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208話

獣王国


「親分、親分ーー。」

ゴン

「あ痛っ。」

「なんだガル。」

「あっ親分飯が出来ました。食べましょう。」

「おおそうか行こうか。今日は何かな。カミュウの料理は美味いからな。」

「あっそうだグレイ宰相が、探してますた。」

ボカッ

「あ痛っ。」

「それを先にいえ。」

「親分すいません。宰相に探すように言われた後に姉さんにご飯の事言われて忘れてました。」

「まぁいい、先にグレイの所に行ってくる、ガルはカミュウに伝えてくれ。」

「へい、分かりました。」


「グレイどうかしたのか。」

「カイン様、探しましたよ。」

「少し訓練しててな。それより如何した。」

「それなのですが、獣王国の南にあるアイトス王国とその隣のラクレイ王国が戦争になりました。いかがいたしましょう。」

「隣が戦争したぐらいでうちが騒ぐ事無いだろう。」

「いいえそれが大ありなんです。難民が押し寄せています。獣王国は難民を受け入れると思われていますから。」

「いいんじゃないか受け入れろよ。」

「アイトス王国とラクレイ王国と戦争になりますよ。良いのですか。」

「なんでそんなことで戦争になるんだ。」

「両国ともに難民を国へ戻そうとしています。それを獣王国が受け入れると両国と揉めます。そうなると争う事になるでしょう。」

「いいか獣王国は困っている者達を助ける。困っている難民がいれば受け入れろ。勝手に戦争して王国民を疲弊させて逃げ出して来るまで追い詰めているんだ。そんな国には用は無い。ブッ飛ばしてやる。気にせずに難民を助けてやれ。」

「分かりました。では獣人隊を国境警備強化を行います。」

「よし分かった。アイトス王国とラクレイ王国の兵と争っても構わんと伝えてくれ。」

「分かりました、両国にも伝えます、間違いなく両国とも獣王国に宣戦布告してきます。もしかしたら、これが狙いだったのかも知れません。他に隣接している国にも警戒しておきましょう、周りの国全部が一斉に来られたらいくら獣王国でも持ちませんから。」

「南部巡回の艦隊がいたな少し留まるように伝えてくれ。ホリーの分艦隊だったかな。」

「はい、伝えます。」

「頼むな、俺はカミュウの飯を食べてくるから。」

「カイン様、私は昼ご飯も食べていませんよ。」

「・・後で弁当を持ってくるよ。」

「おお、お待ちしております。」

グレイはよだれを垂らしている。獣人はご飯と聞くとなぜか涎を垂らすものが多い。

書類をしている文官たちは事務仕事をしている時はご飯という言葉は禁句になっている。書類の上によだれが落ちるからだ。よだれのせいで書類がダメになる事件が多発したために残業が多くなり城や役所ではご飯、飯などの食べ物の言葉が禁止となった。アレクはその話を聞いた時は笑い転げて死にそうになっていた。

この話はオリオン王国連合では有名な話だ。よだれ事件として獣王国にはポスターまで張られて注意喚起がされている。連合各国が獣王国を訪れた時に必ずこのポスターの説明を受ける。役人に食事を誘うからだ。周りの事務をしている者に聞こえたりしたらよだれで書類がダメになるからだ。みんな苦笑いをしながら聞いている。最初は誰も本気にしなかったようだ。


カインはカミュウのご飯を子供たちと争うように食べ、カミュウ弁当を持ってグレイの所に戻ってきた。

「グレイこれを食堂で食べて来いよ。」

「おぉぉぉぉ、待ってました、カミュウの弁当は久しぶりです。美味しいんですよね。」

グレイはカインとの話もせずに食堂へ行ってしまった。カインはそこにある書類に目を通しハンコをポンポン押していく。書類が一段落した頃にグレイが戻ってきた。

「カイン様お待たせいたしました。美味しかったです。」

「そうか良かったな、又作るように伝えておくよ。」

「ありがとうございます。では話を先ほどの件に戻しますが、先ほど各国の大使館に連絡を行いました。後日返事が来るでしょう。獣王国は難民を助けると宣言しましたのでまず間違いなく両国と戦争になります。」

