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24話 名もなき者達

オリオン領。只今、パニック状態となっている。

魔法発動希望者が、押し寄せているのだ。

オリオン一家はまだ王都に滞在中だ。オリオン領には名もなき人たちがいる。



オリオン領都入場門


衛兵たち


「何ですか、この行列もういやです」

「衛兵長、休みをください。せめて・・・休憩を」

「無理だ、行列を見てみろ。先が見えないんだぞ」

「臨時に雇っている兵が午後に来るから。来たら1人30分の休憩上げるから。」

「・・・・・・・」

「30分なんて、ひどいです」

「私なんか昨日から寝てないんですよ。」


衛兵たちは、終わりのない戦いをこれからも続ける。

その後、あまりにも酷いので仮の入場門街を手前に作り領都への入場を規制した。


商店街



「本日の営業は、終了いたしました」


「申し訳ございません。お部屋はございません。」


「このA定食で終わりだ。店閉めろ。」

「仕入れにすぐに行け、材料が来たらまた店開けるぞ。」

「オーナー、休みは?」

「この状況で休めるか。飯食わせなかったら暴動が起きるぞ。」

「・・・・もういやだ。・・・」


別の店


「もう、スープがありません。」

「わかった。今はパンのみの販売に切り替えろ。」

「残りは私たちの賄い用のパン5個しかないです。」

「・・・・店、閉めよう。」



食料品店、飲食店は材料がなくなり軒並み店を閉めた。

お店は、材料の仕入れに走り廻り、店を開け店を閉め又開けるを繰り返していた。



工場


「なんでこんなに、人が少ないんだ。」

「あれぇー知りませんでした?色んな所に応援に駆り出されてるんですよ」

「こんなに人員がいないと仕事できないぞ。」

「ですよねー領館で聞いてきまーす」



領都行政


「この人の対応どうするんですか。」

「もう人を入れるな。誰か伝えてこい。」

「食糧が足りなくなるから倉庫を解放。隣地の領に買付に行ってこい。」

「人工場から借りてこい。あと・・・・・治安維持に人を割くように。」

「テントも用意して門外の人々に食料を配布するように。」

「各自、自分の裁量にて対応するように責任は私がもつ。」

「王都の領主様に早馬を出せ。」



超、優秀な人がいました。この人偉くなりますよ。



王都


「なんか外が人で溢れてるな。」

「事件でもあったのか。」


一人の騎士が建物に飛び込んできた。「ご領主様、大変です。」

「屋敷の前に雇ってほしいと人が詰めかけています。」

「・・・・・・」



後日、オリオン家は王都にて採用試験を行う旨を伝えた。



「王都から逃げましょう。」

「アレク、それはいけません。私たちは貴族なのです。」

「きちんとした対応をしないとなりません。」



エレメルは、旅行のパンフレット握りしめながらアレクに説教していた。


それから魔法公開による混乱は一年に及んだ。最初は、ローエム王国の混乱だけで済んでいたが、情報が飛び交い、各国から人が押し寄せ王都は混乱の坩堝と化した。


「アレク、魔通機を大至急で大量生産しろ。」

「わかりました。大至急やります。」

「この分だとオリオン領も同じか。」

「もっと酷いかと」

「対策はしていたが、予想以上だな。」

「これから対策会議を行う。」


オリオン家族会議は、深夜まで及んだ。

会議をしていると、王城からの使いが来て協力を要請してきたのだ。

競技場で魔通機を使う予定だったのだが、広い競技場でも収容しきれず、王都内で計5か所に魔通機設置し対応する事になった。

ローエム王国内の伯爵以上の領都に魔通機の設置をし、人をばらけさせる様に誘導。

外国に対しては王国に任せるとした。

国内の東西南北の各盟主に対して王家から指示を出させ急場をしのぐ。南の盟主のみはオリオン家が対応する。

元々、王家は魔通機を500台用意していた。300台を王国直轄地で使用し、100台を国内貴族に販売、外国に100台販売と計算していた。全然足りない。

魔通機で使用料を取り、講習で講習料を取り、詠唱呪文でお金を取りと高額に設定したのでもっと人が少ないと計算していたのだ。


嬉しいけど、嬉しくない悲鳴が響き渡る。誰の悲鳴だ。


オリオン家は、魔通機を高額で販売している。

アレクの取り分1割だった。交渉して2割に上昇。

アレクが魔通機を1台、作成する時間は30分である。


アレクは器用だ。部品がなくても代用品で色々と造れてしまう。

そういうものは高性能すぎて売れない。あくまで性能を落とした物を販売しているのだ。


アレクは、ヘトヘトの顔をしながら魔通機を20台渡す。父は微妙な顔をしていたが何も言わず受け取り王城に向かう。

アレクは、父の帰宅後、軟禁され魔通機を造り続けた。

兄弟が護衛に付き、1か月魔通機の作成に追われたのだった。


アレクは作成を頑張った。部品も手に入り造りやすくなった。作成が熟れてくると、流れ作業が魔法で出来るようになり、一日のノルマは午前中に終わり、午後は本を読んだりと忙しかった。

一番大変だったのは疲れた振りをすることであった。



アレクよ、家族は気付いているぞ。

気づいてないのは、お前だけだ。







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