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229話

迷宮国家王城


アレクはヘルモンドに連れられて迷宮国家王城に来ていたが王と会うのはアレクだけのようだ。ヘルモンドは別室に下がり、アレクは一人貴賓室で待っている。

すると一人の女性が部屋にやってきた。白髪のまだ若い女性である。


「アレクス殿、お待たせしました。私がこの迷宮国家アルテミスの王、アルテミスです。」

アレクはじっとアルテミスを見つめている何も喋らない。アルテミスもアレクに見つめられても何も言わない。数分が経ちやっとアレクが言葉を発する。

「初めまして、アレクス・オリオンです。見つめてしまい申し訳ございません。」

「いいえ、アレクス殿であればそうなるでしょう。」

「だから他の者達はいないのですね。」

「そうです。アレクス殿に私を理解してもらいたかったのです。」

「質問を良いですか。」

「どうぞ何でも聞いてください。」

「どうして人間の形になっているのですか。」

「ふふふっ。それはですね、私が他の迷宮核とは違うからです。アレクス殿と繋がっている迷宮核からの知識は間違ってはいません、ですが正確とも言えません。迷宮核をつくったのが私ですから多少操作をしています。」

「そうですか始まりの迷宮だったんですね。」

「アレクス殿お願いがあります。」

「何でしょうか私で出来る事なら協力はしますよ。」

アレクとアルテミスはみつめ合い両手を繋いだ。

アレクの中にもの凄い量の情報が入ってくる。その処理だけでアレクは人としての動くことの機能を一時的に止めなければいけないほどの情報であった。この世界のすべての事柄、歴史、各迷宮の情報、そして迷宮がこのアースに来た理由である。


アレクは一時間ほど固まったままである。微動だにしない、情報処理をしているのだ、しばらくしてアレクはふーっと息を吐いた。


「そんな状態で良く動くことが出来ますね。」

「アレクス殿、もうそろそろ私の機能は停止します。後を引き継いでいただけますか。私の機能が停止をしてしまえばこの迷宮国家は崩壊します。」

「家畜として取り込んだ人間を助けたいという理由ではないでしょう。何故この迷宮を残したいのです、その情報はありませんでしたね。」

「お話しいたしましょう。この迷宮はご存じの通りこの惑星アースの最初の迷宮となります。私が各地に迷宮をつくりました。迷宮は機械生物ですが寿命はあります。今まで修復と修繕を繰り返し維持をしてきましたがもう限界です。まだ動くうちに権限、情報等のすべてをアレクス殿に譲渡できればと思います。譲渡できれば私が残したい訳の情報も入っています。私でもこの情報を今の段階で解放できないのです。アレクス殿に私を支配していただかなければできません。」

「アルテミス殿が消えて迷宮国家の人達は納得しますか。」

「それは心配ありません。アレクス殿の支配下に入り、この新しい迷宮核をこの場所においてください。そうすれば人としての姿形は維持できます。ただ維持だけですので動かしてください。だからアレクス殿なのです。アレクス殿以外では誰も出来ません。迷宮核には意思はありませんから、唯一アレクス殿だけが人間と融合できています。普通出来ませんよ、自分のお腹に迷宮珠を入れるなんてことはしません。」

「ハハハ、そうですね。私もあの時は必死だったのでしょう。」

「アレクス殿は3つの迷宮を支配下に置いています。これは今まで誰もいませんでした。迷宮を支配した者は過去に何人かいましたが一つの迷宮だけです。この迷宮も過去に一度だけ人の支配者がいました。この姿がその方です。」

「それも情報にありませんでした。興味深いですね。」

「私は迷宮ですがこのアースを愛しています。この惑星すべてを守っていきたいと思っています。」


アルテミスとアレクスは消えた。


アレクは迷宮の最下層にいた。その空間は迷宮核の中である。この迷宮核は長い年月を生きている。その大きさも他の迷宮とは比べ物にならない程巨大だ。空間全体が迷宮核となっている。アレクはある種の安心感を覚えていた。この中にいると安心してしまう。


アレクの中に新たな情報が流れ込んでくる。



アレクはアルテミスからの情報を見ていく。それはこの迷宮が何をしているのかが分かった。幸いな事にこの惑星には迷宮の源である魔力が大気中にあった。迷宮が生きることはできたのだ。そして迷宮は生き残る事をしなければならない。このマントルに覆われた惑星で生き残る事をしなければならなかった。



この迷宮は惑星アースを守っていたのだ。迷宮の下にはマントルがある。この場所は蓋をしていないとマントルが地上に出てきてしまうようだ。それでこの迷宮が蓋をしているのだ。もしこの迷宮が無ければこの惑星アースは溶岩の惑星であっただろう。3億年前にアルテミスがこの惑星に飛ばされた時は溶岩の海であった。アルテミスは自身が生き残るために溶岩の吹き出す穴を塞いでいった。少しずつ、確実に塞いでいった。すべてを塞ぐのに1億年の歳月がかかっていた。そして大地を創り、海を創った。最初は小さな土地であったが一度環境が整うと海と陸は変貌していった。アルテミスは陸地を多くするためにマントルを噴火させたり止めたりと陸地を増やし生き物を放っていった。

それは飛ばされる前の情報を元に少し変えて生き物を創ったのだ。失敗作もいくつもあった。

そして今の惑星の形になったのが今から4000年ほど前である。それからは人が増えていき国ができ争いも起きていた。徐々に今の形になっていった。

そして2000年前にアルテミスの支配者が現れる。何も力のない女性であった。たまたま迷宮に落ちてしまったのだ。その時に迷宮に触れた。迷宮は情報取りのためにその者の中に入っていった。その女性は迷宮の存在を知らなかった。神とでも思ったのだろう。迷宮を利用しようとはせずに祈りだけをしていた。迷宮はその女性を利用して人の生活を学んだ。そして戦争が起きた時にその女性は人々を引きつれて迷宮に逃げこんできたのであった。そして迷宮国家アルテミスが出来たのである。

人々は外の世界に出て行く事をしなかった。

時は流れて迷宮が人々の生活の中に入っていった。冒険者たちが迷宮でお宝を探し、魔物を狩る。

迷宮は各地に迷宮を創り出していく。今惑星アースには36の迷宮が存在している。


アレクは情報をざっと見ていたが時が経っていることに気づいた。アルテミスと一緒に貴賓室に戻って行った。


そして二人は迷宮国家の領主たちが集まる広間に現れたのである。






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