281話
マクシス王国王城
いまアレクの前にマクシス王国貴族の生き残った者達が集められていた。
アレクは各地の貴族達に城に登城するように伝えていた。
貴族達は当主又は当主代理の者が来ていた。戦争により多くの貴族当主が戦死している為に代理の者が多く来ていた。
「よく集まってくれた。」
「マクシス王国は先日滅亡となった。今はもう存在していない、そのために諸君らの貴族位は消滅している、諸君らは元マクシス王国貴族となる。この元マクシス王国には新しい国を建国する事となっている為に諸君らには速やかに領地の明け渡しと新国に残るか出ていくかを選択してもらいたい。」
「ア、アレクス王、宜しいでしょうか。」
「お前は誰だ、。」
「私はマクシス王国の侯爵であります。デメリック・ソレインです。」
「そのソレインとやらは私に何を聞きたい。」
「はい、マクシスの貴族を全て追い出すのは少しやり過ぎではと思います。国の内情にも詳しいものなどは残すべきかと思います。」
「そうか、だがお前は要らんな。」スパーーッ。
アレクはソレインという男の首を斬り落とした。
「お前たちは少し勘違いをしているようだな。今この場所にいる者は必要のない者達だ。いいかよく聞け、新しい国に残りたいのであれば平民として残る事を許す。その家の財産は持ち出しを許す。国を出ていくのであれば持ち出しも許可しよう。」
「・・・・・・・・こ、殺されるのは嫌ですが。一つ質問を宜しいでしょうか。」
「いいぞ申してみよ。」
「私たちに貴族として生き残る道は無いのでしょうか。」
「ないな。お前たちの事は調査した。国の税を誤魔化し、平民からは多くの税を獲ってきたと調査で分かった。今ここにいる者はそのような者達である。もし間違いであるのならば証明してみよ、それがなされれば貴族として残してやる。」
「わ、分かりました。」
「証明するつもりか。」
「はい、出来る限り証明いたします。私は先代が戦死したために今は代理です。それで爵位を取り上げられて、はいそうですかとはいきません。」
「ほう、貴様名は何という。」
「アールト・アルケイと申します。」
「アルケイ元子爵か、先代と申したがお前はアルケイの領地を見ているのか。」
「はい見ております。かなり疲弊した状態です。」
「お前なら今の領地をどうする。」
「アルケイ領は農耕地しかありません。人口も少なく大した産業もありません。そして先代は民に重税をかけて苦しめてきました。そして今回の戦争でまた税をかけたと聞きました。正直に言ってもうあの領地は反乱直前でしょう。」
「そこまで分かっているのか。いやかなり優秀だな。で私の質問の答えはどうなのだ。」
「私なら我が家の資産を出し、農作物作りをします。もちろん領民の税は3年は取りません。家の資産から国へ治める税を出します。」
「アルケル、農地改革などを実行出来るか。」
「やらなければ家も領地もこの国のように滅びます。何卒私に機会をお与えください。」
「いいだろう、チャンスをやろう。だが結果が出せなかったときは今よりひどい状況になるがよいのか。」
「はい、覚悟しています。」
「いいだろう。アルケルには褒美として3年の猶予をやろう。」
「はいありがとうございます。」
「そうなると今来ている者達にもチャンスをやらんと不公平になるな。」
「「「「お願いいたします。」」」」
「この中で、貴族当主の者はダメだ。もし機会を得たいのであれば引退して当主を譲れ、そうすれば3年の猶予をやろう。そこで実績を残せば貴族として生きていくことを許そう。」
アレクのこの言葉に貴族当主たちは反感を持っていたが何か言葉を発すれば殺されると思い何も言えないでいた。
「では臨時の措置としてお前たちには村を二つずつ与えるそこで実績を残せ。それまでは処分を保留とする。」
アレクは次に集まっている貴族達の場所に向かう。その場所には元マクシス王国での法衣貴族や官僚たちが集められていた。マクシス王国での内政や外交を行っていた者達である。
「お前たちは、なぜここに呼ばれたか分かるか。」
「わ、私たちは国の為に働いてきました。出来ましたらこれからも国の為に働きたく思います。」
「お前は今までどのような仕事をしていた。」
「私は外交官をしておりました。」
「外交か、どの国を担当していたのだ。」
「はい、イスパス王国と担当していますた。」
「お前、それはダメだろうマクシスとイスパス王国との戦争を起こした者では無いか。」
「・・・・・・・」
「よいかよく聞け、此処に居る者は、何かしらの国へ対して不正行為あるいは無能者、又は戦争責任を負う者達だ。本来であれば公開処刑をするところであるが王族たちが責任を取り処刑となっている。
お前たちは王族に命を助けられているのだ。その命を大切にするのだな。」
「そ、それは感謝しております。」
「お前たちの財産は残そう。後は好きにするがよい。新しい国で働きたい者は後日採用試験を行う。だが受かるかどうかは分からんぞ。」
この国は不正が当たり前の社会になっている。増税に次ぐ増税で民は疲弊している。暴動の一歩手前の状態になっている。今は各地に物資の支援を出している。食料が手に入れば落ち着いてくるであろう。アレクは又貴族が足りなくなると悩んでいた。マクシス王国の貴族をそのまま使う事は出来ない。新しい国とするためには一新する必要があった。
アレクは王を誰にするのかが一番の悩みであった。アレクは国を滅ぼすつもりはなかった。王都で民を肉の盾にしなければマクシス王国は生き残ったのである。怒ったアレクが王などを殺してしまったことで国を残すと言う選択が出来なくなってしまった。
「カイン兄、相談なんだけど。誰かこの国で王をやれる人にいないかな。」
「アレク、知らないぞー。」
「・・・・・もう少し真面目に考えてよ。」
「でもこのマクシス王国はかなり国土が広いぞ。それに隣国との対応も出来ないといけないだろう。いないな。」
「軍事の才能が有って、国の運営も出来ないとまずいしな。誰かいないかな。」
アレクは今まで会った事のある人物を一人一人思い出していく。思い当たるのは軍事の才能と実力ではリック、政治の実力者はテルセである。テルセが王となってもらえれば一番いいのであるがまず無理である。
リックも軍事に関しては優秀であるが政治になると心配である。
貴族だけではなく王までいないのはさすがに不味い状態であるために臨時にカインに押し付けようと画策を始めるアレクであった。