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199話

コルン王国


「コルン、準備は出来ているか。」

「はい、師匠。」

「そうだ、ユリ。ギレント王国からは返事は来たのか。」

「来ました、こちらです。」

「ギレント王国は、知らぬ存ぜぬか。」

「そうです、どうしますか。」

「そうだな無理やり攻めてもいいが、それだと芸がないな。ドラゴンで一度城に行ってみるかな。」

「・・・・・ギレント王国最後の日にならないことを祈っています。」

「・・・ダイジョウブダヨ。」


アレクはブロンズドラゴンに飛び乗りギレント王国王都に向かう。



ギレント王国はドラゴン襲来に大騒ぎとなっていた。アレクは王都の街中に降り立つ。逃げまどっている王都民達は、ドラゴンが降り立ったことにさらにパニックが広がり収拾がつかなくなっていた。子供が倒れてしまい、人に踏みつぶされそうになっている。アレクは慌てて子供を助ける。踏みつぶそうとする男をアレクは吹っ飛ばす。

「お前なにをやっているんだ。子供が死ぬところだったぞ。」

「す、すいません。ご、ごめんなさい。」

「気を付けろよ。」

「あ、あっあのうドラ、ドラゴンですか」「そうだ、ドラゴンだ、かわいいだろう。」

「はぁー、だ、大丈夫なんでしょうか。」

「安心しろ、誰も襲わない。」


小さな女の子はアレクにお礼を言って去っていった。


アレクとドラゴンは町を見ながら王城からの兵たちを待っていた。街は誰も居なくなり静まり返っている。

遠くから兵の足音が聞こえてくる。


王都の広場にいるアレクと小さなドラゴンは椅子に座りテーブルでお茶を飲んでいる。ドラゴン用の皿にフルーツジュースを入れたものをドラゴンはペロペロしている。アレクは普通のお茶を飲んでいる。


アレクの周りを兵が取り囲む、その中から一人の鎧を着た騎士が出て来る。


「貴様は誰だ、ドラゴンはどこに行った。」

「私はアレク、ドラゴンはお前の目の前だ。」

その騎士は目を見開くが、目の前には小さな生き物がいるだけだ。すると突然小さな生き物が大きくなっていく、先ほどのドラゴンが目の前にいたのだ。騎士は腰を抜かしてしまい、仲間の騎士に助けられていた。


「ギレント兵の諸君何か用かな。」

先ほどとは違う騎士がアレクに向かい。「貴様は誰だ。」

「お前は馬鹿か、私はアレクと先ほども言ったであろう。」

「ええいうるさい。何しに来たのだ。」

「知りたいか。」

「はやく答えろ。」

「お前らを殺しに来たのだ。」

するとアレクは取り囲んでいる騎士たちに向けて剣を振りぬく。当たる筈もない剣はなぜか騎士たちを斬り裂く。4,50人いた騎士たちは10人前後になっていた。驚いている騎士にアレクは又剣を振る、離れている騎士は鎧ごと斬られていく。残り二人になった時にアレクは二人に向かい城に案内をするように伝える。騎士はもう逆らう事が出来ない状態であった。ドラゴンは小さくなりアレクの肩に乗っている。


城に着いたアレクは、門の前にいる兵を殺す。案内していた騎士は無言である。アレクは一人の騎士に王に伝えるように伝言を伝える。一人の騎士は走りだし城の中に消えていく。残された騎士にアレクは城の中を案内をさせる。

