表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
215/919

215話

Tオリオン王国


「メイサ陸戦隊隊長。」

「はっ、ユリ提督。」

「メイサ隊長には兵3000を任せます。全員が魔法使いですが剣と槍も使える者達です。ウエストリー王国各地を解放していきなさい。」

「はっ、必ず任務を遂行いたします。」

「その前に目前の敵を殲滅してからですけどね。」


ユリの目前にはウエストリー王国軍5万が5軍に分かれて距離1キロで対峙している。

ユリの今いる場所は、ウエストリー王国国境付近である。ユリは艦隊を使わずに陸路で進軍をしていた。艦隊を連れてこなかったわけではない。艦隊はきちんとついてきている。

ユリ艦隊は空兵隊をすべて地上に降ろし陸路で進軍させていた、艦隊は敵を囲むように指示を出している為に今は近くにいないのだ。

陸上部隊は総勢5000である。Tオリオン軍5000対ウエストリー軍5万の戦いである。ウエストリー軍はTオリオン王国を恐れていたが、敵兵5000と知り敵軍を視界に入れた時から舐めてしまっている。


ウエストリー軍の将軍であろう者が前に出てきた。

「Tオリオンの諸君、我が5万の兵がお前たちを殲滅するだろう。だが今なら私の慈悲で許そうではないか、10倍の兵を前では戦いにもなるまい。女は奴隷、男も奴隷として我がウエストリーに仕えさせてやろう。」

ウエストリー軍から歓声が上がる「うおおおおおおおおおおお。」


ユリが前に出ていく。

「私はTオリオン王国宰相であり将軍でもある。このウエストリー王国殲滅のすべての采配を行なう者である。ウエストリー王国の兵に選ばせよう。Tオリオン王国に従属するなら兵の命は助けよう。軍幹部、貴族は皆殺しにする。」


敵軍から大きなブーイングがくる。


ユリは気にすることなく自陣に戻り、戦闘準備にかかる。


「陸戦隊、戦闘準備をしなさい。軍の幹部と貴族は出来たら生かして拘束せよ。無理に拘束しなくても構いません。戦闘後生きている者だけでいいです。」

「はっ。」

「ではそろそろ行きますよ。」

ユリは上空に向けてファイヤーボールを放つ。そうすると遠くから小型艦が高速でウエストリー軍に迫り包囲していく。包囲した小型艦はウエストリー軍を魔力機関弾で殺していく。

ダダダダダダダダダダ、ダダダダダダダダダダ、ダダダダダダダダダダ。


「ぎゃー。痛いよー。ぎゃー。ギャー。いやだー、たすけて。ぎゃぁー、ぎゃーぎゃー。」


小型艦からの砲撃は止んだ、ウエストリー軍の兵の死体が軍の周りを囲うように死んでいる。中にはまだ生きている者も多いようだ。うめき声と鳴き声が死体の壁から聞こえてきている。


そこに陸戦隊が突入してきた。ウエストリー軍は混乱の坩堝であった。兵は恐怖でしゃがみ込んでしまっている。貴族、軍幹部たちも恐怖で身動きが取れない。陸戦隊が突入しても抵抗らしい抵抗も受けずに殲滅していく。突入後時間が経つと敵兵たちも少し立ち直ってきたが戦うのではなく、逃げ出していったのだ。一番最初に逃げ出したのは戦闘前に口上を述べていたあの将軍であった。将軍が逃げれば後はもう、雪崩のように兵たちは逃げていく。


ユリはわざと敵を見逃していた。

ウエストリー王国中に噂を広めるためである。

貴族と軍は黙っていても、兵たちは違う、真実を民に伝えていく。

この5万対5000の敗北をウエストリー王国民は知ってしまった。王国民は落ち着いていた、この噂と同時に平民は殺されないと噂が流れていたのだ。ユリが今後の統治をやり易くするために流した噂である。貴族は殺すが平民に罪はないと噂を流したのである。騒いでいたのは貴族達であった。貴族達は最後の決戦と言い張りウエストリー中から兵を募った。集まってくるのは貴族達だけであった。平民の軍兵たちは強制で参戦するがやる気が全くないのだ。

盛り上がる貴族達と冷めている平民、この状況で少し物の分かる者達は皆逃げ出していった。持てる財産をすべて持ち隣国へ逃げていったのだ。残されたのは無能たちである。ウエストリー王都にゆっくりと進軍してくるTオリオン王国軍、それを待ち構えるウエストリー王国軍と貴族達。

特に貴族達は毎夜、未来の自分の武勇を誇っていた。

「ワシが、Tオリオン王国軍など蹴散らしてくれる。」

「何の、私が我が部隊を引き入れれば、敵の5000など問題にならんです。」

「敵5000では足らんな、私の兵5000で受けてやろう。」

「・・・・・・・・・」


ユリの陸戦隊は貴族のいなくなった地域を占領していった。

残っている貴族もいるが、領地の安堵で降伏を受け入れていった。この貴族達はウエストリー王国が負けると思っている貴族達であった。残っている貴族は少数であったが、そこはどこも民が楽しそうに暮らしている領地であった。

ユリは、広範囲に占領地域を広げなるべくゆっくりと王都に迫るようにしていた。無能と有能を判断するためである。逃げる貴族は逃がす、貴族は他国へ噂を運んでくれるからだ。だがユリも一つ誤算が発生した。これはのちに判明するがウエストリー王が家族を残して逃げてしまったのだ。


ユリはTオリオン王国の北側半分を占領地とした。まだ半分残っているが王都がウエストリー王国のほぼ中央に位置している為に先に王都を攻略することになった。王都目前にはウエストリー王国軍3万と貴族軍3万が待ち構えていた。ウエストリー王国軍はあまりやる気がないようだ。軍から覇気が感じられない。逆に貴族軍からは物凄いやる気が感じられるが、纏まりがないようだ。各貴族達は己の兵と固まり他と連携する様子さえない。


ユリはこれでは戦闘にもならないと判断を下した。陸戦隊の者達もいつも戦闘をしている者達である。ウエストリー王国軍をみて分かったのであろう。戦闘準備だけはしているが殺気が消えていた。


ユリは目の前の敵が王都に逃げ込めないように小型艦を王都の後ろから敵軍に砲撃をあたえる事にした。

王都の上空から突然現れた小型艦にもう敵はびっくりしてそれだけで動けなくなっていた。小型艦からは魔力機関弾が敵軍に向けて放たれていく。ウエストリー軍と貴族軍はもう軍としての機能していなかった。平民の兵たちは逃げ出し、残された指揮官は小型艦に剣で突っ込み戦死していく。貴族軍は何もせずにただ殺されていった。


小型艦からの砲撃がやむと。ユリの陸戦隊は生きている者を拘束して致命傷以外の者は治療をしていった。王都の中にいる民はすべてを見ていた。




ユリと陸戦隊が王都の門を潜るとウエストリー王都民たちから歓声が上がった。ユリたちをウエストリー王都民が歓迎して迎え入れたのであった。



評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