213話
迷宮都市
アレク達は湖の村に帰っていた。
「父上、ドラゴン、ドラゴンー。」
「オスカー、分かったから少し待ってなさい。」
アレクは、迷宮核に行く事にした。シルバードラゴンともう一つ何を制作するかを悩んでいた。迷宮核が色々な魔物情報を流してくる、アレクは一つを選び制作することにした。グリフォンそれはライオンの体に鷹の顔と羽をもつ魔物、前足は鳥の足の様に鋭い爪があるが、太い、デカい「綺麗だなー。」アレクの感想だった。グリフォンは大きな羽を広げ威厳に満ちていた。
アレクはシルバードラゴン、シルバーウルフ2頭、グリフォンを連れて屋敷に戻ってきた。待ち構えていた子供たちは一斉にアレクに群がっていく。小さくなっているドラゴンをオスカーに渡すと、オスカーはドラゴンにお辞儀をしていた。誰かから教わったのだろう。一生懸命にドラゴンに説明をしている。
アレクはマリアーヌとマルティナがほぼシルバーウルフを独占していることから、レインにグリフォンを渡す。レインは初めて見るグリフォンに飛び込んでいった。ふわふわの毛並みの中に埋もれている。それに気づいたマリアーヌとマルティナもグリフォンに飛びこんでいった。
グリフォンは3人の子供を受け止めている。少し嬉しそうだ。
子供たちはドラゴンとシルバーウルフ、グリフォンと遊んでいる。みんな仲良くできそうだ。
アレクはノースオリオン王国にシルバーウルフの輸送を頼み、自身はSEオリオン王国に向かった。
SEオリオン王国
「宰相、すまんな。だいぶ遅くなった。」
「いいえ、とんでもございません。」
「で話とはなんだ。」
「陛下、その件なのですが。」
宰相の内容はSEオリオン王国の隣の国の事であった。隣と言っても南地域の隣国である。SEオリオン王国の運河を挟んで隣接している国、ケレン王国。この国がSEオリオン王国に相談にきているのだ。その相談とは援助を申し込んできている。このケレン王国は親グラムット帝国でも親オリオンでもどちらでもない国である。宰相も王国連合に加わるなら話ははやい、援助もしやすくなる、銀行も紹介できる。だが王国連合に加わらずに援助を申し込んできている。最初は思惑があるのかと疑い、調査をしていたが何も出てこなかった。さらに調査を進めていくと、このケレン王国は超貧乏国家であった。グラムット帝国とも隣接しているこの国はグラムット帝国からの嫌がらせ等を排除するために鎖国をしていたのだ。だがもう限界に来ていた。隣国との交流を止めて十数年であるという。農業を中心とした国であり何とか食べるだけは出来ているが、他は何も出来ない状態のようだ。宰相も、それなら王国連合に加われば改善をすると進めてのだが、ケレン王国は自国が貧乏国家の為、治安が悪くなり改善をした後に参加を検討したいと言われる。何とも煮え切らない相手であり、宰相も困ってしまった。
「よく国が持っているな。」
「そうなんです、不思議なんです。」
「鎖国をしているんだよな。」
「はい約20年ぐらいだと思います。ケレン王国はグラムット帝国の嫌がらせを躱すためにすべての国との国交を断ちました。」
「なぜ今になってうちに援助を申し込んでくるかだな。」
「そうです、まぁでも情報を集めればSEオリオン王国に来ます。お金がある、話が分かる相手ですら。」
「宰相、普通自分では言わないぞ。」
「ハハハハ。」
「SEオリオン銀行で融資をしてやれ、そのついでにケレン王国に行って調査をしてくれ、SEオリオン銀行にも伝えてくれケレン王国を調べるように。」
アレクは何かが引っ掛かっていた。何かは分からないが、何かあると思えていた。
「よろしいのですか、ムダ金になるかもしれませんが。」
「ああいいよ、自国の民ではないが民の為に使われる金だ。民の為に貸し出してやれ。万一損失がでた場合は私が補填するとSEオリオン銀行に伝えておけ。」
「はい、分かりました。」
アレクはSEオリオンの各大臣と色々と打ち合わせをしていく、各大臣たちもここぞとばかりに話を持ってくる。日頃アレクがいないせいである。
「ご老人貴族達は、よくやっているようだな。」
「陛下、ご老人とはいえませんよ。30代の方たちです。」
「そ、そうだな。怒られるな。」
「あの調子なら10年契約ではなく、20年、30年でもよかったですね。」
「マルキス内務大臣、契約を延ばいいではないか。」
「いやー、延ばそうと交渉したのですが、一部の方は承諾してもらいましたが、他はダメでした。」
「そうなのか、理由はどんなことだ。」
「それがですね、若くなったので旅をしたいという者が多いです。飛行船がありますので。夢が広がっているようです。人生100年とか言ってました。」
「・・・・・まぁ、元気な証拠だろう。」
そう老人パワーは物凄かった。新生SEオリオン王国は広大な国土になった。SEオリオン王国は臨時の代官で急場をしのいだ。これが大当たりであった。齢で引退などをしていた者である、経験は豊富であり、判断力もあった。仕事の要領もよく、人の使い方もうまかった。まさに欲しかった人材である。
この250人の老人たちはSEオリオン王国に欠かせない存在となっていた。
各地の領主たちも困ったことがあるとこの代官たちに相談に来るようになり。地域のとりまとめから、政策のアドバイスまで多岐にわたり活躍している。
アレクもその活躍に報いるために、爵位を上げて対応はしているが追いついていない状態だ。跡継ぎがいる老人たちには改めて領地を渡す様になっていた。
アレクはSEオリオンでの話が終わり、今度はTオリオンに向かう。
「師匠、お待ちいてました。」
「ユリどうした、何か問題でもあったのか。」
「問題は問題なのですが直接の問題ではありません。コルン王国がマイルド王国と戦争になりました。」
「まぁ、コルンも言っていたからな。勝てそうなんだろう。」
「ええ、負けないですよ。Tオリオン王国も戦力を貸していますから勝つと思いますが、その後が心配です。」
「どういうことだ。」「勝ち方が如何かで今後が変わると思います。圧倒的な強さで勝ってば問題は無いでしょう。ですがそれ以外の勝ち方ですと、Tオリオン王国の存在がこの大陸で大きくなりすぎます。」
「そうか、うちがいたから勝てたと思われるってことだな。」
「そうです、今回は師匠は参戦していません。そのことが影響しなければいいのですが。」
「私がいないと、圧勝出来ないと思われることだな。」
「コルン王には圧勝してもらわないと、今後の展開がやり難くなりますので頑張ってもらわないといけません。」
「コルンも大変だな。ハハハ。」
このタンドラ大陸にはまだ20国近くの国々が存在している。コルン王はそのすべてを支配下に置くために最初の相手に選んだのがマイルド王国である。