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217話

SEオリオン海の港


「テルセ、アクラーお帰り。アースは丸かったようだな。」

「師匠ーーーー。」

「アレク様ただいま帰りました。」


テルセとアクラーが帰ってきたのだ。惑星アースを一周してきたのだ。


「どうであった。」

「新しい大陸を見つけました。」

「何だと、人は住んでいるのか、国はあるのか、文化はどうなっている。」

「アレク様、お、落ち着きましょう。」

「おおう、すまない。でどうだ。」


テルセの話はこのアース大陸の東に進むと大きな大陸があるという。その間には大陸というには小さく島と言うには大きなものが中間にあるという。大きさは聞いた限りではアースと同じぐらいのようだ。

国としては数十か国あり魔法、技術等はアースが上のようである。その大陸は多少の小競り合いがあるが比較的平和を維持している。交易相手としては最適な相手になる。テルセは中間の大きな島を中継地点として新大陸とアース大陸からタンドラ大陸と回るように交易が出来ると説明をされる。


「その大きな島には人は住んでいるのか。」

「はい住んでおります。」

「人間はほとんどいませんが。獣人、鳥人、魚人などが多く住んでいます。国としては成り立ってはいません。各部落に分かれて生活しています。」

「テルセお前その大きな島を纏めろ。」

「はい??」

「その大きな島をテルセがまとめて領主になるんだよ。」

「えーー。嫌ですよー。」

「纏めたら交易をやらしてやるぞ。」

「ううっ、・・・・でもアレク様その大きな島は普通の国が2,3個は入る大きさですよ。」

「そんなに広いのか。」

「はい上空を観察しましたから間違いないです。」

「大きすぎるな、では人の住んでいない場所もあるだろうな。」

「それはあるでしょう。各部落での生活がすべての島ですから。それ以外は興味がなさそうです。」

「よし、なら空いている場所に人を送り込んで、その場所を領地とする。」

「そ、それは俺がやるんですよね。」

「当たり前だろう、テルセ以外は出来んだろう。テルセは万能職だからな。」

「・・・・・アレク様、なら俺がその大きな島を開拓したら開拓した場だけで構いませんので自治を認めてください。」

「テルセ、一つ聞きたい、自治を認めて何をする。」

「目標は迷宮都市のような自由都市を造りたいです。」

「危険だな。」

「えっ、何故ですかみんなが自由に交易と平等を手に入れられるんです。危険など有りません。」

「テルセでもわからないのか。いいかテルセ、まだ民は平等、平和にはなれていない。平等という言葉さえ知らないのが現実だ。テルセ、迷宮都市がなぜうまくいっているか分かるか、私が自治領主だからだ。もし領主がいなかったら迷宮都市は纏まりが無くなり無法地帯になっているぞ。領主が民に自由を与えているから上手くいっているのだ。それが最初から自由となったら争いにしかならんぞ。」

「そうですよね、俺もアレク様に聞くまでは何も知りませんでした。」


「テルセ、まだ早いというだけだ。お前が土台をつくればいいだろう。まずテルセが領主となり民に自由を保証してやる事だ。そして民に学ばせるのだ。人とは何か、自由とは何か、平等とは何かを民に教えるのだ。長い年月をかけて生活を染みこませるのだよ。それで民は気づくはずだ、世代が変わり昔を知る人と新しく生まれた人が交わるときに自由の意味を民たちは理解してくれるだろう。学問でいくら教えてもこればかりは理解できないだろう。一人だけが理解しても意味のないことだ。そこに住む全員が分からなければいけないことだ。」

「アレク様俺に大きい島の開発をやらせてください。お願いします。」

「テルセ、開発した場所だけで自由を与える事をしろ。島全体を自由にするなどは考えるなよ。」

「しませんが、何故でしょう。」

「その島で今生活をしている者達はもう自分たちのルールがあるのだ。その事をきちんとテルセが理解しなくてはならない。お前の考えが正解ではない。人それぞれに正解があるのだ。」

「そうですね、色々な人がいますね。気を付けるようにします。」

「そうだな、とりあえずアース大陸とタンドラ大陸で開拓民を募集していけばよかろう。テルセがメンバーを選び理解できるものを選べばよかろう。」

「はい分かりました。俺の自由都市の隣にオリオン領も造っておきますね。何かあった時に助けてもらわないと行けなせんので。臨時の代官を務めておきますので資金をお願いします。」

「・・・・・・・・好きなだけ持っていけ。」


「アクラーはこれからどうする。」

「俺は師匠の元にいるよ。世界を見てみたかっただけだから。行きたくなったらまた行くさ。」

「そうか、よく戻ったなお帰りアクラー。」

「師匠、今回の艦隊を俺がこの後も指揮していいかな。何か艦隊のみんなと離れるのが寂しくて。」

「いいぞ、だが、テルセの開拓を手伝ってやれ。艦数を増やしてやるから分艦隊を回してテルセを手伝うようにな。ついでにその市町駐留基地も造っとけよ。」

「・・・・・なんか今までと変わんなくないか。」


アレクはそそくさと逃げて行ってしまった。残されたテルセとアクラーは大笑いをしていた。アレクが変わっていなかったからだ。今、帰る場所に戻ってきたと実感がわいてきたのだ。二人はここが帰る場所になっているんだと初めて気づいたのである。


その夜はテルセとアクラー、艦隊の帰還を祝い、大宴会が催された。近くにいる者達全てを巻き込み、飲めや歌えやの大宴会である。食堂を始め全ての飲食が無料となった。その日の海の港は夜が明けるまで飲んでいた者が大半であった。翌日の出航であった船が出航していなかった。翌朝に到着した船は海の港が異常に静かな事に異常事態と思い大変な騒ぎになった。数日後には笑い話になったが。当日は二日酔いの者達が対応したせいで混乱に拍車がかかっていた。



アレクはテルセとアクラーからのお土産を持ってオリオン王国王都ブレストに向かった。



「父上、母上お久しぶりです。」

「アレク、久しぶりだなどうしたのだ。」

「テルセとアクラーが新しい大陸を発見しましたのでその報告に来ました。」

「なにまた大陸を見つけたのか。」

「まぁ今回はこの世界を一周しただけですので他にあるかもしれませんが。このアース大陸と同じぐらい広い大陸です。多くの国がありこれから交易も出来るようになると思います。」

「ほう、平和な大陸なのだな。」

「聞く限りでは多少のいざこざはあるようですが比較的平和なところのようです。色々な物を貨物船に積んでありますので後で家臣たちに持ってこさせます。」

「おぉー見てみたいな、異国の物は珍しいからな。楽しみだな。」


「それよりアレク。後でルドルフの所に行ってちょうだい。」

「母上、ルドルフ兄がどうかしましたか。」

「まぁいけば分かるけど、レオンの所にシルバーウルフを上げたでしょう。」

「ええ遊びに行った時に子供たちと約束してしまいましたので送りました。それが何か。」

「もう大変だったのよ。レオンの子供たちがここに遊びに来た時にシルバーウルフ2頭を連れてきたのよ。モフモフで触り心地がもうたまらないわ。はっ。いいえすぐにルドルフの所に行ってシルバーウルフをお願いね。」

「母上、ルドルフではなく母上がほしいのではないですか。」

「違うわ、ルドルフの子たちが欲しがっているのよ。ルドルフの子供は3人よ。シルバーウルフを4頭用意しなさいね。」

「・・・・・・・・」


アレクは黙って部屋を出ていった。ルドルフの部屋へ向かうためである。





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