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190話

アレクは、海の港に来ていた。アレクがガレオン号で王都オーストを出たときにテルセから連絡が入ってきたのだ。ゼスト王国の船が入港した、それも数十隻の船が来たとの連絡にアレクは行先を海の港にしたのだ。


ゼスト王国の交易船が再び入港している。

「テルセ、ゼスト王国からの交易船は相当な数だな。」

「キース殿も意気込んでいるんでしょうね。」

「ハハハ、そうかもな。」

「キース殿たちには展示品を見学して頂いています。」

「そうか、終わったら会う事にしよう。」



ゼスト王国の商人、ゼストはこの海の港をみて驚いていた。数か月前に来たときはまだ開発途上の港と思っていた。だが今はきれいな街並みが続き人が生活している。前回は労働者ばかりが目立っていた。

信じられないが、こんな短期間で都市が出来上がっているのだ。そして何だこの飛行船の数は50隻はある。小型艦が多いが空を飛べる船だ。やはり相当な国力を持っている。SEオリオン王国を見てみたいとキースは思っている。今回は金を大量に持ち込んだ。全財産を持ってきたのだ。人生最大の大勝負を賭けているキースは何としても王にもう一度会って交渉をするのだ。テルセ殿に頼み王都に連絡を入れてもらった。

そして今日、テルセ殿が王が来ると伝えてきたがテルセ殿は苦笑いをしていた。理由を聞くとちょうど来る予定であったと言っていたが、絶対に違うだろう。何かがあったのだ私の勘がそう言っている。



キース達一行は、海の港に新しく建てられた迎賓館に連れてこられた。以前の役所ではなく、きちんとした客を迎える建物だ。それも豪華な建物である。どこかの城かと思うような豪華さである。その建物の中にある広間、ここが謁見に使う場所なのだろう。鎧を着た騎士が壁にずらりと並んでいる。豪華な鎧だ買いたい。

