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230話

広間には10人の領主がいた。


「皆の者、待たせましたね。」

「いいえ女王陛下とんでもございません。」

「私は以前から伝えていましたが眠りにつきます。後の事はここにいますアレクス殿にすべてを託すことにしました。よろしいですね。」

「はい、私たちは女王陛下に従うものです。御意のままに。」

「アレクス殿後は頼みます。皆も民の事をたのみます。」



アルテミスはアレクと領主に微笑みながら消えていった。




領主たちは慣れているのだろうか驚いた様子がない。アレクは10人の領主とパスを繋いだ。迷宮内であれば人に触れていなくともその人間の情報が見れるようになっていた。

この迷宮国家は争いが無い。ただアルテミスに祈りを捧げ魔力を渡しているのだ。アレクは何とも言えない気持ちになった。争いもなく平和には暮らしている。自由もある。何の不自由もないんだろう。外の世界は戦争は起こるし、争いなどいつもの事だ。どちらがいいのかはアレクには分からなかった。

アレクはこれからは外に出たいものは出る事を許可する事を伝える。

領主たちは戸惑ってはいたが無理に出ることもないと説明をしていった。

アレクは数日後に又戻る事を約束して一度地上に戻ることにしたのだ。



その前にカインを探さなければならなかったが迷宮内にいることもありすぐに居場所が分かった。


カインは迷宮内の深い層で魔物狩りを楽しんでいた。獣人たちも生き生きと戦っている。アレクは放っておいてもいいのでは思ったが後で文句を言われることが分かっているので迎えに行くことにした。


「カイン兄ーー。」

「おおアレク。ここはいい所だな。強い魔物があふれているな。訓練には最適だぞ。」

「カイン兄普通の人はここでは1分も生きていられませんよ。」

「それよりグラムット帝国と話が纏まりましたので一度地上に戻りましょう。」

「アレクどうやって戻るんだ。俺たちは迷子になってるんだ。」

「心配はありませんよ。では行きますよ。」


アレクとカイン達の姿が消えたのだ。



次にアレクが姿を現せたのは帝都の城の中である帝国宰相の隠し通路の階段に現れたのだ。

アレクとカイン達は帝国の城の中を歩いていた。

すると宰相が待っていたのだ。

「よく分かりましたね。」

「迷宮から出てきたら知らせるように指示をしていたのだよ。」

「そうですか、それで戦争は終わりましたか。」

「ああ、ルドルフ殿との停戦は同意した。後は協議中だな。」

「分かりました私たちも一度陣地に戻ります、また改めて参ります。」

「そうか、では日を改めて皇帝陛下にあってくれ。」

「分かりました。」



アレク達はルドルフのいる陣地まで戻ってきた。


「ルドルフ兄、停戦できたそうですね。」

「アレクか随分と遅かったな。」

「まぁ色々とありましてね。改めて報告しますよ。」

「そうか分かった。今はグラムット帝国との終戦に向けての会談だな。」

「先ほど、グラムット帝国の宰相に会いました。次の会談には私も行きます。」

「そうか助かるよ。向こうはあの宰相が強敵でな大変なんだよ。」

「分かりますよ、あの人扱いが難しいですからね。」


数日後


「マトリット殿お久しぶりです。」

「アレクス殿、良く参られた座ってくれ。」

「グラムット帝国とオリオン王国連合の終戦の件ですが、今の話はどの辺まで進んでいますか。」

「そうだなアレクス殿との駆け引きは疲れるから素直に行こうか。領地の割譲と小国群の扱い、不可侵協定はこちらは承諾する。だがグラムット帝国の民がグラムット帝国への移動を申し出た場合はこちらで引き取る。」

「分かりましたこちらもそれで承諾しますが、オリオン王国からもお願いがあります。グラムット帝国へ移動する民は移動させますが逆にこちらに来たいという者達もいるはずです。移住の許可を出してください。方法の交換ですよ。」

「・・オリオン王国へ移住者の方が増えそうだな。」

「そんな事にはならないのではないですか、皇帝への崇拝者たちが居ますから大丈夫でしょう。」

「・・・・・まぁいいこちらも承諾しよう。」

「ありがとうございます。グラムット帝国全土へ布告してくださいね。」

「・・・・・・」

アレクが何故ここにこだわっているのかはこのグラムット帝国の人種差別にある。人間上位主義で固まっているグラムット帝国では獣人、エルフ、ドワーフ等の種族が迫害されているからである。

「宰相、オリオン王国はその人たちに対してグラムット帝国へ手数料としてグラムット帝国へ一人につき金貨1枚、その領地の領主にも金貨1枚を支払いましょう。色々と手間がかかりますので手数料です。」

今のグラムット帝国は戦争で多大な被害にあい金がない、広い国土を復興する金がない。領地の割譲も荒らされた土地を割譲することで金を浮かせようとしていたのだ。そこに思わぬ提案である。グラムット帝国と領主に金が入ってくる。今迫害されている者達はオリオン王国への移住を希望するだろう人である。人口の多いグラムット帝国だ、何とかなりそうだと結論を出した宰相は思わずニヤリとしてしまう。

「いいだろうその提案に乗ろうではないか。」


アレクにもグラムット帝国に対して無償で金貨をばらまくつもりは無い。復興作業で戻ってくることを考え広いグラムット帝国の経済支配を強める作戦である。


「あっ、宰相一つ報告がありますね。」

「アレクス殿なんだね。」

「迷宮国家アルテミスとオリオン王国は同盟を結びました。」

「なっ、なんだってあのアルテミスがありえん。」

「私が当分は国王代理を務めますので宜しく。」

「えっ、アレクス殿がアルテミスの国王代理になるのか。アルテミス殿はどうしたのだ。」

「それは迷宮国家アルテミスの秘匿事項になりますからお教えできませんね。アルテミスの各領主は承諾していますので。グラムット帝国へお貸している迷宮の区画ですがこれからどうするのかを考えてくださいね。」

「・・・・・・そうだアレクス殿私も報告があった。グラムット帝国より独立した小国群であったが我が国へ戻りたいそうだ。まぁ割譲地域の国はオリオン王国へおまかせする。」

「・・・・・・そんな小国要りませんよ。」

「私も小国の王へ確認したのだがな是非、オリオン王国へ編入したいと頑なに申していてな。」


そんなやり取りを見ているルドルフは呆れていた、片手で握手をして逆の手で殴り合っている様に見えているのだ。ルドルフはこの二人にはかかわらない方が無難と判断をしていた。


大まかな停戦合意に達した両国は一旦兵を全軍引くこととなった。オリオン王国連合軍はグラムット帝国から割譲される拠点地まで軍を引いた。

グラムット帝国軍は各地に戻って行った。

両国は最終の詰めを高官たちが行っていた。これが終われば終戦合意の調印を行う事となっている。



アレク、ルドルフ、カインは一度、オリオン王国へ戻る事となった。拠点地のオリオン王国連合軍はデリックが留守番の指揮を執る事になった。




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