193話
会議室
アレク、カイン、リック、マック、ユリ、マルコ、アクラー、コルン王、騎士マーリン、アダムス子爵の10人が会議室に入る。
「もう話は分かっていると思うが戦争をする。」
カインは嬉しそうだ、久しぶりの戦闘にワクワクしている。アレクは見ないふりをしている。
「ごほん。えーと、コルン王国は3か国から攻められ国土がもうほとんどない状態だ。ゼスト王国とルガー王国とは国境が繋がっているが、トミス王国とは陸上では行き来が出来ない。
まぁ、関係ないがな。カイン兄はルガー王国を潰してくれ、元コルン王国の民は保護してくれ」
「任せとけ。」
「ユリ、マック、リックはトミス王国を潰せ。」
「「「はっ、了解しました。」」」
「マルコお前には悪いが今回は留守番だ。ここの防衛と物資の輸送を頼む。」
「えーー、まぁ仕方ないですね。でも次はお願いします。約束ですよ。」
「私はゼスト王国をやるからな、アクラーも付いてこい。」
「はい。」
「まぁ王都の城を占拠して降伏をさせる、いつものパターンだな。次回はもっとひねった作戦を考えよう。」
コルンとマーリン、アダムスはアレクの言葉が理解できていなかった。この人数で3か国と同時に戦うなど普通は信じられないからだ。いくら空飛ぶ船があろうとタンドラ大陸有数の国を相手にするのだ。
「し、師匠お話の途中ですが、質問をいいでしょうか。」
「コルン何かわからないことがあるのか。」
「あのですね、師匠の話によりますと、この人数で戦争を3か国を相手にするように聞こえてしまうのですが言い間違えでしょうか。」
「言い間違えではないぞ、今いるもので戦争するんだ。」
「師匠は、このタンドラ大陸に来てまだ日が浅いですからご説明します。この3か国は・・・」
「コルンまて、分かっている。」
「えーー、本気なのですか。この人数で3か国を相手にすると、そして勝とうとしているのですか。」
「コルンとやら、勝とうとしているのではないぞ、勝つのだ。俺とアレクがいて負けるわけがないだろう。」
「カイン様ですね、よろしくお願いいたします。。」
「コルン、まぁ見ておきなさい。SEオリオン王国とカイン兄の獣王国の精兵部隊の実力がどんなものなのかをね。」
「ユリ艦隊はどのくらい連れてきている。」
「はい・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・」
「なら、コルン王国から3か国に領土の返還を要求せよ。拒否してから宣戦布告だな。」
「アレク、ならまだ時間あるな。俺がコルンを鍛えてやる。」
「それはいいですね、コルンは魔法は使えますが接近戦は教えていませんからお願いいたします。」
「えええーーーー。」
コルンはカインに訓練に連れ出され、獣人たちに交じり接近戦を習得していった。
コルンはボコボコにされても立ち向かい獣人達を驚かせていた。コルンの根性に獣人達は喜び、絶賛していた、頭のいい脳筋の誕生である。
数日後3か国からの返事が届いた。予想通り国土の返還には応じない。逆に3か国は喜んでいるようだ、コルン王国を亡ぼす理由が出来たからだ。
コルン王国は3か国に対して領土奪還の為の宣戦布告をしたのである。近隣諸外国に対しても同じように書状を送り3か国に加担した場合はその国も宣戦布告とみなすとしたのである。近隣の諸外国はコルン王国の発表を馬鹿にして相手にしなかった。3か国から物資等の融通を持ちかけられ、高く売るなどをしていた。
そして3か国の戦争準備が整う頃、アレク達も動き出した。
「カイン兄、とりあえずはルガー王国だけで今回の戦闘は止めてね。」
「ええーー、ルガーに物資を売った国が隣にあっただろう、そこもいこうぜ。」
「まずはルガー王国を亡ぼしてから行くようにするから、作戦があるんですよ。」
「まぁ、アレクが言うなら仕方ないか。とりあえずはルガー王国だけにしとくか。」
コルンはアレクとカインの会話をいまだに信じられないでいる。自分も強くなっているのは分かる、だけど一国を相手に出来るほどは強くはない。
アレクはコルン王国軍とSEオリオン王国軍の合同軍にするためにコルン王国騎士15名と行動をともにするようになった。
「それでは行こうか。」
アレクは遠足にでも行くような軽い言葉でゼスト王国へ向けて飛び立っていった。
アレクに同行するのは、アクラー、コルン王、コルン騎士5名とアレク艦隊である。
「師匠、俺に先陣をやらせてください。」
「アクラーまたかこの前に戦わせただろう。」
「でも師匠、弟弟子が出来たし、俺の強さを見せたくて。」
「ゼスト王国が出てきた場合だけだぞ。」
「師匠、ありがとう。」
アレクはアクラーには甘い。
「報告します。ゼスト王国軍、平原にて布陣しております。数およそ4万です。」
「4万かアクラーでは少しきついだろう。」
コルンはアレクとアクラーとの会話についていけない、1対4万の話をしている。考えらられない。同行している騎士たちも同じのようだ。
「アクラー負けたら兄弟子の威厳に関わるぞ。少し数を減らしてからやるようにするぞ。」
「仕方ないですね。2万なら何とかなると思います。」
「あっ、師匠。鎧機人は30体いますか。居れば周りを固めて貰い、後は小型艦で打ち漏らしをお願いできれば何とかなります。」
「アクラーお前、必死だな。面白そうだからやっていいよ。」
「師匠ありがとう。」
「アクラーが出たら各艦でゼスト軍を包囲しろ、鎧機人を30体で外の兵を潰させろ、アクラーにも鎧機人を10体つけるいいな。」
「はい分かりました。」
「ガレオン号は敵正面で停止、あまり離れるな戦闘が見学できなくなる。」
ハハハハハ。艦内に笑い声が響き渡る。コルンたちは、この人たちと行動を共にして大丈夫なのかと不安になった。
「ガレオン号はこの位置で上空で待機、ここなら戦も見れるな。」
「師匠、では行ってきます。」
「気を抜くなよ。」
アクラーはガレオン号から飛び降りた、それに続き鎧機人10体もアクラーに続いて飛び降りていく。
地上に降りたアクラーと鎧機人10体は敵軍の前1キロ地点にいる。
アクラーは敵軍に向かって叫んでいる。
「ゼスト軍に伝える。降伏するなら1分待ってやる。考えろ。1分後に皆殺しにする。」
アクラーは本気で言っていたが、ゼスト王国軍は相手にしていなかった。何しろ11人しか相手がいないのだ。普通で考えれば、ゼスト軍は間違ってはいない。だが相手が悪かった。
「1分経ったな。ゼスト王国兵に次ぐ、降伏をしたくなったら地に伏せよ。兵は助けるかもしれないが指揮官と貴族派皆殺しは確定した。行くぞーーーーーー。」
アクラーは一人でゼスト軍に突っ込んでいった。数秒遅れて鎧機人も後に続く。