149話
「生まれた。」
「はい元気な男の子です。おめでとうございます。」
「そうか、男の子か健康ならよし。」
「王子が二人になりました。SEオリオン王国でお祝いをしなければなりませんね。」
「迷宮都市から来た時でいいだろう。今は色々とやることがあるしな。」
「そうですか、残念です。盛り上がると思いますよ。」
「お祭りをやりたいのか。」
「いえいえ、そうではありません。お祝いです。お祝い。」
アレクはヘレンをジト目で見ている。
「一応、ミルと相談してみるよ。私はこれから迷宮都市に行くから、あとは頼むぞ。」
「はい。了解しました。」
迷宮都市
「旦那様、お帰りなさいませ。」
「シルビア、子供はどこにいるかな。」
「はい、奥様の寝室におります。」
「ありがとう。」
アレクはミルの寝室に向かうドアを開け、赤ちゃんを探すとファーレスが一生懸命に撫でている小さい赤ちゃんがいた。アレクはファーレスに声をかける。
「ファーレス、いい子にしているな。」
「あっ、ちちうえ。おかえりなさい。」
「おお、きちんと喋れるんだな、いい子だ。」
ファーレスは嬉しそうに父の手を取り見て見てと赤ちゃんの事を話している。
アレクは、微笑みながらファーレスと手を繋ぎ、赤ちゃんを見ている。
「アレク。お帰りなさい。」
「ただいまミル。ごめんね。」
「大丈夫ですよ、ファーレスもいい子ですからね。」
ミリはファーレスを見ながらファーレスを褒める。ファーレスは母に褒められ、照れている。父の前で褒められたのが嬉しいようだ。
「アレク、赤ちゃんの名前を決めてもらえましたか。」
「ああ、決めている。オスカーだ。オスカー・オリオンだ。」
「オスカーですか。いいお名前ですね。」
ミルは、オスカーに向かい。
「オスカーあなたのお名前が決まりましたよ。良かったですね。」
オスカーは、まだ見えぬ目でミルを見ている両手を挙げて喜んでいるようだ。
「ううぅぅぅーあああああぁぁぁ。」
オスカーは大声で泣き始めてしまった。
アレクにはどうすることも出来ずに立っているとすぐに侍女がやってくる。オスカーを抱き上げあやしている。
アレクは、さすがだと感心してしまった。
アレクは、別の部屋に移りファーレスと遊んでいる。ミルはその姿を嬉しそうに眺めている。幸せを絵にかいたよう光景だ。
沢山遊んだファーレスは疲れて寝てしまった。アレクはミルに今後の事を伝える。
「ミル、このまま迷宮都市に住むのか。」
「この湖の村は子育てには最適だと思います。SEオリオン王国で城住まいもう少し子供が大きくなってからにしたいですね。」
「そうだよなー。城住まいは息が詰まるだろうな。況してや王子、王子と騒いでいるしな。」アレクは苦笑いを浮かべる。
ミルも困った顔をしているようだ。
「あと1,2年はこの場所で暮らしていきます。ミルトンの父も母もこの場所なら来ることができますから、SEオリオン王国だと来賓扱いになり中々いけないでしょうからね。」
「ああ、そうだね。ここは自治領だからね、それなら当分はこの村で暮らそう。ただ警備は強化させるよ。これは決定だよ。」
「警備の強化は、承知しています。大事な子供たちを守るためですから。」
「あまり心配はしていないよ、この領地は迷宮都市だからね。」
ミルにはアレクの言葉の意味が理解できなかったが、アレクは何かしているのだろうと思っている。
アレクは湖の村で数日を過ごしていた。ファーレスと遊び。オスカーを撫でてミルとおしゃべりをしながら優雅に過ごしている。
そこに、シルビアが入ってくる。
「アレクス様、大森林の迷宮から連絡が入っております。」
「分かった。通信室に行こう。」
通信室に入ったアレクは、大森林の迷宮から戻って来てくれと懇願されていた。アレクも悪いと思っていたのだろうすぐに戻ると約束をして通信を斬切ったのだ。
「ミル。新しい迷宮に行ってくるよ。」
「お気をつけて下さいね。」
「うん。じゃぁ行ってくるよ。ファーレスいい子にしていてね。」
「はーい、ちちうえ、おきおつけて。」
アレクは大森林の迷宮に向かった。
「いやー、ごめんごめん、ごめんなさい。」
「ま、まさか我らの事を忘れていた事はありませんよね。」
「忘れてはいなかった。訓練にちょうどいいと思っていたんだよ。ボーナスだすよ。」
部下たちは、複雑な表情で納得をしていた。アレクはこの部下たちを、いい奴認定をしていた。
アレクはこの大森林迷宮の迷宮核に触れる。迷宮核からの情報を確認していく、魔力も溜まり建物その他も色々と出来そうである。
まず、迷宮核を守らなければならない。どう守るか、悩むところでだ。
「やはり城だよな。」
アレクは迷宮核を中心に城を造っていく。迷宮の建物として建造していくのだ。建物は生きているように上に生えていく。見ていると少しく気持ちが悪い。アレク隊の者達は呆気に取られている。
城の外観が出来上がり、城を中心に道を東西南北に4本作っていく。幅12メートルの広い道だ。
そして4方の道が1キロに到達した所で止めた。本来は防壁はいらないのだが、見た目が大事。の言葉を思い出し道を囲うように防壁を作っていく。
それから、宿屋、商店、住宅、共同住宅とどんどん建築をしていく。
約2キロ四方のこの町の半分の敷地が建物で埋まった。
アレクは部下に指示を出し輸送船の手配をさせる。数日間の内に輸送船に乗った労働者達が、1000人以上もの人々がこの地に来ている。活気が出てきた。男ばかりで色気はないが、汗臭く、加齢臭をまき散らしながら、男同士で酒を飲み騒いでいる。あまり近寄りたくはない。
だが盛り上がっているのは確かだ。アレクは労働者達にこの地に住めば今なら特典があると宣伝をしている。宿屋、商店を開かせたいのだ。先着50店舗無料と宣伝した結果。1000人の労働者の内900人が申し込みをしてきたのだ。アレクもさすがに多すぎて困ってしまった。
アレクは素養の良い者50人に店を持たせ、他に募集してきた家族持ちの者達には、家と農地を与えた。
独身者には、結婚した場合にSEオリオン王国登録者には家と農地を与える約束までしていた。ただしこの大森林の迷宮島内と書いてあった。
もう労働者達は張り切っていた。自分たちの町の開発なのだ。1000人の男が毎日休みなく働いていた。工事はものすごい勢いで進んでいく。家を貰える家族持ちは家族に手紙を出してこの地に呼び寄せる段取りをしている。アレクはその手助けとして、貨物船を出して荷物と一緒に運ぶ手配をしていた。
もう小さいが町が出来上がったのだ。後は冒険者ギルドと冒険者待ちとなった。
アレクは、気づいてしまった。冒険者ギルドに伝えていないことを、焦ったアレクは迷宮都市のギルド長セシルに連絡を取り、冒険者ギルドの支部設置をお願いしたのだった。
何とか形になってきたこの町をアレクは、ぼーーっと眺めている。