240話
「まぁそうですよね、こんな空飛ぶ船やドラゴンとかを持っている人なんていませんよね」
「ミケ、そんなにかしこまらなくていいぞ。普通でいいからな。」
「そ、そんな出来ませんよ。」
ついてきた大人たちは何とも言えない表情になっていたがレリウスたちが気にしないと説得をしたことも有り普通に接することになった。小さな子供たちは気にすることなどなく無邪気に遊んでいる。
「じゃみんな村つくりを始めようー。」
「「「おーーーー。」」」
SEオリオン王国
「アレクス様、エルフ王国からの使者がお見えですが如何いたしましょう。」
「エルフの使者か何かあったのかな。謁見の間でいいだろう。」
「はい、では用意いたします。」
「SEオリオン王、お会いできて光栄です。私はエルフ王国使者、エルロットと申します。」
「それでエルロット。どうしたのだ普通ならオリオン王国に行くはずだろう。何故SEオリオン王国へ来るのだ。」
「はい。オリオン王国にも別の使者が向かっております。エルフ王国の隣国テルミナ王国の脅威に対してSEオリオン王国にご協力してもらいたいのです。」
「うちはオリオン王国の指示があれば動くが単独では動かんぞ。」
「それは重々承知いたしておりますが、アレクス王に我が国へ訪問していただけないでしょうか。」
「エルフ王国に来いと言うのか。何故だ。」
「じ、実は・・・・」
それは何とも大雑把というか、いい加減というか。エルフの考えが分からなくなっていた。マルテナ王国からの嫌がらせに困っているエルフ王国はアレクスかカインがエルフ王国へ来ればマルテナ王国が勝手に誤解をして大人しくなるのではといいかげんな策略をしていたのだ。さすがのアレクも呆れてしまった。
「お、お前たちの国は正常に機能しているのか。」
「当たり前です。エルフ王国はきちんとしています。」
「・・・・・・」
「何卒、お願いたします。」
「カイン兄でもいいんだよな。」
「は、はい。カイン様は英雄でございます。」
「なら私からカインに伝えておこう、私はエデンに行く用事があるのでな。」
「エデンでありますか。アレクス王の御料地ですな。」
「そうだ新大陸とアース大陸、タンドラ大陸を繋ぐ島だな。」
「噂では楽園の島とお聞きしましたが。一度行ってみたいものです。」
「まぁ、機会があれば来るがよい。歓迎するぞ。」
「はっはーー。」
アレクはカインに連絡を取り、エルフへの訪問をお願いした。カインは見返りに迷宮を10層増やす様にアレクに頼んでいた。獣王国の獣人隊の面々が超難易度の迷宮を面白がり入り浸っているのであった。混雑して戦闘どころではない状態になっていた。カインは真面目にアレクに話していたのだがアレクは笑いをこらえきれずに大笑いをしてしまった。怒ったカインが文句を言ってきたので迷宮10層追加の話でまとまったのであった。
アレクは久しぶりの交易国家エデン、通称エデンである。数年前にテルセに開発を指示していた島である。このエデンは獣人達の楽園と言われた。元々獣人達が多く住んでいた島にテルセ率いるSEオリオン王国が港を造りに来たことから始まる。テルセは各部族の主張していない場所に港を造り街を造った。そして各部落に少しずつ侵食していった。最初は物々交換をしながら砂糖や麦、酒などと色々な物を交換していった。するとある時期を境に獣人達が港で働くようになった。テルセは事情を調べてみると、SEオリオン王国の獣人達との交流が原因であった。エデンの獣人達は自信があった。己の力は誰にも負けないという根拠のない自信があったのだが、SEオリオン王国の獣人達との力比べで全滅したのだ。人間に負けるなら色々と言い訳をしてごまかすのだが、相手は同じ獣人である。それも全敗、全滅である。言い訳のしようもなく。SEオリオン王国の獣人達に聞いて回った。強さの秘密は、今より強くなれるのか。そして島の獣人達の答えがSEオリオン王国になって強くなろうであった。
そのことを聞いたアレクは苦笑いをしていたが、相手が獣人であれば本気なのだろうと結論を出して強化したのだ。そしてエデン全体の支配者がSEオリオン王国となったのだ。SEオリオン王国は国内とは言わずにエデンと言っている。これは独立している物と周りに周知させるためである。
それからのエデンは獣人達は訓練訓練、又訓練と仕事などしないで訓練ばかりしていた。怒ったテルセは獣人達を締め上げた。獣人達は人間が相手だと軽く考えていたが、これもテルセ一人に叩きのめされたのである。獣人達は驚き、テルセを主の様に敬った。テルセはアレクに事情を話し、救援要請を出したがアレクは面白がり救援を出さなかった。怒ったテルセは一人海の港へ帰ってしまった。これに焦ったアレクは海の港でテルセに謝り、エデンに戻っていった。だがエデンの運営を持ち回りで行なうことになった。テルセも色々と行きたいところがあるために、1年交代で勤務となったのだ。そして今テルセの1年が終わり、リックが赴任する事となっていた。アレクに同行しているのはリック、アクラーとリック艦隊、アクラー艦隊、アレク艦隊である。3つの大艦隊がエデンを訪れる事は初めてである。1艦隊の駐留になっている為に4艦隊がエデンに一時駐留となる。
「大分発展したな。」
「師匠は、エデンに来たのが数年前ですよね。」
「そうだったかな。何か港が大きくなっているな、それに大型船が20隻はいるな。」
「今このエデンは各大陸の補給基地ですよ。途中で必ずここに立ち寄りますからね、世界中の者がエデンに集まっていますよ。」
「そうだなこの場所にいれば世界中の物が手に入るな。」
「大手の商会のほとんどが店を構えています。あの新大陸の商会も店を出していますよ。」
「フロンティア大陸と名のついた新大陸だな。さすが商人だな大陸の国もまだ全土にないのに商売根性は凄いな。」
「師匠、レリウスたちは大丈夫ですか。」
「まぁ心配なんだがな。試練とか言って外に出したのでな、見に行ったりできないだろう。」
「なら俺が一度見てきますよ。丁度新大陸に航路の巡回任務がありますから。」
「そうかじゃ様子を見てきてくれ。」
アレクはエデン島に着いたのであった。
エデンは活気に満ちていた。大型船が何隻も入港しているせいもあり、人であふれていた。このエデンでは酒と女とばくちが出来る。船乗りたちは楽園と呼んでいる。ただし暴力沙汰は一切起らない、出来た当時は何度か暴力沙汰はあった。だが警備をしている者達は強すぎた。腕に自信のある船乗り達もエデンの警備隊には100人対1人で負けるのである。いつしか暴力事件自体が一つも無くなった。
「テルセ、お疲れさん。」
「アレクス様、やっと交代です。長かったーーー。」
「まぁーー、よくやってくれたな。ありがとう。」
「テルセ。引継ぎは明日からでいいかな。」
「リックさん。お久しぶりです。明日から引継ぎをお願いします。」
その日はエデンでは大宴会が催された。アレクが大量の酒を食料を持ち込んで島中に無料配布をしたのだ。船乗りから獣人達まで大騒ぎとなった。噂では島の子供も酔っていたそうだ。