後はきちんとしたシステムを作り運営していけばいい。グラムット帝国、ローエム帝国も力はある、だが大陸全体を平定出来るほどの力はない。父上とも話をした。一度アース大陸をすべて支配下に置く。」
「父上、兄貴の言うことは本当ですか。」
「レオン本当だ。私の代では無理かもしれぬがルドルフの代までにはアース大陸をすべて平定する。何もすべての国を滅ぼす事はない。ローエム帝国などは共同で平定していくつもりだ。」
「分かりました。ノースオリオン王国も協力します。」
「それでは作戦会議と行きましょうか。」
「アレク、何か嬉しそうだな。」
「カイン兄の方が嬉しそうにしていますよ。」
ハロルドは一瞬だが選択を間違ったかと思ってしまった。




