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159話

ファーナル2世は疲れている。ローエム帝国皇帝になり気が休まる日が無いもう辞めたい。辞めたいが無理なのは分かっている。せめてマリウスがもう少し大人になる迄は頑張らねばいけない。ファーナル2世は気力を振り絞りハロルドとの会談に臨むのであった。


ハロルドとの会談は多岐にわたり話し合われる予定である。まず反抗勢力の扱いだ。これはもう処分しかないと思われたが意外とファーナル2世が難色を示したのだ。ファーナル2世はいい人なのだ。なるべく仲良くしていこうと言う考えなのだ。これにはハロルドも困った。オリオン王国ならハロルドの決定ですべてが決まる。だがローエム帝国の場合は皇帝の決済が必要なのだ。ハロルドはこれでは国が持たないと判断をしたのだ。

「陛下。ローエム帝国を亡ぼすつもりですか。」

「ハロルド殿、私はこのローエム帝国を維持していくつもりだ。」

「今の陛下の考えでは国が滅びます。」

「話し合いでは無理なのか、同じローエム帝国ではないか。」

「同じローエム帝国ではありません。陛下の父上が広げた国です。他国の貴族も多くいるのです、しかもローエム帝国の各盟主達も健在なのです。」

「・・・・・そうだな。無理なんだな。だが出来るだけ殺さないやり方はないのか。」


ハロルドは困った。こんな優柔不断では話も進まない。一国の指導者が決断が出来ないのでは本当に国が滅んでしまうからだ。


「陛下、反抗勢力はすべて処分すべきです。」

「・・・・・・」


ハロルドはこの日の話は諦めた。


ハロルドは急ぎ公爵邸に戻り、エレメルを呼び出した。ローエム帝国前皇帝妃との面会をするためだ。


エレメルはカトリーヌ前皇帝妃との面会を取り付け、ハロルドと二人で向かう。

カトリーヌは喪に服していたが、エレメルより事情を聞き会うことにしたのだ。ローエム帝国の緊急事態と理解をしていた。カトリーヌとの話はエレメルが主体で話をしていく。

カトリーヌも皇帝の性格は十分に理解をしているつもりであったが、皇帝と言う重圧が余計に消極的にさせていると思わせていた。

カトリーヌは話が進んでいくと段々と顔色が悪くなってくる。


「エレメル何か解決策は無いのかしら。」

「ありますわ。」

「教えてもらえます。」

「カトリーヌ様がローエム帝国の宰相になる事が解決の一番の策ですわ。」

「わ、私が宰相に無理だわ。今まで政治に関わったことが無いのよ。」

「それは私もそうでしたわ、ローエム帝国の女たちはみんな政治に関わった事、働いた事もなかったのですわ。それが今では見てください。皆、立派に領主や重要な仕事をしています。」


カトリーヌも知っている。今は女領主は大勢いる事。重要な仕事を任されている人たちを見ている。だがカトリーヌ自身で出来るのか、不安が心の多くを占めている。


「出来ますわ。私もカトリーヌ様のフォローをしますわ、私だけではありませんわ。大勢の貴族の妻たち、帝国民の女たちが助けますわ。」


カトリーヌはローエム帝国皇帝と会談をした。そしてローエム帝国宰相になったのだ。


ローエム帝国皇帝は宰相にすべてを一任したのだ。


そして宰相に就任したカトリーヌはハロルド、エレメルと話を進めていく。

まず、ローエム帝国の体制を変える事であった。宰相がやり易いように変えてしまうのだ。

ローエム帝国は広大だ。そして今回の事で貴族を処分する。

ローエム帝国に拘束されている貴族は領地の没収、爵位剥奪、資産没収など様々の対応をとる事になる。

先日のアレクと同じように、本人が罪を認めた場合は家族への相続を認める事にしているようだ。ただ相続人、爵位継承者の審査が付け加えられていた。

この事で多くの貴族派は諦め、罪を認めて家族に危害が及ばないようにしていったのだ。

だが、爵位継承者がもめる事になる。カトリーヌは女の爵位の相続を認めローエム帝国で承認をしたのだ。

この事に抗議の嵐が吹いていたが、弱っている貴族の言葉など誰も耳を傾けない。

そして処分された貴族の爵位を多くの女当主が誕生した。この女当主たちはローエム帝国宰相を支持したのだ。一気に不安定な状況が改善された。

これは画期的な出来事であった。今までも女性当主はいた。だがそれは一時的なものだった。きちんと明確に爵位の女性継承を承認したことは無かったのだ。



反抗勢力の約3分の1が女当主となっていた。

残りの3分の2もほとんどが大人しくなり従った。だが当主の変わらなかった貴族たちがまだいるのだ。戴冠式を抜け出し領地に帰り着いた者達である。

この者達は処分することになる。一つ一つ潰していくしかない。この貴族の処分はオリオン家で行なうことになる。ルドルフ、レオン、カイン、アレク、デリックで手分けして行うのだ。いまのローエム帝国では処分できない場合があるためにオリオン家が出張る事になった。

ルドルフは元イングリット王国、アレクは元ルービス王国、あとは数が一番多い元ローエム王国内での行動となる。



アレクは元ルービスへガレオン号で飛び立っていた。



元ルービス王国


「へー意外と開発は進んでいるんだね。」

「そうです、ローエム帝国の領地になり開発が進められてきましたから。」

「パウル詳しいね。」

「それは質問にいつでも答えられるようにしていますから。」

「偉い。さすがだね。」


等と話をしていると人の男が近づいてくる。

「アレクス様でしょうか。」

「そうだがあなたはどなたですか。」

「はっ、これは失礼いたしました。私はこの元ルービス王国領を預かっています。レイモンド・ハンデル伯爵位をローエム帝国より承っております。」

「そうか迎えに来てくれたのかな。」

「はい。この地はいささか厄介でして、案内は必要かと思いまして。」

「それはありがたいですね。お願いします。」

アレクはこのレイモンドに事情を聴いてみる。

「戴冠式を欠席した貴族達は領地に籠っているのかな。」

「いいえ、集結しております。」

「おお、それはいいな。面倒が省けるよ。」

「えっ、集結しているのですよ、集まっているんですよ。兵を入れて1万はいます。アレクス様のこの人数では少ないと思います。」

「ああ、そんな事か、大丈夫だよ、心配はない。」


それからも情報を聞いていった。レイモンドの話では逃げ延びた貴族達は貴族連合、北部盟主、元ルービス貴族とバラバラだったがローエム帝国相手に各自で対応できないことは分かっている為、集結しているようだ。集まってはいるだけで作戦も何も出来ていない状態である。話を聞いているうちにアレクはやる気が一気に無くなった。相手が弱すぎる。



「アレク隊副隊長レビン、空兵隊1番隊隊長モント、2番隊隊長セント。」

「「「はっ。」」」

「今回の反抗勢力との戦いはお前らに任せる。3人で作戦案を出せ。2時間やる。解散。」

「「「はっ。」」」


レイモンドはアレクに確認をする。「アレクス様、大丈夫なのでありますか。」



「ああ、全く心配はないよ。明日には終わっているよ。」




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