22話 ルドルフ婚約する
数日後
まだオリオン家の人たちは王都にいた。
これからは王都での用事が増えるためであった。
王都に屋敷を構えるよう勧められ、格安で王家より購入したのだ。
バタバタと忙しい日々を過ごして少し落ち着いてきた頃。
「これが、王都のお屋敷ですか」
「住みたくないね」
「私は、住まないから」
「どうでもいいわ」
「改装しないと住めないね」
「お化けがでそう」
「・・・・・・・・・・」
数日を費やし改装、いやほとんど建替えが終わり。
アレクたち兄弟は、王都オリオン伯爵屋敷でくつろいでいた。
「いやぁ、俺が準男爵だよ」
「でもぉ家族全員が貴族家の当主っていいの?」
「領地持ちじゃないからいいんだよ」
「まぁ、今と変わらないよ」
「多分・・・ね・・」
「・・・・」
ハロルドとエレメルは王城から戻ってきた。
ハロルドは王都民から、炎の魔導士の二つ名が与えられていた。
ハロルド、商売の天才とか二つ名がいっぱいだ。
ハロルド、頑張ってるなぁ。
「「「「「「父上、母上お帰りなさい」」」」」」
「ルドルフ、お前の結婚が決まったぞ。」
「えっえええええええええええぇ」
「クリスティーナ殿下だ」
「殿下って王族?」
「そうだ、結婚に伴い降嫁する予定だ」
「・・王族なんて、・・む、むりです」
「4,5年前まで騎士爵だよ。いいの?」 (レオン)
「ルドルフと結婚させるために、伯爵にしたんだろな。釣り合いを取るためにな。」「お前は準男爵だが伯爵家の嫡男だ。いずれ伯爵だ、がんばれよ。」
「明日、殿下と顔合わせだからな。一番いい服を着なさい。」
「・・・いい服は一枚しかないよ。」
「「「「「ルドルフ兄、おめでとう」」」」」
「おめでとう」
「断ることなんてできないのよ。」
「だよね~~」
ルドルフよ、結婚はいいぞ・・・かもしれない。(謎の声)
翌日
ハロルド、エレメル、ルドルフの3人は、豪華な馬車に乗り王城に行く。
「ルドルフ、そんなに緊張しないの。」
「無理ですよ。国王と話しをするなんて。」そっちか。
暫く経つと国王陛下、王妃、クリスティーナ殿下が家臣を引き連れて現れる。
国王陛下は、威厳のある風貌を作り出し気合十分のようだ。
王妃と殿下はニコニコと楽しそうに入ってきた。
「ハロルド伯爵、よく参った。」
「はっ、陛下も昨日ぶりですがお元気そうで」
「このところ、毎日会っているな。」
「ハハハハハハ・・・」
陛下とハロルドは、二人で笑い出す。この二人結構馬が合うのだ。
似たもの同士なのかもしれない。
「息子のルドルフです。」
「ハロルド・オリオンが長子ルドルフ・オリオンです」
「魔導士ルドルフよ、善き男のようだな」
「・・・・・」
陛下とハロルドは、息子と娘の顔合わせだが延々と違う話をしていた。
あきれた他の4人は(本当は女3人)、楽しそうにこれからのスケジュールを決めていくのであった。ルドルフはあっちの話に相槌を打ち、こっちの話に相槌を打ちと、一番大変そうに動いていた。
この姿を見ていた、国王と王妃は内心は大喜びだった。
優しそうで、働き者・気が利く、顔は普通、ルドルフの株は急上昇中だった。
オリオン家に降嫁するクリスティーナ殿下も終始笑顔で楽しそうに話をしていた。
ルドルフの母エレメルとかなり打ち解けていた。
ハロルド、エレメル、ルドルフの3人が屋敷に帰ってきた。
「おかえり。ルドルフ兄ぃ、殿下はどうでした~」
「いやぁーすごく綺麗な人だったよ。」
ちょっと嬉しそうに答えるルドルフ。実はルドルフ結婚する気満々である。
クリスティーナを見て惚れてしまったようだ。だけど顔合わせではみんなと話を合わせる様に頑張っていたのだ。
ルドルフ。気を使いすぎると、ハゲるぞ。
「ルドルフ、明日主だった家臣を集めるぞ。今後の、オリオン家の方針を伝える。」
「手配をしておくように。」
「はい父上、広間でよろしいでしょうか?」
「そうだな、広間で行う。」
その日、ルドルフの兄弟たちはみんなで結婚を祝い、冗談を言い、ルドルフをからかっていた。
さすがルドルフ長兄だ、兄弟のからかいを華麗にかわし、ジャブを打ち込んでいた。そして袋叩きに合っていた。(口撃です)
オリオン家は、賑やかだった。