「よしこちらも準備をしなければならないな。」

「すでに国境に獣人隊2000人が待機しております。それとカイン艦隊もいつでも出れるようにしています。」

「分かった、両国からの返事を待って攻め込むことにするか。」

「分かりました。」



数日後




カインと獣人隊はラクレイ王国とアイトス王国の連合軍と対峙していた。両国は戦争をしていたが獣王国に対して連合を組んでしまった。ラクレイもアイトスも単独では獣王国に敵わないと理解をしている。そこで両国は自分たちの戦争を棚に上げ獣王国を非難してきたのだ。獣王国は難民保護を掲げている。戦争によって難民が発生したのはラクレイ王国とアイトス王国である。それを難民と認めずに王国民を奪ったと言ってきたのだ。流石のカインも怒った。いやいつも怒っている。

カイン軍は空母2隻と小型艦10隻、2000の獣人隊とカインである、対するのはラクレイ王国2万とアイトス王国3万の合計5万である。

カインは空母からレッドワイバーン隊を出して先制攻撃を加えた。レッドワイバーン隊は張り切っていた。なぜか搭乗員よりレッドワイバーンが嬉しそうに内からファイヤーボールとファイヤーアローを放っている。レッドワイバーンにスキル玉を飲ませたことでファイヤーアローが放てることに嬉しくて戦いたかったようだ。




それを見た獣人達は黙っていない。俺が俺がと勝手気ままに攻め込んでしまった。カインも先頭で飛び込んでしまったせいもある。作戦も何もないただ相手に飛び込んで吹き飛ばしていくだけであった。

敵は色々と作戦を考えていたようだが、少数の敵が5万の軍に飛び込んでくるとは思っていなかったようだ。2000の兵に対して5万全軍が2000と対峙できるわけではなく、5万の軍は機能しなかった。敵の数が少なすぎて、せいぜい敵と対峙できるのは6000余りであった。獣人達は敵軍を殴り倒して進んでいく。5万対2000ではなく、6000対2000の戦いを繰り返していくと、5万の軍は数を減らして撤退を始めた。

カインは敵軍を撤退に追い込むと自分たちも引き上げていった。後はグレイに任せてカインと獣人達は大宴会に移っていく。カインは難民たちにも酒と食料を配り宴会に参加をさせた。難民たちはついていけない様であった。何しろテンションが違った。悲壮感に満ちた難民は獣人達の単純さに少し癒されたようだ。戸惑いと嬉しさの間にいる難民たちは徐々に慣れていき楽しくご飯を食べていた。



カインは難民たちにすべての難民を保護すると宣言をしていた。希望者は獣王国の民になる事も出来ると伝えていった。



その後、グレイがラクレイ王国とアイトス王国と3か国で話し合いラクレイ王国とアイトス王国両国から領土の割譲を勝ち取っていた。今の難民も希望者は獣王国で引き取る事になり両国は素直に引き下がった。獣王国と戦争するより、仲間になり国を栄える方法をグレイから伝えられ、興味を持ち3か国で協力する事になった。両国は獣王国の発展を知っている。もの凄い勢いで発展をしているのだ。獣王国が発展に協力してくれるのなら多少の土地など問題は無かったようだ。土地は余っているのだ。

獣王国も経済圏を広げることができ戦争での土地の割譲で勝利をしたことが明確になり不敗伝説を継続出来た事が獣人達の誇りとなっている。


難民たちも割譲された土地で開発を行い、そこに住めるようになった。



3か国は南西地域の中心地として発展をしていく事になる。

そこにはリア銀の影があった。開発地にはリア銀ありと言われるほどにリア銀は至る所に支店を出していった。獣銀もあるのだがなぜか獣人達もリア銀に行くのであった。




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