225話
要塞内
この場所にいるメンバーはアレク、カイン、ルドルフ、デリックの4人である。
「ハロルド様はオリオン王国に戻られた。」
「その方がいいですね。」
「アレク、これからどうする。」
「カイン兄、帝都を囲むことになりますが、問題はそこからですね。」
「下手に攻められないていう事か。」
「ルドルフ兄その通りです。」
「帝都は100万以上の民がいると言われています。その民が兵となった時は撤退するしかありませんね。」
「兵になっているなら戦えばいいだろう。」
「カイン兄、そうはいかないんですよ。帝都民を殺して恨みを買いたくないんです。帝都民を一人も逃がさずに殺せるならそれでもいいでしょう。一人も逃がさずに殺すことは無理です。100万人以上ですから150万にかもしれません。さすがに一度に殺すことが出来ないのです。逃げられたらゲリラ化する恐れがありますので、なるべく帝都民達には被害が出ないようにしたいのですよ。」
「ましてや帝都は二重構造となっています。地上の都市を根絶やしにしてもまだ地下都市があります。一撃で仕留める手段があってもやりません。皇帝がいるかいないのかの不確定要素がありますが帝都の城を壁で囲います。万一いなかった時は諦めて城だけ崩壊させましょう。一度帝国の城を壁で覆うとなったら内外からの攻撃が続く様になります。」
「アレクそんなことが、出来るのだろうな。お前が言っているのだからな。」
「ルドルフ兄、この帝都は迷宮化させていますので壁を作る事は大した作業ではありません。」
「だがその城での戦闘には慣れた者以外は難しいだろうな。」
「そうですね、カイン兄の部隊、私のアレク隊と空兵隊で行きます。ルドルフ兄は帝都を囲んだ兵たちの統率をお願いします。多分ここが一番の激戦になるでしょう。帝都の周りから帝都を助けるために国中の帝国軍が押し寄せて来るでしょう。」
「ま、マジか。」
「大丈夫ですよ艦隊もいますから、寝る暇はないでしょうが撃退は出来ますよ。デリックもいるし何とかなるでしょう。」
「・・・・・・」
「帝都の防壁を守るのか。」「そうなりますね。帝都の出入りできる門をすべて塞ぎますから出入りが出来なくなります。外からくる帝国軍は城壁を壊して中に入ろうとするでしょう。それを入れないように守ってもらいます。」
「なんか矛盾してないか。」
「していますよ、でもこれは必要な事なのです。グラムット帝国の皇帝を倒す時に大事な証人が必要なのです。それが帝都に住む者であれば一番なのです。」
オリオン王国軍は帝都へ向けて進軍していく。
「これが帝都か凄いな。」
「こんな巨大な都市見たことないぞ。」
「何だあの坊壁は20メートルはあるぞ。」
「ルドルフ兄感心している前に、帝国軍を蹴散らしてからですよ。」
「おっとそうだな、帝国軍はざっと見ると15万はいそうだな。」
「まずこの軍を殲滅しないと帝都には入れませんからね。」
「アレク、俺が行くからな。」
「カイン兄、さすがに15万はカイン兄の所でも多すぎでしょう。」
「そうか行けそうだけどな。」
「一度全軍で激突しましょう、これで裏切者が分かるかもしれませんからね。」
「そう言う事か、そうだな帝都前の一大決戦だものな。」
「カイン兄獣人隊を味方の中に散らばせてください。裏切り者が出たら獣人達に始末してもらいます。」
「分かったぞ。獣人なら早く動けるしな。」
「そうです、お願いします。」
オリオン王国軍10万とグラムット帝国軍15万が帝都手前で激突した。結果はオリオン王国軍の圧勝である。帝国軍は帝都には逃げ込まずに各地に散らばっていった。15万の兵を殲滅することは出来なかった。グラムット帝国軍15万はオリオン王国軍の攻撃に恐怖状態に陥り一人の兵が逃げたことで雪崩のように逃げていった。オリオン軍は追撃をしていくがバラバラに逃げられてしまったことで殲滅は出来なかった。
「よしやるか、小型艦は帝都の防壁の上にいる兵を殲滅しろ。私が帝都の門をすべて塞いだら城壁に上り帝都にグラムット帝国兵を入れるな。内外からの攻撃を受けるが耐えてくれ。」
「防壁の上で防衛する部隊は用心しろ。後の部隊は防壁周りに配置に着く様にな。」
「はっ。」
「ルドルフ兄あとはお願いね。カイン兄行こうか。」
「おう。」
アレクとカインは空母と小型艦に乗り込み帝国の城の上空から城に飛び降りていった。
アレクはすぐに城門を塞ぎ出入りが出来ないようにしていった。城門は2か所であった。機人、木人、空兵隊たちを城門と城壁の防衛を任せてカインの部隊とアレクの部隊は城の中に入っていく。
アレク達は城中を探した。見つけることが出来なかった。
「何処にもいないな。」
「アレク、城にはいないみたいだな。」
「仕方ありませんね、捕虜に尋問をしましょう。」
アレクの前にグラムット帝国の高官が連れてこられる。
「あなたに聞きたいことがあります。」
「なぜ、オリオン王国に戦争を挑んだのですか。」
「・・・しらん。私たちは上からの命令に従うだけだ。」
「あなたグラムット帝国の高官でしょう。」
「・・・ああそうだ、だが知らんのだよ。この帝国は宰相閣下が皇帝陛下からの御言葉を伝えている。誰もがそのお言葉に従うのだよ。」
「・・・・そうですか、では宰相はどこにいますか。」
「昨日はいたが今日は見ていない。どこにいるかは知らん。」
「ご協力ありがとうございます。捕虜として監禁しますが手荒なことはいたしません。」
「そう願いたいな。」
アレクは宰相の執務室、皇帝の居住していた場所を確認していく。一つ一つ何かがないかを探していく。
帝国宰相の執務室は書類で埋もれていた。この宰相が作戦全てを出していたのが分かる。ものすごい量の資料が部屋中に散らばっている。
アレクはこの資料をすべて運ばせた。後で確認をするためだ。
綺麗になった部屋の中を見ていくと「隠し部屋か」壁の一部に違和感がありアレクが触れると壁がスライドしていった。そこは隠し通路になっていた。アレクは一度その壁を閉めた。アレク隊の3人にこの場所の守りを任せ、皇帝の住んでいた場所に足を運んだ。
その場所は人が住んでいたようには見えなかった。幾ら高貴な人でも生活していた痕跡は出るものだ。使用人が片付けていても多少は分かる。食事、着替え等生きていれば生活の跡がある筈である。だがこの皇帝の居住空間にはない。アレクは皇帝はこの場所にいないことが分かった。
部屋の周りの壁を調べるとここにも隠し通路が一つある。
アレクとカインは二つの隠し通路から同時に侵入することにしたのだ。




