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21話 ハロルド華麗なる詠唱

打ち合わせ


「父上、・・詠唱の件ですが。演出の為に呪文を変えたいのですが。」

「どれ」

「これなのですが、」


我が名ハロルドの名において我が友妖精ファイムに命ず。ファイヤーボール・ファイエル


「この、ファイエルで上げていた腕をこうやって、手を指すのです。」


「・・・・・・・・・・・・・・前のままでいい」



「気を取り直して打ち合わせをするぞ」




「魔法公開に向けて城内・競技場の準備は王国側でやる。

貴族、外国の要人の案内等も王国。

進行は宰相殿が行う。

魔法を開発した功績を国王が宣言する。

魔法の実演等をオリオン家でやる。これはオリオン家の威信に関わる事だ、失敗は出来ない。」

「・・・・」

「・・・・・」



「やはり父上が白タイツとかぼちゃパンツをですね・・・・・」

「いや、仮面をかぶって・・・・・・・・」

「それなら・・母上もードレスと杖で・・・・・・・」

「アレクちゃん。」

「ごめんなさい。」すかさず土下座をするアレク。



「でも、父上のかぼちゃ・・・・・」

「ルドルフ、標的の件はどうなっている」

「それはですね・・・・・・」

「・・・・・・」

「・・・・・・・・」


オリオン家はいつも和気藹々なのだ。




翌日



とある施設、ここはオリオン家の者しかいない。

魔法公開の実演の練習中なのだ。

「父上、会場の形がこうですので・・・こちらから入って・・・」

「ここからは、国王に礼をと・・・そこで・・・・」

「ここで、一回、ターンして・・・それから・・・・・」

「観客に向かって・・・・・・・」

「標的に向けて・・呪文を・・・そして・・・・ズバッと・・・・」

「・・・・」

「一通りの流れは、こんなもんですね」

「この部分は全て省く」

「これは絶対に省けません」


ハロルドは必死である。かなり恥ずかしい行動なのだ。一生の笑いものになる。いや永遠に語られる伝説なのだ。



ハロルドは自分1人だけでは派手さが足りないと、ルドルフを出演させる事にした。ルドルフは、自分だけ犠牲になるのはおかしいと兄弟全員が詠唱呪文なしで出演をさせる。

ルドルフは、母に声をかけようとしたが睨まれたので止めといた。

演出をあーだ、こーだと、話し合いながら決めていった。ハロルド以外はみんな楽しそうにやっている。



数日練習をしていた。いよいよ本場の日がやってきた。



城内会場にはローエム王国内すべての貴族が集まっている。





ローエム国王



「諸君たちは運がいい。今日の歴史に残る、この瞬間に立ち会えるのだから。


今回のこの功績は、ローエム王家とオリオン家である。


この世界中の夢が、今現実になったのだ。


魔法が誰でも使える。



余は、ここに宣言する。世界中の人々誰もが魔法を使えるようになったと。」



「しぃぃぃぃぃぃぃ~~~ん」「・・・・・・・・・」みんな意味を理解していない為無言であった。



ドンマイ、国王。



会場にいる貴族たちはこいつ何言ってんだ。という顔をしている。



国王の宣言後、詳しい内容説明を行っていくうちに本当なのかとなり、段々と盛り上がっていった。


その後、貴族たちは競技場に移る。王都民も競技場に押しかけての大混乱になった。

予定が2時間遅れで実演に入っていった。

魔法の実演は予定通り進む。

ハロルドの(華麗で大げさな動作と)詠唱に観客は魅了された。

オリオン家全員による無詠唱の魔法発動に感動され。

観客の魔法発動、実演を行なった時はこの日2番目の盛り上がりを見せた。 


 

一番はもちろん国王宣言だ。



実演セレモニーは大成功におわった。


この後オリオン家は、国王から世界的な功績を称えられる。


この功績により、オリオン家の全員が魔導士の称号を与えられた。



陞爵も告げられた。


ハロルド・オリオン伯爵

エレメラ・オリオン準男爵

ルドルフ・オリオン準男爵

レオン・オリオン準男爵

マリア・オリオン準男爵

レリア・オリオン準男爵

カイン・オリオン準男爵

アレクス・オリオン準男爵


他にも、騎士爵の任命権を5家分、  

南部開発権(これはローエム王国から見て最南端のオリオン領だが、南の山脈の向こう側の開発権である。)


ローエム王国の土地ではないので、全部オリオン家の物だと宣言したのだ。

陞爵も、紙一枚なのだ。

魔法解放の褒賞としてはかなりの安上がりである。だが違う。


ローエム王国は大盤振る舞いだ。

ローエム王国内で貴族位を授かる事はこの時代かなりの功績を上げなければならなかったのだ。それが一族全員が貴族の当主となったのだ。他の貴族がかなり騒いだのであった。



王家主催のパーティーではオリオン家の全員が飲み物を一口も飲める暇もなく。国王に連れまわされ。貴族に質問攻めにあい。年頃の子を薦められ上段で挨拶をさせられた。     


オリオン家の人達はその日だけで、一生分の愛想笑いをしていた。




燃え尽きた。まっ白になった。 もう何も残っていない。みんな疲れ切っていた。







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