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282話

「カイン兄、この国の王をやってくれ」

「やだ。」

「カイン兄この国はカイン兄のような人を必要としているんだ。何しろ不正の温床のような国だから、カイン兄ならそんな事許さないでしょ。」

「アレクでも同じだろう。」

「カイン兄は大事な事を忘れているよ。」

「なんだよ教えろよ。」

「このアース大陸の北部は又戦争が起きるよ。ここに国があればカイン兄は戦えるよ。」

「やる。俺は王をやるぞ。世の為人の為に働かないとな。」


こうして新しい国の王は決まった。だがこの国の貴族はほとんど居なくなり役人も少ない、アレクはこれでカイン兄に任せれば問題なしと思い帰ろうとしていた。少し考えが甘かった、カインの方が上手であった。カインは王に成ると承諾をした。だがカインはアレクに、俺が王をやるからこの国を立て直すまで手伝ってくれと頼んだ。アレクは断ろうとしたが、処刑をアレクが行ったのだから道筋がつくまでは関わらなければいけないとカインに言われてしまった。

逃げれない事を悟ったアレクは、それなら徹底的にやろうと思い直し、取り組むことにしたのである。


まずアレクは取り組んだことは領地変えである。元マクシス王国に残っている貴族は、少ないまともな領主もいるがかなりの少数だ。ほとんどの貴族は村二つとなってしまっている。アレクはもの凄く悔やんでいた。何故あんな事を言ってしまったのか後悔していた。アレクが後悔してもこの国にしてみれば将来的には良い事である。村二つとされた貴族にやり直すきっかけを作ったのである。真面目にやれば3年後に戻れるかもしれないと思う貴族達は必死で仕事をするだろう。

だが今は統治する人が居ない、元マクシス王国の必要としている貴族の数は最低でも300人は必要であった。出来れば500人はほしい所である。これは領主だけではなく、官僚の長としても貴族でないと外国などに対して相手にされないからである。内政も同じであるために領主を200人、法衣貴族を最低100人必要としていた。


最低300人、どうするか悩んだアレクはカイン兄の獣王国から人を連れてくることにしたが、ここで問題が起きてしまった。獣王国の人々が嫌がったのである。理由は寒いから。

アレクは言葉が出なかった。そんな理由で断られるとは思っていなかったのだ。カインも苦笑いをしていた。

獣人達は寒さに弱い、特に猫系は寒さを嫌っている。犬系を中心に獣人達を少数だが移動させることに成功したがまだまだ人が足りない。次に行ったのがノースオリオン王国からの登用であったがこれも上手くいかなかった。レオンが許可しなかったのであった。理由はノースオリオン王国も貴族が足りなくなっていたからである。ハルノール王国との戦争に勝利したことでハルノール王国がノースオリオン王国となるために貴族が大量に必要となったからである。

アレクはノースオリオン王国からの登用は諦めた、次に目を付けたのがローエム帝国とオリオン王国にある貴族が通っている学校である。卒業予定の者達を集めアレクは貴族当主になれると演説をした。これは大成功を収めたが、教養はあるが経験がない素人たちである。そこでアレクはSE銀行とリア銀に応援を頼んだ。新領主を指導してもらうためだ。

今やリア銀とSEオリオン銀行は超巨大企業となっていた。アース大陸の南部は全ての国に支店があり、タンドラ大陸にも全土に支店を置いている。アース大陸北部にはまだノースオリオン王国とローエム帝国の周辺だけにしか支店がない。ここでこのカインの国で大きな足掛かりができれば又大きく飛躍できるとあって、SE銀行とリア銀は大量に人を送り込んで来た。アレクはこの銀行員たちの一部の人達を3年契約で借りたのだった。国の運営を任せるために3年というサイクルにしたので有る。これが人材派遣の始まりになった。優秀な人達に国の運営をやらせる、もちろん重要な物事はカインなどが決定する。

ある意味、平民が国の中枢で国政に関わった初めてのケースになった。

仮称カイン王国は平民を中心とした国に生まれ変わっていく。領主などはいるが、以前のマクシス王国のような絶対の権限は無くなっていた。税も安くなり、商売も自由に出来るようになった。隣国であるイスパス王国がまだ内乱によって混乱している為に、交易や商売の拠点をこのカイン王国へと移す商会などが多く、カイン王国の港なども拡張する計画まで上がっている。



ノースオリオン王国がハルノール王国との戦争でハルノール王国を併合したことで、一気に経済圏が広がりを見せて人材不足は解決しなかった。人材不足を補うためにアレクは機人の活用をしていた。兵もいないために木人も大量に投入していた。今のカイン王国の兵はほぼ木人で占められている。仕官が人で兵は木人となっている。

それでもやはり人は必要で、ノースオリオン王国との人材確保の取り合いが続いた。



「カイン兄、イスパス王国が分裂するかもしれない。」

「アレク、どういうことだ。」

「第3王子の勢力が優勢だったんだけど、ここにきて第一、第二王子が手を組んだんだ。そこに貴族達も加わって第三王子勢力に対抗している。双方、主に国の全土を納める力はないようだけど、分割して国を治める事になるようだね。内々で話を進めているようなんだ。」

「まぁ内乱が終わるのはいい事じゃないか。」

「そうでもないんだよ、カイン王国は側に第一、第二王子の勢力の国が出来そうなんだ。」「第一と第二が内乱を起こすというわけか。」

「そうなると思うよ。元々争っていた者同士だからね。負けそうになって手を組んだけどいったん落ち着いたらまた始めるだろうね。」

「そうか俺たちはどうするんだ。」

「レオン兄と一度話し合いを持とうと思う。ノースオリオン王国とカイン王国が戦ったらシャレにならないからね。」

「そうだよな、レオン兄の所で話をしないとな。」

「それとカイン兄の子たちも国政に関わる仕事をさせてみたら、獣王国は良く言えば国が一体になっている、けど別方向から見たら完全な独裁国家だからね。でもここは獣王国のやり方で国の運営をやっていないからいい勉強になると思うよ。」

「そうだな、こっちに呼んでやらせてみるか。」

「そうだよ、カイン兄、そうすれば俺たちはもう少し自由に動けるようになるよ。」

「そ、そうだな。子供たちの勉強の為だもんな。すぐに手配するぞ。」


こうして生贄、ではなくカインの子供たちは勉強の為にカイン王国の国政を任されることとなった。

リア銀とSE銀国の契約役人を補佐にカインの子供たちは父親から頼りにされた事が嬉しいようでみんな張り切っていた。



アレクとカインはノースオリオン王国へと逃げていった。いや交渉に行った。



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