キースは欲望を抑え、黙ってSEオリオン王国の王が来るのを待っていた。


アレクとテルセが謁見の間に入ってくる。

アレクはそのまま王の玉座がある、一段高い場所に座る。

「キースよ、よく来たな。また会えてうれしいぞ。」

「はい、国王様。お会いできて光栄です。」

「何やら多くの船で来たようだな。今回は買う方か売る方かそれとも両方か。」

「出来ましたら売り買いの両方を行ないたく思います。」

「そうか、品を見せろ。」

キースは自国から持ってきた、一級品の品名をアレクにみせていく。

「いかかでしょうか。」

「キースよ、どの品もいいものだな。」

「ありがとうございます。」

「だが要らんな。」

「えっ。」

「私は芸術には興味がない。」

キースは言葉に詰まる。芸術品は最高の交易品となるのがタンドラ大陸の常識であった。それが通じない。

「まぁ、私以外は買うかもしれんからな。ついでだアース大陸の中を見てみたらどうだ。」

「は、はい。是非、是非お願いします。」

「テルセ、運河の船を手配してやれ。」

「はい、分かりました。」

「それではまたな会おう。」

「お、お待ちください。王様。」

「どうしたまだ何かあるのか。」「こちらに居られます方はゼスト王国からのご使者になります。」


「私はゼスト王国、ノーレスト・アダムス、子爵位を陛下より受けて賜ってございます。」

「そうかアダムス。私はアレクス・オリオン。SEオリオン王国の王である。」

「はっ、こちらは我がゼスト王国陛下からの親書でございます。」

テルセはアダムスから親書を受け取りアレクに渡す。

アレクはその親書をすぐに読んでみる。通常はその場では読まない。重要な内容の場合返事を保留しなければならないからだ。だがアレクは気にしない。

アダムスは驚いていたが、何とか落ち着きを取りも出していた。

アレクは親書を読み進めていく。

「アダムス。ゼスト王国は我が国と交易の条約を結びたいようだな。」

「はい陛下、さようでございます。我がゼスト王国は、SEオリオン王国と条約を結んでよい関係を築きたいと思っております。」

「アダムスよ、無理だな。」

「えっ、あっ、失礼いたしました。条約を結ばないという事でしょうか。」

「そうだ、交易の条約、こんなものがなんの役に立つ。ゼスト王国だけが得をする内容だぞ。」

「いいえそんなことはありません。双方が売り買いを行い、互いに利益を分かち合う内容です。」

「アダムスにはそうだろう、そう見える内容だ、キース親書を呼んでみよ。」

キースはアダムスをみる。アダムスは頷く。

テルセから親書を受け取った、キースは読み進ませていく。するとキースの顔色が変わっていくのがアダムスにも分かったようだ。

「キース説明をしてくれ。」

キースはアレクをみると、頷いている。

キースはアダムスに対して説明を始める。

「アダムス殿、この親書はゼスト王国とSEオリオン王国との専属契約を結ぶとの内容です。タンドラ大陸の他の国とは取引を出来なくなります。」

アダムスはやっと気が付いた。

「あ、いや、セ、専属でなくともかまいません。少しだけ優先していただければ幸いです。」

「アダムスよ、お前は少し勘違いをしているようだな。タンドラ大陸の品などこの国ではただの粗悪品だぞ。」

「えっ。」

アダムスはキースを見ると困った顔をしている。それが事実と言っている事が分かったのだ。

「そ、そんな馬鹿な。我が国の一級品が粗悪品だと。」

アダムスは怒りだしアレクを罵り始めた。キースは慌てて、アダムスを押さえつけ、止める。

「王様、も、申し訳ございません。どうかお許しを。」

「まぁ、自分の国の品を貶されたのだ、今回は許そう。だが次は無いぞ。よく言って聞かせろ。」



キース達は謁見の間を後にする。


アダムスは怒りを抑えられずにキースに対し罵る、蹴る、殴るを繰り返していた。キースも耐えている。

アダムスが少し落ち着いてきたところでキースはアダムスに話をする。

「気が済みましたか。アダムス様、あなたはゼスト王国の代表として来ているのです。他国の王に暴言を吐くなどありえません。ご自重下さい。」

「・・・・・・だが馬鹿にされて黙っていられるか。」

「アダムス様、事実なのです。ゼスト王国の品はこの国では誰も買いません。」

「・・・そ、そんなことが信じられるか。」

「私も、最初は自信をもってゼストの品を見せました。ですがこの国の労働者階級で使用している品物の方が良い品でした。」

キースは遠い目をして空を見ている。

「ま、まことの事なのか。」

「はい、この国では、ゼスト王国の品物を買う必要が無いのです。ですから私は芸術品を見せていたのです。何度も船でご説明していますが覚えていますでしょうか。」

「・・・・・・」

「先ほど、王様からSEオリオン王国への立ち入りの許可が出ました。一度中を見てはどうでしょうか。確認することが一番わかりやすいでしょう。」

「そ、そうしてみよう、見てからだな。」


アダムスは気を取り直して自分を奮い立たせている。アダムスは「俺に失敗は許されないのだ。」独り言は誰にも聞こえていなかった。アダムスには交易を失敗することが出来ない理由がある。金が必要なのだ。



キース達は、テルセに案内をされて運河の港に来ていた。案内をするのは急遽、呼び出されたアクラーである。アレクが王都オーストを逃げ出して追いかけてきたのだ。そこでちょうど呼び出しを受けたのである。


アクラーはご不満のようだ。


「どうして俺が案内なんですか。」

「アレク様の指示です。」

「・・・・・」

「師匠は、何処ですか。」

「知りません。逃げました。」



テルセとアクラーの会話は話が途切れる。これはしょうがない、この二人は性格が全く合わないのだ。

両方ともに相手の事を嫌ってはいないが、どうしても性格が合わないのだ。お互いも分かっているから、喧嘩にも言い合いにもならないでいるのである。






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