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18話 魔法詠唄

オリオン領都、領主館の地下室。そこに、アレクのみが入る場所がある。

家族は、入らない。

アレクは、只今、魔道具の作成中である。

魔法公開に向けての、準備中なのだ。

作成している魔道具は、マイク、スピーカー、拡声器だ。

魔法公開は、王城内の広間で行われる。広く知らしめるため、王都にスピーカーを設置する。

王国は、魔法公開に合わせ、国内すべての貴族、外国の要人を招待し、権威を高めようとしている。



魔法を誰でも使える。



これは、人類の夢である。



夢の実現、魔法公開なのだ。



アレクは公開に合わせ、正式名 魔力を通す少し痛い機械、通称魔通(痛)機を作っていた。

アレクは自分が魔力通(魔法を使う為に魔力を通す作業)を自分がやるのが嫌で、この装置を作成していた。

この装置、少々の問題がある。太い注射針を腕にブスッと刺すのだ。結構痛い。アレクは自分がやられたら泣いてしまう。

だが、自分はやる必要がない。人がやる分には、痛みなど気にしない。  


アレクは、いい性格をしてる。


アレクは、あっちをやったり、こっちをやったりと、色々と作業をやりながら、魔法公開の手伝いを、いかにサボるかを考えている。

だから今、便利な魔道具を作り、その役目を魔道具にやらせるのだ。


作業をしていると、報連相の時間になり領主執務室に向かう。



コンコン「アレクです」

「入れ」

「あれ、僕が最後ですか遅れてすいません。」

「大丈夫よ、まだ時間前よ。」


執務室には、オリオン家全員+デリック従士長の総勢9人が集まっている。

魔法公開の、打ち合わせだ。

魔法公開の流れとしては、王城にて、貴族・外国の要人に向けて偉業の発表をし、この後に外の競技場にて魔法のセレモニーを行う。競技場には、一般の王都民も入場できるようにしている。

王国の平民等を対象に魔法を使えるようにするためには、王国民すべてに見せないといけないからである。

当日は王都民だけだが、翌日より各地を回る予定となっている。

各地を回る予定者は、デリックが選抜している。アレクが特訓中だ。


王国は一人いくらで金銭を取るつもりなので、ウハウハだ。


魔法詠唄も公開となるので、呪文の選定もしている。

王国民には、生活魔法、初級魔法、一部中級魔法。

貴族は、生活魔法、初級魔法、中級魔法、一部上級魔法。この上級魔法は、王国騎士団と有力貴族に公開だ。

王家は、生活魔法、初級魔法、中級魔法、上級魔法、一部特級魔法。

オリオン家は、特級魔法を秘匿する考えだ。

アレクの創った特級魔法はオリオン家以外、使えないだろうと思っている。

特級魔法は魔力が濃く、魔力量が多い者しか使えないからだ。

魔力練りがより精密に出来ないと使えないのだ。


「アレク、詠唄呪文はできたか?」

「はい、できました。」

「これが一覧です」

生活魔法  着火は「着火」水球は「水球」

初級魔法  ファイヤーボールオリオン家は無詠唄、オリオン家家臣の一部も無詠唄

  

公開詠唄呪文ファイヤーボール

「我が名において、火の精霊に命ず、ファイヤーボール」

(ウォーターボール)

「我が名において、水の精霊に命ず、ウォーターボール」


アレクは魔法発動の振りも考えていた。

呪文を言うときに、腕を上げて手のひらを空に向けながら呪文を詠唄する。詠唄が終わると同時に、振り上げた腕を標的に向けて撃つ。


アレクは、人がやる分には、カッコいいと思っている。

 

「これ、声に出して言うの、ちょっとやだなー」

「人前で、言えないわね」

「これ聞いたら、吹きだしちゃうわ」

「この言葉、言えないな」

「アレク、精霊って、いるのか?」

「いないと思うよ」「見たことないし」

「本当にいたら、精霊怒るよ」

「こっ、この呪文、私は人前で言うのか」

「当主が、貴族・王国民の前で、魔法を発動する予定になってますから当然です。大きい声で、お願いします。」

「無理だ、恥ずかしくて言えない。」

「あ・な・た、逃げるのは無理ですよ。」

「次期当主のルドルフの方が、顔を売るチャンスじゃないか」

「私は、当日裏方で、外せませんから無理です。・・絶対いやです。」

「当日、病気になろうかな・・」



「「「「「「無理ですよ。」」」」」」 


 

ハロルド、ご愁傷様。



他の家族は、話を振られないように、違う話題を話している。


この詠唄、魔法を習う人たちが魔法を使うたびに、唱える文句なのだ。

この世界が、続く限り。

そのことを、今は誰も気づいてはいない。


アレクが、ノリで創っている呪文が、100年先も当たり前のように呪文が唱えられる。



本当は、言わなくていい言葉なのに。今はまだ誰も知らない。





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