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251話

私はサレント王国中央より少し東に領地を持つ男爵家の次女です。今回の戦争で父と兄が戦死しました。長女はもう他の貴族家に嫁いでいます。残されたのは母と私の二人だけです。先日、母と二人で王都のお城に行ってまいりました。そこには大勢の貴族達がいましたが、女の私たちは隅の方で様子を見ていました。

大広間にアレクス王が参られてサレント王国の陛下や貴族達と話をしています。私にはあまり関係はありません。だって私は女ですから、貴族籍にはありますが当主にはなれません。それがこの国のしきたりのようなものです。法律で決まっている訳ではありませんが、暗黙の了解という奴です。私が男だったらと思います。あっ、男でしたら戦死していましたね。

アレクス王の話は進み最後に言った言葉が忘れられません。女当主と認めてくれる。

その言葉は信じられませんでした。私の家、男爵家にはもう男がいません。私が結婚をしてその旦那様に男爵家を相続してもらうか、親戚から養子を迎え入れるかのどちらかしかありませんでした。

でも今は違います。私が当主になる可能性が出てきました。

私は母とすぐに手続きに向かいました。多くの貴族が手続きを待っていました。私の知り合いの貴族もいます、その子も父と兄を亡くしていますがまだ弟がいるようです。ですが当主にはその子がなると聞きました。この乱れた国でまだ判断力のない子供が当主になるという選択は出来ないのでしょう。


あっ、私の順番が来ました。早速私と母は役人に女当主の申請をします。役人は嫌な顔をしていますが、気にしていません。時代は変わったのです。

その申請ですがステータスカードというものを作られました。よく分かりませんがその内容で領地替えの領地が決まると説明をされました。重要な事でした、聞き逃すところでした。

私と母は手続きを無事に終え、宿へ向かいます。まだ帰るわけには行きません、手続きは済みましたが承認はされていません。少し不安です、本当に女当主で許可が下りるのでしょうか、当主になると女男爵となるのでしょうか。宿へ帰っても次から次へと不安な事ばかりが頭に浮かびます。

翌日、私たちの泊まっている宿に貴族庁の役人が来ました。2日後に城に登城するようにとの伝言が入りました。いよいよです、勝負の時です。でも自分では何もできません、結果を聞くだけです。ですが気持ちが高鳴ります、母も同じの様です。


城の大広間で待っているとアレクス王が入ってきました、アレクス王のお側には鎧を着た騎士が二人ついています、その後ろには、噂の機人でしょうか、明らかに人ではありません。不思議です、なぜ動くのでしょうか。触ってみたいです。


アレクス王が見守る中、役人たちが貴族達に爵位と領地を告げていきます。基本爵位は一段下がるようです。ですが準男爵位という新しい爵位が出来たおかげで一番下の爵位は騎士爵ではなくなりました。ホッとしました。決して騎士爵が嫌な訳ではありませんが、貴族社会では肩身が狭く貴族の集まりでは話し掛けられない限り喋れません、私には非常に苦痛となります。女当主は後回しの様です、残っているのは女性ばかりです、ですが今までの流れですと領地は全く違う場所になりそうです。私と母の領地は温暖な気候で農耕に向いています。はっきり言えば田舎の領地です。ですが愛着もあります。領民たちとも仲が良く離れるのは少し寂しく思います。出来れば次の領主が領民に優しい領主であってほしいです。

とうとう私の順番の様です。緊張してきました。


・・・・・・を女爵とする。領地は・・・・・の町と・・・村を領地とする。


えっ、聞き間違いではないでしょうか。女爵、一段下がるのでは無いのでしょうか。それも不思議ですが領地です。増えています。いえ増えているのではありません、以前と町一つ、村二つで同じですが場所が違います。同じ町でも規模が違います、アレクス王はこのサレントの地理を分かっていないのかもしれません。私の新しい町の規模はもう都市という程の町です以前の領地と近くで街道が集まる要所となっている場所なのです。

後で間違いと言われてももう引き下がりません、こんな大勢の前での発表です。みんなが聞いています

「皆の者、よく聞け今の爵位と領地はサレント王国で貴族として卿らが引き継いだものだ。だがこれからはTオリオン王国の貴族として実績に寄り爵位と領地が変わって行く事となる。実績、町を都市に変え者、村を町に出来たものなどを功績と認めることにする。Tオリオン王国の貴族は家臣に対して騎士爵位の任命権も与えている。無能な騎士爵を出していると国への税が高くなるので気をつける事だな。出した本人とその騎士爵位を授かった新貴族も税が高くなるので慎重になる事だな。最後に爵位と領地を伝えた10人の貴族達よ。卿らは優秀だ、これからを期待している。」


アレクス王は帰ってしまいました。最後の10人の中に私は入っていました。驚きです、私が優秀ですと初めて言われました。この10人は国の要所を領地としてもらった者達です。アレクス王が間違えて私に領地を渡した訳では無かったようです。


私と母は急いで元の領地に戻りました、引っ越しです。

領民は連れていけませんが家臣たちは連れていけます。家臣たちも不安だったのでしょう。爵位が下がれば人を削減しなければ経営が成り立ちません。自分たちの生活が懸かっているのです。家臣たちも必死です、ですが今回は逆に人手が足りなくなります。町の規模が違います。今の倍以上の規模の町です。今なら優秀な家臣を雇う事も出来るでしょう。貴族達は軒並み爵位が下がりました。領地も削られた者が殆どです。

私たち最後の10人は例外の様です。少し怖いです。もし成果を出せなかったらと思うと怖くなります

ですが悩んでも仕方ありません。やるしかありません。


私たちは新しい領地へ向かいました。町?。もう都市です。町の規模ではありません。前の貴族が町から都市への手続きをしていなかったようです。わざとしていなかったようです。

以前は貴族同士の争いがあったようで詳しくは分かりません。これで今の家臣を3倍にしなければ仕事が追い付かない事は分かりました。非常にまずい状況です、ですが母が手伝ってくれます。今まで母は仕事自体していませんでしたが、頭が良く機転が利く人でした、仕事を手伝ってもらうと良く分かります、もの凄く仕事のできる女って感じです。母も張り切っています。

私は町から都市への手続きなどをしながら、領地の発展について考えています。そこへリア銀の方が就任の挨拶に来ました。あれが噂のリア銀でしょうか、少し心配ですが。勇気をもっていきましょう。

領民の暮らしが少しでも豊かになるように頑張っていきましょう。



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