252話
「コルン王、Tオリオン王国から通信が入っております。」
「そうか内容は。」
「はっ、Tオリオン王国はビルキア王国を滅ぼしたと通信が入っております。」
「そうか速いな。それならサレント王国も落ちるだろうな。」
「サレント王国ですがアレクス様が落としたようです。」
「はー、師匠が落としたのか。」
「そのようです、ゼスト王国とトミス王国連合が苦戦している所を救ったようです。」
「まぁ結果的にはいいけどな。それよりレジット王国とイースト王国からの返事は来たか。」
「はい、レジットからは降伏の使者が参りましたがイースト王国からはまだ何も言ってきていません。」
コルン王国はタンドラ大陸の東にはサムス王国、イースト王国、レジット王国の3か国へ宣戦布告をしていた、そしてコルン王国はサムス王国を攻略した。そしてイースト王国とレジット王国へ降伏勧告を出していたのであった。
この3か国は反コルン王国となっていた。コルン王国に対して、交易の妨害や、陸路を行く商人への税などをかけてコルン王国への妨害工作を派手にやっていた。これはビルキア王国がTオリオン王国への侵攻作戦を助けるための工作であった。まさか、Tオリオン王国を手助けに行かず自国へ侵略してくるとは思っていなかった為に対応が遅れてしまい敗北となった。もし3か国が連合を組み同時にコルン王国軍へ攻撃ができていればコルン王国も苦戦していただろう。
コルンは3か国に対して基本は各個撃破を戦略としている。連合したら撤退と決めていたのだ。ところが連合どころかサムス王国を攻略している時でさえ援軍さえ出さなかったのだ。コルンもさすがに不思議に思い調査をしてみたところ、スマイク王国の指示で各国が動いているだけで連携等は一切なかったのだ。完全な捨て駒にされた3か国は滅びの時を待っているだけであった。
数日後
「コルン、イースト王国は降伏したのか。」
「師匠、まだです。何も返事がありません。レジット王国は降伏の条件を今交渉中です。」
「そうか、イースト王国に使者を出してくれ、明日までに降伏しないときは滅ぼすと伝えてくれ。少し急がないといけなくなった。」
「師匠、何かあったのですか。」
アレクの話は衝撃的であった。このタンドラ大陸のTオリオン王国とコルン王国、ゼスト王国、トミス王国以外が反コルン王国となっていた事である。一国に構っていられない状態である。もしかするとレジット王国も時間稼ぎで降伏交渉を延ばしているのかもしれないからであった。
「タンドラ大陸全体が敵になろうと最終的に勝つのはコルン王国だ。だが時間をかければ民も兵も犠牲者が増える、敵の兵が死ぬのはいいが味方の兵が亡くなるのはなるべく避けたい。」
「そうですね。師匠には何か考えがあるんですか。」
「簡単だよ。魔法で一発、ドカンで終わりだな。見せしめだな、だが一度警告してからだ。」
コルン王国はイースト王国に対して最後通告を出した。明日までに降伏しない場合は国を亡ぼす、そして王都の城を破壊する。城の破壊は2日後とする。
この通告は城だけではなくイースト国内にビラとしてまかれた。小型艦が空からビラをまいたのだ。内容は戦争の原因であるアルカデア王国、スマイク王国のことなど色々書かれていた。イースト城にいる者達は大騒ぎとなった。イースト王はデマだと城内の者を鎮めようとしたが、家臣たちに念のため2日後は避難して様子を見ると説得され了承したのだ。結果イースト王は命拾いしたのである。
アレクは2日後に小型艦でイースト王国王都まで来て上空から城に向かい、大きな落とし穴を作り一発で城を地上から消してしまった。それはもの凄い轟音であった。落とし穴に落ちた城は崩れ去る時に地面を揺らし王都民達は恐怖で動けなくなっていた。王都中の地面が揺れて、建物も倒壊した者があった。イースト王国王都の城が一瞬で無くなった噂は隣のレジット王国へすぐに伝わった。その日からコルン王国との降伏条件の交渉がスムーズに進んでいったのは言うまでもない。
そして困ったのはイースト王国である。半信半疑で避難をしていたが、疑っている者が大半であった。本当に一瞬で城が無くなるとは思っていなかったようだ。
そのために国としての重要な物を城から持ち出していなかった。
イースト王国は数日後にコルン王国へ降伏の使者を出したがその使者がイースト王国の使者と証明できずに引き返すという珍事が起きていた。
イースト王国は城が無くなり王国、王としての書類が作成できなくなっていた。
コルン王国と付き合いがあり顔を知っている貴族でもいれば何とかなったかも知れないが、コルン王国は馬鹿にされ王国としての付き合い自体なかった。コルン王国も領地が殆ど男爵レベルの国だったため王族等との付き合い自体が出来なかった。
困ったのはコルンもイーストも同じだあったが、コルン王国は交渉して降伏してもらえれば楽だぐらいの認識に対して、イースト王国は深刻であった。国としての証明が出来なくなってしまったのだ。普通ではありえない事だが、一瞬で城が無くなるとは信じていなかったせいである。
いくら余が王だと言ってもコルン王国では証明を出してもらわねばならない。王家の押印などの親書に使われたものなどの提出を求めたが、イースト王国には無いのだ。いくら降伏すると言ってもどうにもならなかった。コルン王国軍はイースト王国の各地を迅速に攻略していった。各地の領主へ使者を送り従属するなら領土の半分で許すと通達したのである。イースト王国の貴族は皆、従属を誓うためにコルン軍が布陣している陣地を訪れていた。貴族達の領土が安堵される中、イースト王国の王と法衣貴族達は困っていた。領地持ちの貴族が王だと証明をするためにはどうするのかと話し合ったが、正式な物がない事にはどうにもならなかった。領地を安堵された者もコルン王国としては初対面であり、その者が王だと言っても証明にはならなかったのだ。
コルン王国としてはどうでもいい話であった。王がいない方が都合が良かったからだ。
日が経つにつれてイースト王の周りにいた者達は少なくなっていった。最初は100人以上の者が王の一家の世話をしていたが数日後には50人となりさらに数日後には20人となっていた。
そして王の身なりも王族とは思えないほどに質素ないでたちになっていた。普通の平民からしてみれば貴族様と言われる服装である。
一か月後に隣の国のレジット王国がイースト王国の王であると証明をしたことで王と認められた、だがもうその時にはイースト王国は存在していなかったが、やっとイースト王はアレクとコルン王への面会を取り付ける事に成功したのである。