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179話

迷宮都市


「ただいま。」

「お帰りなさい。父上ー。」

「おおファーレス。元気に遊んでるか。」

「はいぃー。遊んでます。」

「アレク、お帰りなさい。オスカーもお帰りなさいは、」

「おかえりなさい。」

「オスカーただいまいい子にしてたか。」

「はい。」

アレクは家族6人が久しぶりでそろったことも有り、夕食時には話も盛り上がりアレクの盛った話で楽しく過ごしていた。

夕食後、ミルと二人になりSEオリオン王国の情勢を説明していた。

「そうですか、隣国が戦争状態になったのですか。」

「ああ、SEオリオンにはすぐには影響がないとは思うが、隣が戦争していてはなぁ。」

「ここは平和なんですね。」

「そうだな、この迷宮都市は争いも何もない。北部でも南部でもない場所だからな。」

「争いまではなっていませんが、迷宮都市内で北部、南部で意識が違うようです。」

「北部と南部での差別があるのか。」

「ええ、特に北部から来た方は、南部を下に見ています。」

「同じ人間なのだがな。」

「そうですね、獣人、エルフ、ドワーフの方々の方が北部の方々とは仲がいいようですね。」

「北部は、元々人間しかいなかったからな。大事になるようなら教えてくれ。対応を考えるから。」

「はい、口げんか程度ですから大丈夫とは思いますが、何かありましたらお知らせします。」

「そうしてくれ。」


翌日は、迷宮核の最下層へ行き、魔力の確認と機人の製造等に没頭していた。


この迷宮都市は人口が増加中だ。迷宮内に都市を造ったことで移住者が増えている。初心者の冒険者たちが押し寄せているのだ。迷宮で稼ぎながら強くなる事が、この場所で出来るからだ。アレクが初心者用の迷宮層を造っているせいだ。悪くはないのだが、迷宮を広げ改造しないと混雑して困っているとギルドから改善要請が来るほどになってしまった。アレクは初心者向けの迷宮層を倍の広さにしている。魔物、薬草、鉱石の取れる場所を広げる。それで少しは混雑が解消できるだろう。




「ファーレス。」

「はい、父上何ですか。」

「手を出せ。」

ファーレスは両手をアレクの前に出す。

「いいかファーレス、今からお前に魔力を流す、それを感じろいいな。」

アレクはファーレスの指先に傷をつける、そしてその傷から魔力を流し込む。ファーレスはビックとしながらも魔力の流れを自分の中で感じ取っていた。

「これが魔力ですか。」

「そうだ体の中に流れているだろう。」

「はい、ゆっくりですが流れています。」

「その流れを自分で動かして、自在に操れるようにする訓練をするんだ。」

「どうやるんですか。」

「私が魔力を流した時に魔力が速く動いていたであろう。速く動かす様に訓練するんだぞ。」

「はい、毎日やります。」


ファーレスは嬉しそうに答える。自分も魔法使いになった、そう思うファーレスである。


アレクはファーレスに毎日、指導をしている。魔力を流す、練ると基本に部分強化、全体強化など色々と指導していた。ファーレスも毎日が訓練で楽しそうにしている。アレクは魔力を、流す、練る事を毎日の日課にさせている。そうして訓練をしているファーレスとアレクを見ているオスカーが泣いた。


「僕もやるーーー。」


もう少し大きくなってから、などの説得が出来るわけもなく。泣いて、喚いて、アレクが折れた。

オスカーはニコニコ顔だ。

アレクはオスカーにファーレスと同じように教えていく。魔力を流す、練るこの事だけをやらせる。

「全ての基本だから。毎日練習だぞ。」

「「はい。」」

ファーレスとオスカーは嬉しそうに返事をしていた。


そうした充実している日々は長くは続かない。SEオリオン王国から通信が入ってきたのだ。それも二か所からだ。一つはSEオリオン王国王都、もう一つは海の港からである。王都からはメルス王国とルオス王国から難民が押し寄せているとの報告であるが、海の港からは、外国船が入港してきたとの報告である。アレクは急ぎ、海の港に向かうことになった。

「ファーレス、オスカー毎日訓練をするのだぞ。帰ってきたら。父に訓練の成果を見せてくれ。」

「「はい。」」

「ミル、たのんだぞ。行ってくる。」

「お気をつけて。」


アレクは海の港を目指してガレオン号に乗り込む。



海の港


ガレオン号が大空から海に舞い降りた。近くにはガレオン号より一回り小さい帆船が5隻あった。この船が外国からの船であろう。

アレクは陸に上がると、テルセが深江に来ていた。テルセの説明によると、5隻の船は別大陸から来たようだ。


アレクはその別大陸からの使者と会うことにした。


「ようこそ、我がSEオリオン王国へ。」

「私どもはダンドラ大陸にありますゼスト王国から来ました。船団を預かるキース・レンセルトと申します。」

「そうかキースとやら、この地に来たのは補給か。」

「はい、補給もお願いしたいのですが、交易を望んでおります。」

「ほう、交易か。ゼスト王国は何を交易品とするのだ。」

「はいこちらをご覧ください。お気に召すと思います。」

キースはアレクにゼスト王国より持ち込んだ品々を披露していた。キースの口も滑らかになり、交易品の説明に熱が入っていく。


「それでその交易品で何を望む。」

キースは待ってましたとばかりに「香辛料と金でございます。」

アレクは呆れていた、キースの持ち込んだ品は、悪いものでは無いが普通だ。どこにでもある物なのである。

キースは誤解していた。空飛ぶ船が来たときは焦ったが、港町は普通であった。この建物も普通である、一国の王が謁見をするような場所ではない。住民たちも薄汚れた服を着ている。貧しい国と思っていたのだ。


「要らんな。」

「はっ。」

「こんなものは要らないといったのだ。耳が悪いのか。」

「いいえ。上等な布と芸術的な陶器でございます。他の国々に売る事も出来ます。」

まだキースは誤解したままである。この王は知識が無くこうすれば儲かると教えているのだ。

「お前は、馬鹿か。こんなもの売れるか。誰も買わんぞ。」


「テルセ、民が使っている一般的な品を持ってこい。」

テルセは、町で使っている陶器や魔道具、布等を抱え戻ってきた。


「今のこの場所で、労働者達が使っている物だ。」

アレクはキースにテルセが持ち込んだ品を渡す。キースはその品々を手に取ってみると驚愕の表情になっていく。どれもこれも品がいいのだ。労働者が使うようなものでは無い。タンドラ大陸なら貴族が使うような物ばかりである。キースの目線は、その品々とアレクの顔を往復していた。

アレクはその仕草がおかしくなり、声を殺して笑っていた。

「キースよ、要らんといった意味が分かったか。」

「は、はい。これほどの品をお持ちであれば必要はないです。」



アレクはキースに大陸の話を聞いていく。


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