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184話

レゲルト王国貴族の王都奪還作戦は失敗に終わった。総勢3万の軍勢が1万2000までに減ってしまったのだ。多くの貴族当主が死んだ。貴族軍は王都を離れ領に戻っていったが、レゲルト王国王都が占領され王族が捕らえられている状態では貴族達はどう動けばよいのか分からずに途方に暮れていた。

軍を率いた貴族はほとんどが戦死をしていたせいもある。貴族達は自分たちの生き残りをかけた戦いがもう一度ある事は分かっているようだ。まだレゲルト王国全土が占領されたわけでは無いのである。王都周辺のみが占領されているだけなのだ。だが時間の問題であろうことも分かっている。メルス王国とルオス王国の軍勢が戻ってきた時にはレゲルト王国全土に侵攻してくる。その時にどう動くかで自分たちの運命も決まってくるのだ。各貴族は無言で領地に戻るのであった。


レゲルト王国王都にライト軍とマイケル軍から勝利の連絡が入ってくる。

アレクはほっとしていた。信じてはいた、勝てるとも思っていた、だが実際にやらないと結果は分からない。「よかった。」一言だけであった。


アレクは、ユリ、マック、リックの艦隊を呼び寄せる。これからは広大な領地取りを行わなければならない。しかも3か国もあるのだ。レゲルト王国は広い、SEオリオン王国よりも広いのだ。海に面する山々を含めると2倍以上は広いだろう。


「よく来てくれた。早速だが作戦を説明する。ユリにはこのレゲルト王国各地の貴族領を制圧してもらう。リックはメルス王国、マックはルオス王国だな。」

「師匠、貴族達は拘束ですか、それとも死んでもかまわないのですか。」

「どちらでも構わない。統一したら領地は再編するつもりだからな。」

「貴族の身分は剥奪ですか。」

「それもお前たちに任す。貴族の態度で決めてくれ。従うなら生かして構わん。」

「分かりました。貴族によって対応を検討します。」

「ユリ、この国の前王とその娘、孫は殺さない。このことを貴族に伝えたら早く済むかもね。」

「はい、ありがとうございます。」

「それから、マックとリックのいくメルス王国とルオス王国は多分王族は死んでいるだろう。万一生きていたら保護してくれ。後、義勇兵を上手く使えよ。」

「「はい。了解しました。」」


アレクの予想通りレゲルト王国の生き残り貴族は降伏した。多くの貴族は生き残るための口実として王族が生きているのなら従うと言ってきたのだ。中には本気で王族が生かされている事に感謝する者がいた。

レゲルト王国は多くの貴族当主が死んでいた。貴族の3分の2の当主が亡くなっていたのだ。降伏する者は王都へ来るように指示を出しユリ艦隊は各地に散らばって毎日数か所を回っていた。小さな村から、大きな都市までくまなく回っている。これからの統治をやりやすい様にするためである。


マックとリックも同じようにメルス、ルオス王国の各地を回り、貴族の服従を取り付けている。こちらも貴族当主の多くが亡くなっている。後日、国の事で発表がある事を伝え王都へ来るように伝えていく。

貴族達もSEオリオン王国になると思っているようだ。王族が死亡している状態で国が負けた。その勝った国をSEオリオン王国が滅ぼしたのである。そんな国に一貴族が何も言えるわけがない。従うしかないのである。それでも当主が健在な家はまだいい方であった。当主が死んでいる家は跡目争いもあり、王都に誰が行くのかでもめている家もある。


アレクはレゲルト前国王と会っていた。

「マルレット・レゲルト前王よ、レゲルト王国は滅んだ。」

「・・・そうか。生きているうちに国が滅んだか。」

「メルレット殿、あなたは聡明な方だ。死んでほしくない。娘と孫の為に生きよ。」

「そうだな、残りの人生を娘と孫の為にささげよう。」

「娘はティラミス殿だったかな。侯爵位を授け領地も侯爵に相応しい広さをやろう。その運営を支えてやってくれ。」

「殺さないだけではなく貴族として生かされるのか。何故だ。殺した方が楽に国を纏められるだう。」

「そうだな、その方が楽だろうな。私はな、楽をしたいからで国を纏める気が無いのだよ、能力のある人々が国をつくっていくのだ。敵であろうが味方であろうが関係ない。今はSEオリオン王国の人間だ。同じ国の人なのだよ。種族もうちでは問題にもならんしな。」

「そうかSEオリオン王国の人間か。」

「そうだオリオンの民だな。」


アレクはメルス王国とルオス王国の民たちに対して、SEオリオン王国になったと伝えると同時に、もう国同士の争いも何もない同じ国になったのだ。それからは新しい時代が来るのだと演説をしていた。


「これからお前たちは、SEオリオン王国の民なのだ。同じ民族になった。オリオンの民だ。」


「ううおおおおおおーーーー。」


民衆は王の宣言に震えた。自分たちはオリオンの民だと。

その日は酒と食料が配られて王都はお祭りとなった。


民たちへの宣言は終了したが、貴族達の処遇等がまだである。


この作業は困難を極める、アレクは自分では無理と投げ出してしまった。だがユリとアクラー、アルツなどが入れ代わり立ち代りにやってくる。投げ出す訳にもいかず一時保留とした。7公爵会議をすることにしたのだ。アレクは急ぎオリオン王国王都ブレストへ向かう。


丸投げの方法を考えていた。


「父上。ご報告がございます。」

「何も聞かんぞ。勝手に戦争する奴の話など聞かん。」

「父上、そういわずに。オリオン王国の利益の話です。」

「利益などもうある。要らんな。」

アレクは、失敗を悟った。これは不味い。どうするか作戦が崩れていく。

「父上、この大陸。南部大陸での話がございます。7公爵会議で話します。ではのち程。」


アレクはハロルドの執務室を出ていく。予定が狂った。拙い何かを考えないと自分がすべてやる羽目になる。アレクはこれ以上ないほどに頭をフル回転して考えている。

だが崩れた案の事が頭に残り他の案が思い浮かばない。アレクは城の中を歩き廻っている。家臣たちは見て見ぬふりをしている。


案が思い浮かばないまま時間だけが経過していく。もうすぐ7公爵会議が始まろうとしていた。

アレクは仕方なく会議室に向かう。


会議室に入り兄弟姉妹とあいさつを交わし、いつもならじゃれ合っているのだが今日はアレクの様子がいつもと違う事に気づき部屋の雰囲気が少し違う。

アレクは一人でブツブツと呪文のように何かをつぶやいている。

そうしているうちに時間となりハロルド、エレメル、デリックが入室してきた。


7公爵会議が始まる。


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