154話
「それはいくら何でも拙いだろう。」
「統治者がいないって大問題だぞ。」
「1か国20から30って300人だろ無理だろう。」
「そんな国だとあまりお堅い人では無理だな。」
「アレク、機人はどのくらい用意できる。」
「はい、父上。50体はすぐに用意できます。」
「アレク。まずは木人と機人で国の防衛をさせろ。そんな状況だと他の国が攻めてくると面倒だ。」
「そうですね、すぐに手配します。」
「いいか役割を決めるぞ。アレクはメニダスの防衛。カインも防衛と全体の指揮だな。マリアは開発と支援の手配、イリアは資金を取りまとめろ。ルドルフは貴族候補を集めろ。レオンは南部で貴族を探してこい。
エレメルも貴族の手配を頼む。貴族は最低でも300人は必要になるぞ。それも節度のある人格者でないと今回はダメだな。頼むぞ。」
「・・・・・・・・300人無理だろ。」「無理だわ。」「3人ならな。」
「アレク、カイン、マリア、イリア、デリックも貴族集めは最優先で協力しろ。私も集める。」
こうして公爵会議は一時解散となった。
その日、オリオン王国では珍しいポスターが張り出された。内容は「あなたも貴族になりませんか。領地があなたを待っています。」何ともふざけたポスターだが、王都民たちは興味深々であった。オリオン王国が貴族を募集しているのだ。嘘ではないと分かっているからだ。
「カイン兄、僕は機人と木人の手配で迷宮都市に一度戻ってからメニダスに行くからね。」
「ああ分かった。なるべく沢山持って来いよ。」
「わかったよ。」
アレクは迷宮都市に向かう。
ガレオン号が迷宮都市に着陸した。
セシルのお出迎えがあったのだ。アレクは完全に忘れていた。
「セ、セシル、お待たせしたね。早速家を造ろうか。」
「アレク様、お屋敷ですよ。お、や、し、きです。」
「そうだねお屋敷だね。」
アレクは湖の村に行く。場所を決めて一気に建物を建てる。
「す、凄い。」
「どうだいセシル凄いだろう。」
そこには湖の畔に真っ白なお屋敷が建っていた。
「後で魔道具とか色々と持ってくるからね。用事があるからまたね。」
アレクは逃げたのだ。何を言われるか怖かったのだ。急いで自分の家に帰る。
「ただいまー。」
「「おかえりなさい。」」
「おっ、ファーレス元気に遊んでいたか。」
「はい、あそんでいました。」
「おお、えらいな。言葉もしっかりしてきたな。いい子だな。」
ファーレスは嬉しそうに照れていた。
アレクはミルにメニダス王国の事を伝える。
「奴隷ですか。」
「そうなんだよ。それで貴族を探しているんだ。」
「重要ですね、きちんとした者でないと務まりませんね。」
「そうだね、特殊な人間の集まりだと思わないといけないからね。」
「僕は迷宮核に行ってくる。又すぐにメニダス王国に向かわないといけないんだ。また家を空けるけどごめんな。」
「アレク、気にしないで仕事をしてね。私たちはアレクが帰る場所で待っています。」
アレクは一晩ゆっりと過ごした。家族で食事をして、ファーレスと遊び、お喋りをした。
翌日
迷宮最下層
迷宮核に指示を出してアレクは機人製造工場に入っていく。
迷宮核の上の層3層を使い機人製造工場、木人製造工場、塩工場、造船所がる。
造船所は新造艦を造っている。塩工場の事は、オリオン家のみんなにも黙っていることだ。塩、海のないこの国々は岩塩に頼っている。年々岩塩が高騰してる事にアレクは気づき塩を製造して価格を安定させているのだ。当分の間は黙っているつもりだ。オリオン王国が港を手に入れるその時までだ。ただマリアとイリアは気づいているが何も言わない。塩の価格が安定しているからだ。塩は戦争の引き金になる。塩が無いと人は生きていけない。塩をめぐり争いになるのだ。
機人の工場はフル稼働していた。鎧機人と機人を100体。木人を500体これで元メニダス王国の防衛をする予定をしている。行政で機人の追加は、出てくるだろうが今はこれでしのぐしかない。
製造された機人、鎧機人、木人を貨物船に積み込みガレオン号と共に元メニダス王国に向かう。
元メニダス王国
「今戻ったよー。」
「おっ、アレク早かったな。」
「急いできたからね。」
「カイン兄、隣国は大丈夫、騒いでいない。」
「ああ、隣国は静かなもんだな。」
「普通は何か言ってくるよね。」
「そうだな、特に奴隷制度で嫌われていたからな。」
「機人たちを配置に着かすよ。上空は、アレク艦隊が監視をしているから何かあれば連絡が入るから安心していて大丈夫だよ。」
「じゃぁ俺は物資の輸送を見てくる。後は宜しくな。」
アレクは国境警備として機人、鎧機人、木人を各所に配置をしていく。
アレクはある村をのぞいてみた。
元奴隷だろう男が、畑仕事をしている。黙々と働く姿に心配になってきた。元に戻ってしまったと思ったのだ。だが心配ご無用である。この男は進んで畑仕事をしていたのだ。賃金を貰い、先日初めての買い物をした。服を買い、新しい下着を買い、相当嬉しかったようだ。その男はお金を稼ぐために畑仕事をしているのだ。
いい傾向だ。慣れてくれば外で食事をしたり、酒を飲んだりするだろう。普通の生活を送れるようになって行く事を願うばかりである。
アレクは色々と見て回った。
やはり問題は元王国民だ。人口の3割もいる。まだ支配者意識が抜けきれていないようだ。元奴隷とは口もきかない。元奴隷は、あまり気にしていないようだがいずれ揉めるだろ。何かの対策が必要だそれにはきちんとした支配者。貴族が来ない事には話が進まない。
そしてやっと来た。貴族候補の第一陣が来たのだ。
「カイン兄、貴族候補は来たけど貴族の爵位と領地配分はどうするの。」
「アレクが決めてくれよ、俺にはよくわからんしな。」
「伯爵からだね、伯爵領で考えると25にも分かれるから大変だよ。あまり細かくすると、後々困るからね。」
「だけど細かくしないと監視が出来ないだろう。」
「そうだね。今の状況だと各村に置きたいぐらいだね。その辺は考えるよ。」
「ああ、頼むよ。」
アレクは第一陣の履歴を見る。オリオン家家臣の名前が多くある。「これなら大丈夫だろう。」
アレクはカイン直轄地を伯爵領5つ分を分ける。王都と東西南北に一つずつだ。防衛の拠点としての機能を付けるためである。残りの20の伯爵領にオリオン家の家臣を配置する。アレクはオリオン家の家臣たちに元メニダスの民の状況を説明をして理解をさせる。今は静かに見守り様子を見させる。
第一陣は30名しか来なかったが、いきなり伯爵では管理できないと話になり伯爵領を二つに分け子爵領とした。そして子爵領に第2陣、第3陣の人を送り込むことになった。
第3陣が来るまでは手分けして全体を管理する事になり各自は各地に散らばっていった。
「これで一息付けるね。」
「そうだな、これからだな。」
「カイン兄、獣王国はもう大国になったんだ。カイン兄も宰相とか人事を考えなよ。カミュウ姉さんに相談して決めなよ。」
「そうだよな。伯爵領で言ったら40ぐらいか。俺一人じゃ到底無理だな。」
「今はオリオン王国の手伝いが当分の間いるから大丈夫でしょう。」
カインは悩み始めてしまった。頭から湯気が出ているようだ。