城内では立ちはだかる騎士たちを斬り捨てる。廊下は血の海になっている。もう騎士たちも遠巻きに見ているだけである。

案内をする騎士が立ち止まる。「こ、こです。」

「そうか命がほしければ城から逃げる事だな。」

アレクは騎士にそう伝えると、扉を開けて中に入っていく。

中には4,5人の男たちが剣を構えてアレクを睨んでいる。アレクは気にすることなく部屋のソファーに腰掛る。

「ここに王はいるか。」

「・・・・・」

「はー。最近の王は声の出ないやつが多いのか。」

「・・・・」

「まあ良い、今日は遊びだしな。」

「・・・・・」

「1時間後この城を破壊する。忠告に来た。死にたい奴は城の中にいろ。1時間後だぞ逃げるなら早くした方がよいぞ。」

アレクは部屋から出て行ってしまった。城の外に出たアレクは王都の広場に戻りまたお茶を楽しんでいた。

王都の民が少しずつ戻ってきている。アレクは王都民に向かい。「あともうすぐで城が崩れるから近づかないように」と、注意をしていく。王都の民は馬鹿にしたような顔をしている。先ほどの子供がアレクに聞いてくる。「本当にお城は壊れるの。」

「壊れるよ。だからお城から遠くにいなさい。」


1時間が経過した。アレクはドラゴンに乗り城の上空を飛んでいる。城の中の人は避難しているようだ。アレクはブロンズドラゴンをホバリングさせている。上空から見る城は真四角が二つ重なったような形をしていた。

「少し複雑な形だな。」ブツブツ。


「ブロンズ見てろよ。新しい魔法だぞ。圧縮。」

ボコボコボコ。ガラガラ、ボコボコボコ、ガラガラガラ。ドーン。ガラガラ……。


城は側面と上からの何らかの圧力に押しつぶされていった。一度崩れ始めた城がすべて瓦礫になるまで数分の時間であった。遠目で見ていた王都の民は驚いた。そこにあった城が崩れてなくなっていく。物凄い土煙が街中に入ってくる。土煙は数時間もの間、王都民の視界を塞いでいた。

視界の戻った王都民が見たものは遠くに山が見えていた。今までは城があって見えなかった山が見えるようになっていた。山が見えるようになっても何も変わらない、城が無くなった方が重要であった。

王都民が城が無くなったことに気づいたときにはアレクとドラゴンの姿は消えていた。


「ただいま。」

「師匠、何処に行っていたのですか。探しましたよ。」

「ちょっとギレント王国まであいさつに行ってきたよ。」

「そうでしょうね、相手の反応はどうでしたか。」

「アクラー、ユリから聞いたのか。」

「はい先ほど師匠を探していたら、ユリ姉弟子が教えてくれました。」

「ハハハ、そうか。」

「強そうでしたか。」

「アクラーもうお前の相手を出来るのは弟子たちぐらいだぞ、自覚しろよ。」

「そ、そんなこと分かりません。強大な敵が現れるかもしれません。」

「アクラー夢でも見てるのか。」

「希望的観測です。」

「まいいか、ギレントの城を圧し潰してきた。」

「えッ、押しつぶしたですか。」

「違う、圧し潰しただ。圧縮魔法だ。今度見せてやるからな。」

「本当ですか、絶対ですよ。」

「ああ今度な。」


アレクはコルンの屋敷に向かう。


「コルン、お前王都をどこにするんだ。」

「師匠、それなんですがどこがいいでしょうか。」

「そりゃ、港に都市を造るのが一番いいだろう。」

「あ、いや、うちにはそんなお金が無いんですよ。」

「コルン、金の事は気にするな。金はある。港に向いた場所を早く探せ。民に仕事を造らなければならないぞ。」

「は、はい、すぐに探します。本当にお金は大丈夫ですか。」

「心配症だな、いいや違うか。今まで金で苦労してきたか。コルンはいい王になりそうだな。」

「師匠、貧乏を馬鹿にしてますぅ。」

「違うぞ、オリオン家も貧乏でな。誰からも相手にされなかったんだ。」

「ええーーー。そうなんですか、一緒ですね。」


コルンは妙にハイテンションになっていた。アレクと共通点があったことが嬉しいようだ。


そんなコルン王国で数日を過ごしたアレク達はギレント王国に向かい進軍することになった。





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