233話
「父上どうしましたか。」
「アレク、7公爵会議だ。」
「あっ。そうでした。先に行ってます。」
アレクは急いで公爵会議室へ向かう。
「おそくなりました。」
「アレク、遅かったな欠席かと思って心配したぞ。」
「レオン兄、心配ありません元気です。」
「アレクが元気なのはわかっているよ。これを渡せないかと心配していたんだ。」
それは迷宮の要望書であった。アレクはがっくりしてしまった。レオンが心配したのは迷宮の為だったからだ。
「レオン兄すこし遅れてもきちんとやりますから大丈夫ですよ。」
「そうなんだがノースオリオン王国の冒険者ギルドが張り切ってしまっていてな。」
レオンは頭を掻きながら困った表情をしていた。
「そうでしょうね。」
「アレク、俺の所にも迷宮を作ってくれよ。もの凄く強いやつを頼むよ。」
「カイン兄の所ですか、何か壊されそうなんですけど、気のせいですかね。」
「アレク壊されるぞ、やめとけ。」
「ルドルフ兄は黙っとけよ。」
「なぁアレク迷宮を頼むよ。強いやつだぞ。」
「分かりました、特別製迷宮のを創りますよ。」
そんな話をしているとハロルドとエレメル、デリックが部屋に入ってくる。
「皆、そろっているな。始めるぞ。ルドルフ説明しろ。」
「では新しいオリオン王国の配置図です。簡単に説明をすると、バッハ獣王国はカインの獣王国と隣接させる。そしてマルティス王国はグラムット帝国に近づくのを極端に嫌がってなSEオリオンには無理をさせるが元レゲルト王国に一部に移ってもらう。デリック王国はデリックの強い要望によりオリオン王国へ吸収合併となった。残念でならない。」
「ルドルフ様、私は幸せですよ。非常に楽になりました。」
「・・・・・」
「先を続けてくれ。」
「アレクからの要望でSEオリオン王国の直轄領をミルトン王国へ譲渡することが決定した。まぁこれはいずれアレクの子がミルトンを継ぐからな、そのための地固めだな。」
「うちは権利と艦隊駐屯地は残しますから、手間をミルトン王国が引き受けてくれただけですよ。」
「まぁそうだろうな。問題は西にあるエルフ王国とドワーフ王国が問題になってくる。この2か国はまだ経済が安定していない。そしてオリオン王国と離れていることも有り孤立している。飛行船での空輸しか手段がない状況だ。大森林を通るルートは無理があるからな。」
「そうだな南西地域にあるカインの獣王国はもう大国として成り立っているから大丈夫だろう。だが西のエルフとドワーフは小国だからな。」
「そうなんです、グラムット帝国との終戦で落ち着いたとみて他の国が両国にちょっかいを出してきている。」
「何処の国ですか。」
「西の大国マルテナ王国だ。あそこはグラムット帝国と戦争を回避した強かな国だからな。」
「ですがグラムット帝国程の強国ではないでしょう。」
「そうだな、だが相手は戦争をしない。戦わないんだ。それで色々と口を出してくるようだな。」
「なんかめんどくさい国ですね。ルドルフ兄にお任せします。」
「・・・・アレク手伝いを頼むよ。俺では無理なことがあるからな。」
「・・・・・・」
「それよりもルドルフ兄はオリオン王国の王をいつ継ぐのですか。」
「ああそれは当分先になった。今は新領土の開発が先だしな、父上がいないと話にならんからな。」
「そうですか残念です。何か父上とデリックは取引でもしましたか。」
二人は目を逸らす。
「仕方ありませんね、二人にタッグを組まれたら対応できませんからね。」
「まぁ、アレク気楽に行け。何かあったら私は協力するしな。」
「そうですよアレクスさま、このデリックも協力します。」
「はーーーー。その時はお願いします。でもいいんですか。デリックの子供に王位を継がせられないではありませんか。」
「その事か、私に考えがある。デリックが公爵を引退するときに持たせようと思っている。」
「そうですか分かりました。」
「それからこの王都ブレストは経済特区とすることが正式に決まった。すぐにではないがなオリオン王国の王都が完成してからになる。」
「いいですね経済の中心地を創る事はいい事ですね。国の政治からは離さなければいけませんからね。」
「アレクの言う通りだな。」
「それから南部の東南東地域の国々がオリオン王国連合に参加を表明したが1国だけしなかった。」
「カイゼル王国ですか。」
「そうだ、ゼルト王国がオリオン王国に参加しているからな、意地でも参加しないのだと言っている。もう疲れたよ。」
「ルドルフ兄、カイン兄が何とかしてくれますよ。」
「アレク何でカインなんだ。」
カインもうんうん言っている。「うんうん。」
「それはですね、カイゼル王国は他の国より獣人とエルフ、ドワーフが虐げられているからですよ。」
「アレクそうなのか。」
「そうなんですよ、この問題でカイゼル王国を屈服させましょう。オリオン王国の力を示すいい機会でにしましょう。」
「カインが出ると戦争にならないか。」
「父上、大丈夫ですよ。カイン兄と獣人達がカイゼル王国へ行けば話はすぐに突きますよ。」
「アレクどうしてだ。俺には分からいぞ。」
「カイン兄は獣人の中でもう伝説になっているんですよ。カイゼル王国にカイン兄が行けば事態は変わりますよ。」
「本当かーー。いって何も変わらなかったら、迷宮二つだぞ。」
「いいですよ。カイン兄解決してきてください。」
「よしアレク忘れるなよ。ルドルフ兄。俺と一緒にカイゼル王国へ行こうぜ。」
「ルドルフ、グラムット帝国の動きはどうだ。」
「はい父上、グラムット帝国はオリオン王国との終戦協定が済めば。東からの脅威がなくなります。1,2年は大人しくしているでしょうが他の国への侵略はするでしょう。」
「そうだろうな。オリオン王国からも金が入るしな。」
「そうです、ものすごい数の移住が来ています。この処理をしないと大混乱になります。」
「そんなに来ているのか。」
「はい獣人、エルフ、ドワーフのグラムット帝国内のすべてだと思います。」
「何人ぐらいだ。」
「まだ集計も出来ていませんが3500万人はいそうです。」
「そんなにいるのか、無理だろう。」
「大丈夫です、その分出ていく者も2000万人はいそうです。」
「人間でもオリオンに残る者も意外と多いな。もっとグラムット帝国に戻るとみていたんだがな。」
「元は滅ぼされた国の者達がいたのでその者たちは残る選択をしたのです。元貴族、王族もいるようですので、取り立てる事もできるでしょう。人材は何とかなりそうですが不足はしています。それと獣人と、エルフ、ドワーフの貴族を増やしていかないとバランスが取れないです。各自は候補を出してくれ。」
「・・・・・・」しーーーーーん。
「父上、各自に命令書を出してください。勅命でお願いします。」
「いやだなーー。ルドルフ兄、ご協力しますよ。帰ったらすぐに選抜します。」
「兄貴、うちもすぐ探すよ。」
「俺の所もみんなから聞いてみるよ。」
「私たちは無理よ。」「そうよ無理よ。」
「マリアとイリアには勅命は出さないから大丈夫だよ。」
「「よかったわ。」」
「その代りオリオン王国の王都の建設を頼むよ。これまでにない王都を造りたい。」
「「任せて。王都の構想はもうあるのよ。」」マリアとイリアは二人で笑っていた。
見ているみんなは背中がゾワゾワっとしていた。