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171話

レンズ軍5万に対しベレーヌ王国中央軍5000である。5000の内訳はベレーヌ軍4500、アレク隊500である。


アレクは自軍に対して演説を始める。

「皆よ聞け。敵軍は野戦築城をして防衛地を築いている。これを突破しなければならない。ベレーヌ軍4500はこの場で一旦待機。アレク隊が突入後、敵の野戦築城を包囲する良いな。」

「お、お待ちください。いくらアレクス殿でも5万に500ではいくら何でも無理です。しかも城に籠っているんですぞ。」

「心配ない、まあ見ておれ。アレク隊、空兵隊よ、敵は5万だ我らは500。1人100人倒せば勝てるぞ、何も問題は無い。敵軍300迄、前進。300迄各自魔法を上空10メートルで維持しろ、広域魔法を使うぞ。いくぞ。」


「おおおおお、」


アレク隊たちはゆっくりと前に歩き出した。見送るベレーヌ軍4500は何とも言えない風である。

大丈夫なのか、ただ全滅を見せられるのか。心配顔が多い。


アレクは敵300迄前進して停止をした。敵軍も距離300では弓も届かず攻撃手段がない。昨日の夜襲が成功していれば。城を出て野戦を仕掛けていたであろうが昨日の記憶があるために躊躇していたのだ。


空兵隊、アレク隊、500は頭上に各自の最大級の魔法を維持している。

「そのまま維持していろよ。」

アレクは自身で風と炎を融合した竜巻を発生させる。その竜巻は上空で維持している各自の魔法をも飲み込んでいくと段々と巨大な竜巻となっていく。地上の物を吸い上げて木の破片、鉄の破片が凶器となっていく。竜巻はアレクにコントロールされゆっくりと敵軍に迫っていく。竜巻が敵の城に近づくと柵や人間を竜巻の中に吸い上げる。吸い上げられた人は竜巻の中で切り刻まれていく。10分ほど竜巻が敵の野戦築城を蹂躙して消えていった。レンズ軍は半分が負傷を負うか死亡している。

「アレク隊、突入せよ。」

「おおおおおおおおおーーーー。」


ベレーヌ軍4500は呆気に取られていた。広域魔法など見たことも、聞いたこともない。初めての経験だ。500人で5万を相手に勝てると思っていなかったのだろう。信じられない物を見せられて固まってしまった。ベレーヌ軍指揮官も動けないでいた。腰が抜けてしまったようだ。


一方、アレク隊たちは壊れた野戦築城に突入していた。レンズ軍は武器もない者が多く。戦うより逃げまどっている。戦闘ではなくなってしまっている。兵は武器がなく逃げる事しか出来ないのだ。敵は逃げアレク達が追いかけて殺していく。逃げ延びる者も多くベレーヌ軍の包囲が完成していれば殲滅が出来たであろう。ベレーヌ軍が呆けてしまい、完全勝利が出来なかったのだ。

レンズ軍15000が逃げていったようだ。


「アレク殿、申し訳ない。」

「いいさ、私もベレーヌ軍が魔法に慣れていない事を忘れていたからな。」

「今日はここで死体処理を行う。頼めるか。」

「はい。すぐに取り掛かります。」


ベレーヌ軍はレンズ兵の死体処理を行っていた。死体からの戦利品はベレーヌ兵が貰えると伝えたことも有りみんな張り切って死体をあさっていた。

ここで新たな問題が浮上した。あまりの多くの戦利品に兵たちの身動きが取れなくなってしまったのだ。

アレクは苦笑いをしていたが、問題の解決をしなければならず。大型貨物船を手配したのだ。戦利品の見張りにベレーヌ軍から500を残していく。そして改めて王都に進軍を開始していくのである。


レンズ王国王都より2日の距離にある事から、急がず、ゆっくりと王都に進んでいった。レンズ王国では噂が広がっていた。レンズ軍5万が500の兵に負けたと噂が広がり王都から逃げ出す者達で混乱していた。


アレクは、レンズ王国王都に着くと前面にレンズ軍が展開していた。ベレーヌ軍4500対レンズ軍5万である。レンズ軍は各地からのかき集めた軍のようだ。アレクは後ろに王都民がいる事もあり、攻撃方法を思案していた。広域魔法は使えるが万一王都に被害が出れば民が傷つく。出来れば民には無傷でいてもらいたい。正面からの激突となればこちらも被害が出てくる。負けはしないが半数以上は死ぬだろう。

「仕方ないか。」アレクは正面からの突撃を指示する。



「待てーーーーーーー。」



アレクがレンズ軍に対して攻撃命令を出そうとした時、大声が聞こえてきたのだ。聞き覚えのあるその声の主はやはりカインであった。

ベレーヌ軍、レンズ軍双方がカインに注目している。


「アレク待ったーー。」

走ってくるカインと獣人達300。

「アレク、俺の獲物だ取るなーー。」

アレクは苦笑い。ベレーヌ軍は何言ってんだ、という顔をしている。レンズ軍はじっと見ている。


「カイン兄、他の人達はどうしたんですか。」

「置いてきた。あいつら遅いんだよ。それより俺がやるから見ていろよ。」

「カイン兄、敵は5万ですよ。獣人300では無理でしょう。」

「大丈夫だ。アレクが先制攻撃をかけてくれ、そして俺たちが突っ込むから。なぁ。」

「分かりましたよ。少し待ってくださいよ。アレク隊は左に、空兵隊は右に行け敵を逃がさないように包囲するように囲んでいくぞ。カイン隊が敵と接触するまで攻撃魔法を打ち込め、カイン隊が敵と接触後は逃げてきた敵の処理だな。私の攻撃を合図に行う。各自は位置に着け。」

「アレク、俺たちだけだからな。取るなよ。」

「分かりましたよ。ベレーヌ軍はこのまま待機。」


「待ったーーーー。」


今度はアクラーが駆けてきている。



敵軍の将軍であろう「貴様ら真面目にやらんかーーーー。この大群に勝てると思っているのか。踏み潰してやる。」



「師匠、俺も行きます。ハァハァ。」

「カイン兄に着いて行け。負けるなよ。」


アレクは、レンズ軍に対してサンダーレインを放った。アレクの攻撃を合図にアレク隊と空兵隊が一斉に魔法を敵軍目掛けて打ち込んでいく。カインと獣人達はレンズ軍に突撃していく。


サンダーレインは広域魔法である。一度に1000人以上が倒れていく。レンズ軍は何が起こっているのかが分からないようだ。そして次々と魔法攻撃が襲い掛かる。5万の軍勢が密集していた事もあり。大混乱になっていた。混乱の中、カイン達が突っ込んできたのである。

300という少数だが破壊力が違う。カインの剣は一振りで数十人が死んでいく。獣人達もガンレットで殴り倒していく。殴られた兵は顔が陥没していたり、体が陥没している。鎧を着ていようが鎧ごと潰していくのだ。凄まじい破壊力だ。


アレクはもうやる気がなくなっていた。カインが来たからもう仕事は終わったと思っている。


ベレーヌ軍の指揮官が「アレクス殿、放っておいて宜しいのでしょうか。」

「ああ大丈夫だ、カイン兄がいれば5万ぐらい殴り倒すだろう。」

「・・・・・・」


カインの戦いは今始まった。



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