268話
「まぁハルノール王国の事は今後調査をして報告してくれ。頼むぞレオン。」
「はい分かりました父上。」
「あとカイン、獣王国がもめているようだな。」
「大したことないよ、バッハ獣王国がうちと勝手に張り合ってきているだけだよ。」
「噂になっているがバッハはそんなことを許すようなことはしないはずだがな。」
「そうなんだよなバッハとは前はよく話したけど、最近は会っていないからな。」
「カイン兄、バッハさんとどのくらいあっていないの。」
「んーー、そうだな1年ぐらいは会っていないかもな。」
「父上、バッハ獣王国と獣王国ともめだしたのがまだ一年経っていません。もしかしたらバッハさん病気とかで動けないとかは考えられませんか。」
「そう言えばオリオン王国連合の会合も欠席しているな。何かあったな。」
「調べたほうがいいですね、万一死亡していれば普通に代替わりを申し出るはずです、否定する事などしないのは分かっていますから。何かあったのは確実でしょうね。」
「カイン、バッハ獣王国へ行ってバッハ王と面会してこい。問題が起こっていれば解決しろ。」
「父上、バッハ獣王国へ行ってきます。アレク一緒に行こうぜ、問題が起こっていたら知恵を貸してくれよ。」
「えーー、忙しいんだよ。」
「いいだろう、獣王国で騒ごうぜ。」
「アレク、一緒に行って手伝ってやりなさい。」
「はーー、仕方ないですね分かりました。」
「後は何かあるか」
「父上。」
「何だ、イリア。」
「紙幣と貨幣の事なのですがオリオン王国連合とローエム帝国圏の国々は製造したものが流通していますわ。それを今回のタンドラ大陸でも主流になると思いますの。ですからタンドラ大陸機構と正式に流通させようと思いますわ。」
「アレクどうだ。」
「いいことだと思うよ、通貨が一つに纏まるのはね。」
「イリア、通貨を統一して問題は何か起こるか。」
「大きい問題は起こらないと思うわ。変わるときに民が少し戸惑うぐらいね。」
「そうかなら話を進めてくれ。」
「分かったわ。」
バッハ獣王国
「カインがバッハ王に会いに来たと伝えろ。」
「カ、カイン王ですか。」
「そうだ獣王国の王カインだ、早く伝えて来い。」
「は、はい。」
「カイン兄、門兵は何も知らないようだね。」
「そうだな、バッハが表に出ていないことも知らないのかな。」
十数分待ってやっとカインとアレクの元に門兵が戻ってきた。
「カイン王、バッハ王は先日より熱が出ており今はお会いになれる状態ではないそうです。申し訳ございません。」
するとアレクが話し出す。
「門兵。獣王国の王とSEオリオン王国の王がバッハ獣王国まで来ているのだ。その対応が門兵とはどういうことだ。」
「あ、いや伝えるように言われまして、決してないがしろにしている訳ではありません。」
「お前では話にならん、そのことを伝えて来い。いいや私たちが向かおう。」
アレクとカインはそのまま城内へ入っていった。止めようとする門兵は気絶させられた。そのことに気づいた兵が群がってきたがアレクとカインに敵うはずもなくみんな仲良く気絶させられた。
アレクとカインは城の中を進んでいくと、バッハと違う者が王の玉座に座っている。
「お前たちは誰だ。」
「お前こそ誰だ、バッハに会いに来た。バッハをここに呼べ。」
「お前は何を言っているのだ。バッハ獣王国の王を呼び捨てにしおって殺すぞ。」
アレク達がその者と対峙しているとアレクとカインを追いかけてきた兵たちがこの広間までやってきた。
「丁度良い、この者たちを捕らえて処刑しろ。」
この言葉を聞いてびっくりしたのがここまで追ってきた兵たちだ。この兵たちはアレクとカインの事を知っている。
「ルッシ様、このお二人は獣王国王とSEオリオン王国王です。バッハ陛下の御見舞に参られました。」
「・・・・・」
「俺は獣王国のカインだ。お前はなぜ玉座に座っている。」
「・・・・・・・」
