231話
オリオン王国王都ブレスト
「父上、グラムット帝国の報告に参りました。」
「ルドルフ、良くやった。カインもアレクも良くやったな。」
「父上ありがとうございます。」
ルドルフは一連の流れと、グラムット帝国との終戦協定への条件をハロルドに説明をしていく。
「大体の内容は分かった。高官をグラムット帝国へ派遣をしよう。」
「お願いします。」
「それとアレク、先ほどの話の中に出てきた迷宮国家アルテミスについて説明をしてくれ。」
「はい。迷宮国家アルテミスは迷宮内の10層分を領地としています。人が住んでいるのは5層分だけです。あとの層は家畜、耕作地、鉱石等の資源を確保する場所に使っています。
人口約20万人の国家になります。」
「20万人か迷宮の中と思えば多いのかも知れんな。」
「まぁ人口は別として、このアルテミスの民は基本は外の世界には出てきません。迷宮内での生活をしていくようです。自由となっていますが出る気はないようです。王のアルテミスの事ですがここだけの秘密としていただきたいのですが人間ではありませんでした。」
「エルフか。」
「いいえ違います。人ではなかったと言うことです。迷宮核が王になっていました。」
「えええええええええーーーー。」
「ア、アレクそんなことがあり得るのか。」
「私も最初は信じられませんでしたが、迷宮核からの情報を確認したところ間違いではありません。」
「信じられんな。」
「本当ですね。迷宮核が王とは中の人たちは知っているのかい。」
「ルドルフ兄、迷宮国家の人々は知りません。初代のアルテミス王は人間でしたがそれをそのまま引き継いだ形ですね。ですからアルテミス王は初代から変わっていません。」
「アレク、アルテミスは大丈夫なのか。国が崩壊しないのか。」
「大丈夫だと思います。この後私は迷宮国家アルテミスに行きますのでその辺も調べてきます。」
「そうかもう戦争はしたく無いからな。頼むぞ。」
「はい父上大丈夫です。・・・・たぶん。」
「ルドルフ割譲される領地に残る貴族はどうだ。」
「今は選別作業をしていますが、グラムット帝国から割譲される領地は広大です。獣人、エルフ、ドワーフと移住希望者は増えそうですね。逆に貴族と皇帝崇拝者は出ていくでしょう。当分は混乱が続くと思います。」
「また貴族が足りなくなるな。どうするんだ。」
「父上。これは提案なのですが、オリオン王国連合で領地の再編を行なってはどうでしょうか。王国連合と言っても実際はオリオン王国が支配しています。他の国も分かっていることです。バッハ獣王国とマルティス王国は元はグラムット帝国です。領地変えと思えばできないことはないでしょう。」
「そうだなルドルフの言う通りだな。国土を広くしてやれば納得もするだろう。オリオン王国もその方がやり易いな。」
「この王都ブレストを経済の中心地に変えてオリオン王国は王都を移転しましょう。新しいオリオン王国王都を造りましょう。場所は割譲されるグラムット内にします。そうしないとグラムット帝国の影響が残りますのでオリオン王国が支配者に変わったことを知らしめる目的と公共事業での経済活性化です。」
「ルドルフ、王になるか。いい時期だと思うが皆はどう思う。」
「賛成ーーーー。」
「賛成ですね。さすが父上ですね。」
「いやだよ。今でさえ忙しいのにもっと忙しくなる。」
「ルドルフ兄、大丈夫ですよ。デリックはあと30年は働けますよ。それに父上は王位を譲っても仕事は振れますよ。ルドルフ兄が王になれば父上より上になります。父上が寝る暇がないほど仕事を任せればいいんですよ。そうすればルドルフ兄は仕事が少し減りますよ。」
「アレク、余計なことを言うな。」
「父上が言い出したことですよ。」
「・・・・・」
「父上も完全に隠居は無理ですよ。何しろオリオン王国連合を取りまとめられるのは父上しかいませんからね。そうですね、差し詰め役職をつくるなら王国連合盟主として上王って所でしょうか。」
「王の上の存在かいいな。父上いいではありませんか。」
「・・・・・・私は引退してエレメルと旅行にでも行きたいと思っているのだがな。」
「「「「「無理です。」」」」」
「・・・・」
「話は変わりますが、オリオン王国が一手に開発は出来ないでしょう。ここはオリオン王国が太っ腹なところを見せて各国に領土を分け与えましょう。オリオン王国の公爵位を持ったものが王国連合に加われます。そこのオリオン王国が領地を再編して、各国の領地を、いいえ間違えました国の国土を決めるのです。オリオン王国を中心とした経済圏を確実なものとしていきましょう。」
「各国にも元グラムットの開発を手伝わせるためだな。」
「そうです各国は今連合に加わって金があります。使わせないといけません。」
「アレク、SEオリオンの領地をグラムット側を少しオリオン王国に譲ってくれるか。」
「分かりました。父上の好きなようにしてください。その方が各国も納得するでしょう。」
「流石アレクだな。分かっているようだな。」
「アレクどういうことだ、教えてくれよ。」
「カイン兄、王国連合での国替えは大変な作業です、そこにSEオリオンがオリオン王国に国土を差し出すことで他の国を黙らせるのですよ。SEオリオン王国は国土が削られる、だが他の国は移動すれば国土が広くなる。と思うでしょうね。オリオン王国が各国の国土を変更できる実績を作るんですよ。そうすればこの後の連合運営がやり易くなりますから。」
「ふうーーーん。よくわからんアレクに任せる。父上俺の所も領地渡そうか。」
「そうだな獣王国も従ったと思わせた方がいいな。」
「それならデリック王国も国替えして国を大きくしてやりましょう。デリックも大喜びでしょう。」
「・・・・・・・多分泣くと思うけどなーー。」
「これでこの南部も落ち着いてくればいいのですがね。」
「そうはいくまい。この南部の東側は落ち着くだろうが南から西はまだまだ不安定だからな。」
「取りあえずは新領地と東側を安定させましょう。」
「そうだなオリオン王国内だけでも安定する場所にいておかないとな。」
「父上、アルテミスもオリオン王国連合に加わる事は承諾してもらえますか。」
「それは構わんがアルテミスの民は外に出ないのだろう。必要あるのか。」
「それは一度アルテミスに行ってから話をしてみます。それからの話ですが、一応了承を取っておこうと思いまして。」
「まぁ、アレクに任せる。好きにしろ。」
「ありがとうございます。」
「ルドルフ、王国連合の国替えの案を出すようにな、出来たら7公爵を集める、良いな。」
「はい。」