26話 レオン号王都遊覧飛行
ハロルド、エレメル、アレクは飛行船の旅を楽しんでいた。
「このソファいいわね」
「夕方までには着きますよ」
「快適だな」
ゆったりしたスペースにソファーを置きお茶を飲みながら雑談している。
馬車の移動ではこうはいかない。
この飛行船レオン号(仮)小型だがかなり大きい流線型で気球部分が、全長30メートルあり、下の客室部分が縦10メートル横7メートルの箱型だ。
気球部分は水素を入れて骨格、客室部分は浮遊石・材木・鉄少々を加工し、軽量化した材料で造っている。もちろん窓も作り強化ガラスが入っている。
「父上、この船の名前ですがレオン号でいいですよね」
「まぁ、レオンの意見も聞いた方がよくないか」
「そうですか話してみます」
「もうすぐ王都に着きますが、王都を一周しましょうか」
「そうねいいわね。空から見る王都を見てみたいわ」
飛行船が王都上空に着いたとき王都では、魔物が来襲したとパニックになっていた。
王国騎士団は城壁に上り矢を放つ。矢が届かなかった。
どうにもできない騎士団は、取りあえず追いかけた。必死に船を見上げながら追いかけた。
王都を一周した。それだけだった。
そんな下の騒ぎも知らず、アレクたちは王都の外に着陸した。
着陸して下船したところに、騎士団が勢ぞろいしていた。騎士団が迎えにきたのかと思ったら、違っていた。
慌てたのはハロルドだ。急いで騎士団に説明をし納得してもらったが、王家に説明をお願いされ連れ去られてしまった。
残されたエレメルとアレクは、家臣に船の見張りを頼み歩いて王都に向かった。
王都の屋敷に着くとレオンが入り口で待っていた。
「アレク、王都は大騒動になっているよ」
「えっ、あのレオン号そんなに人気ですか。」
「何、レオン号って?」
「船のな・ま・え、ですよ~」
「やだよーーー、自分の名前なんか」
「でも、みんなもうレオン号って知っていますよ。さっき父上が騎士団にレオン号がレオン号がって説明してましたから。」
レオンは頭を抱えていた。 母は微笑んでいた。
そんなレオンを、気にしないアレクは家の中に入っていった。
アレクは、レオンにレオン号がいかに素晴らしい乗物であるかを説明していた。
あのレオン号は、巡航速度120キロで・・・あのレオン号は・・あのレオン号はとレオンを連発していた。
その頃、王城ではハロルドが国王と話していた。
「あの飛行船レオン号いいなぁー。」
「そうでしょう。陛下あのレオン号はオリオン領都から王都まで5,6時間で着きますよ。何せ空をまっすぐ飛んでいきますから。」
等々、色々と話をしていた。国王とハロルド。
「王家にも、飛行船を造ってくれ。」
「承りました。」
ハロルド、ただの御用聞きだな。
ハロルドが屋敷に戻ってきた。
アレクは、まだ熱弁をふるっていた。
「アレク、話がある。先ほど、陛下から飛行船の発注を受けた。王家に相応しい飛行船を造るように。頼んだぞ。」
「王家に相応しいですね。了解いたしました。」礼をする。
「まともなのを造るようにな。ほんとに。」
「大丈夫ですよ~~。」 にやにや。
アレクは、父にきちんと、真面目なものを造るように言い聞かされていた。
今回の王家との話で大型飛行船オリオン号にて、王都とオリオン領間に定期便を出す話になった。
王家は、王都の近くに飛行場を造り、いずれ他の地域に定期便と貨物便を出したいと考えている。
東西南北に飛行船を出して外国にも飛行船を出すなどと構想を考えている。
王都に飛行場をハブ化して等々、王家の夢は膨らんでいった。実現出来るかはまだ誰も知らない。
「レオン兄、レオン号の操縦方法を教えますのでレオン号に行きましょう。」
「では飛行船に行こうか。」
操縦は魔法が使えるものであれば、簡単に出来るようになっていた。
アレクは飛行場までの間レオンに(人に聞こえるように)いかにレオン号の操縦が難しいかと、レオン号を連発していた。
そんなアレクは、レオンと家臣たちに操縦方法を王都をぐるぐる回りながら教えた。
調子に乗って低空で飛んだりしたのでまた騒ぎが大きくなった。
今度はレオンと家臣も怒られ、みんなで項垂れていた。
説教が終わるころ、王家からクリスティーナ殿下が屋敷にやってきた。
「オリオン伯爵、お久しぶりです。」
「クリスティーナ殿下もご機嫌麗しく何よりです。」
「・・・・」
要は、飛行船に乗せてほしいだけだった。
それなら一度、オリオン領を見てはどうかと話になり、後日オリオン領まで行く事になった。
「殿下、同行者は何人ぐらいになりますでしょうか。」
殿下は護衛をみる。護衛は
「はっ、護衛6名とメイド2名になると思われます。」
「9名ですか了承しました。」
この飛行船ゆったりとスペースを取ってあるが、20名以上乗船できるようになっている。
「楽しみですわ。」「オリオン領は、魔法で凄く発展をしていると聞いています。」
「まだ、発展の途中ですが楽しんでいただけると思います。」
クリスティーナ殿下は楽しそうに帰っていった。
殿下、婚約者の事、忘れてないよね。