「おいそこの隊長、少し聞きたいことがある。バッハは病気なのか。さっき、熱が出て会えないと伝えられたが、俺が来ているのに熱ぐらいで会わんことはないだろう、それもアレクも来ているんだ。」
「えっ、熱ですか、バッハ陛下はオリオン王国連合の仕事で国を出ていますが。」
「えっ、オリオン王国連合の仕事、そんなものはないぞ。会合も欠席しているんだ、王国連合から見舞いに行けと言われてきているんだぞ。」
「ルッシ殿、説明してもらえますか。我らはバッハ陛下は王国連合の役目でオリオン王国に滞在していると聞いているのですが違うのですか。」
「・・・・・・・」
「オリオン王国連合の調査に入ります。これはオリオン王国連合の規約であり、調査官は隣国の王であるカイン王にお願いします。同調査官として私SEオリオン王国のアレクも調査に加わります。」
「そこの隊長、その玉座に座っている者を拘束しろ。」
「はっ、おい行くぞ。」
「はっ」
「は、離せ私はバッハ獣王国のルッシだぞ。この国の宰相だぞ。一番偉いんだ離せ。」
アレクとカインの前で床に座らされた、「バッハ獣王国宰相を名乗るルッシとやら、バッハはどこにいるのだ。」
「・・・・・・・」
アレクはそのルッシの片腕を斬り落とした。スパッ。
「ぎゃーーーーーー。」
「もう一度聞く、バッハはどこにいる。」
「痛い,痛い、助けてくれ、イタイ、いたい、痛い。嫌だー痛い。」
アレクは今度は足を斬り落とした。スパッ。
「ああああああああ」
アレクはとりあえず死なないように止血だけした。痛さでのたうち回るルッシをそのままにして、集まっている兵たちに話を聞いてみる。
すると約1年前ぐらいからバッハ王はオリオン王国連合の仕事でオリオン王国へ出ていることになっている。バッハ獣王国の者達はその事を信じていたようだ。バッハ王がオリオン王国へ出ている間はルッシ宰相がすべての采配を行なうことになっていたようだ。
話しているうちにルッシも痛みに慣れてきたのか少し落ち着いてきた。
「ルッシとやら、私はアレクだ。もう一度尋ねる、今度答えなければ、そうだな爪を全部剝がそうか。一枚一枚ゆっくりと剥がしてやるからな、別に答えなくてもいいぞ。では質問をする、バッハはどこにいる。」
「・・・・・・・・」
アレクは無言でルッシに近づく、自分のマジックバックから小さな釘を数本取り出し、ルッシの爪と生え際へ細い小さな釘を差し込んでいく。「ぎやーーーーーー。」
「今のは人差し指な、次は足の親指に行こうかな、目玉もいいな、どうするかなー。」
「ま、まて、話す、まて。」
「いいよはなさないで、話したく無いのだろう。痛いのが好きなのだろう。遠慮するな、痛くしてやるからな。」
「ま、待ってください。お願いします、喋りたいです。喋りたいです。」
このルッシという男、バッハ獣王国の重鎮として内政をみていたがバッハ王を罠にはめて地下牢に入れていた。地下牢で食事を与えず、言う事を聞かせるために、食事をさせる事を条件に自分を宰相とさせる書面を作り署名などをさせていた。他にも王の署名が必要になると食事を抜き餓死寸前までさせていたようだ。
アレクとカインは急いでバッハが入れられている地下牢に向かいバッハを救出した。バッハは大分衰弱していた。喋る事も出来ず、このままなら死んでいただろう。これに激怒したのがバッハ獣王国の兵たちである。激怒したカインはルッシを殴り殺してしまったのだ。
アレクは内情を確認してから処刑するつもりであった。だが兵たちの気持ちを考えると怒る訳にもいかずそのまま黙認することにした。改めてバッハが回復した時に事実関係の調査をすることにしたのだ。
カインとアレクは一度獣王国へ戻る事にしたのであった。
「俺たちは一度戻って報告したらまた来るからそれまでバッハの事を頼んだぞ。それとバッハの息子も呼び戻せ。国外に出されているようだからな。」
「はい、色々と申し訳ございません。すぐに手配いたします。」
「少しの間だが頼むぞ。」