147話
ガレオン号で大森林の迷宮まで戻ってきた。
アレクは迷宮の地下に降りていく。迷宮核とケーブルを繋ぐためである。マジックバックから魔力増幅機を取り出し迷宮核と繋ぐ、ケーブルを魔力増幅機に繋ぎ表に出ていく。アレクはそのままガレオン号に乗込み、ケーブルを川の底に落としていく、ガレオン号はゆっくりと湖を出る、そして来た経路でケーブルをガレオン号から落としながら戻って行くのである。
100キロほど離れた湖の島にたどり着くと。アレクは島をケーブルで囲んでいった。島をぐるりと回したケーブルを島に上げ魔力蓄積機と繋ぐのである。魔力蓄積機は島中の人々から魔力を少しづつ貰い貯めている。そして又ガレオン号に乗り今度は空に飛び立ち大森林の迷宮に戻って行くのである。
アレクは迷宮核の前にいた。
最初はこの島を都市に作り替えるつもりでいた。ふと考えが変わったのだ。
人口が増えて急ぎであるのだった。新たに都市を築くには時間がかかってしまう。それなら今の湖の島を拡張できないかと思いついたのだ。迷宮核に触れて確認をしていく。魔力が繋がった事により迷宮内と出来たのである。迷宮核に指示を出し迷宮核の末端を製造する。アレクは末端を持つと又ガレオン号に乗り湖の島に戻っていたのだ。
それを見ているアレク隊の隊員たちは呆れている。指示を出して人にやらせればいいのに自分一人で働いているのだ。アレクは気づいていないようだ。
アレク隊の隊員たちはバカンス気分で寛いでいる。楽しそうに遊んでいるのだ。
湖の島に戻ってきたアレクは、サリーナ女爵を呼びだし説明をしていく。
「そうなるとこの島が大きくなるという事ですか。」
「そうだよ。今建物が、いや人が居る所を広げると影響が出るのか、分からないから遣らないけど人のいない場所を拡張していくよ。」
アレクは魔力蓄積機と末端を繋ぎ島の港以外の淵部分を拡張していく。防壁と道路の間が広がっていくのだ。圧巻であった。まるで自分が走っている様に景色が変わっていくのだ。
サリーナ女爵は女を忘れて大きな口を開けている。拳が入りそうなぐらいに大きい口だ。
アレクは、手をグーにして口に入れようとしたが止めといた。怒られそうだからだ。
湖の島は約3倍の大きさになった。もっと大きく出来たが今は必要が無い為やらないようだ。サリーナ女爵と相談をしながら建物を建てていく。迷宮内であれば迷宮改造が出来るので今回はアレクが建物を建てることにしたのである。共同住宅、宿屋、商店、住宅と色々な建物を建てていく。
半分以上の空き地を残したが、島の建物は倍になっていた。後は内装などは各自で仕上げていけば完成である。
やっとアレクは一息ついたのであった。
「サリーナ女爵。この建物は賃貸にしてくれ。売却は無しだ。」
「はい。分かりましたがどうしてでしょうか。」
「今回は緊急時だから建物を建てたけど次回拡張するときにきちんと区画整理をしたいからね。売却してしまうと出来なくなるでしょう。」
アレクはサリーナ女爵に、大森林の迷宮を一般に開放して冒険者の町をつくる事を伝える。
そのために資材の確保、労働者の手配を頼む。建物自体はアレクが建てるので問題はないが、建物以外を労働者を使い稼げるようにしたのだ。
「後は定期船を出さないとね。」
「そうですね、1日1便は出したいですね。」
「SEオリオン王国から大森林の迷宮まで船だと4,5日かかるかもね。各都市に停泊するとその倍は見ないといけないかな。」
「各都市間の定期船がよいでしょう。」
「そうだね小型船と中型船で造船しようか。」
「小型船は各都市間で運航ですね。」
「そうだね、中型はSEオリオン王国から大森林の迷宮までの船旅を出来る用にしよう。」
「僕は一度オリオン王国とSEオリオンに戻るよ後は頼んだよ。」
「はい、お任せください。後、水の都にも顔を出してください。アレク様の領地ですから。」
「そうだね、これから行ってみるよ。」
水の都
「カリーナ女爵、久しぶりだね。」
「本当に、本当にお久ぶりです。」
「ハハハハ。ごめんごめん。色々と忙しくてね。」
「はー。お忙しいのは分かっていますから、仕方ないですが少しはこの水の都にいらっしゃってください。領民もアレクス様が見捨てたと思いますよ。」
「分かったよ。なるべく顔を出すようにするよ。」
「はい、お願いします。」
「あ、そうだ何も問題は起こってないよね。」
「大きな問題はありません。ただ対岸でグラムット帝国の姿が多くみられるようになっていまして、領民が恐れています。新しい領民は気にしていませんが、元グラムット帝国の領民達はかなり怖がっています。」
「そうなのか、この水の都は警備隊と艦隊の駐留地になっているから戦力は十分なんだけどね。もっと見た目で戦力がある事を見せとこうかね。」
「そうですね、見た目が大事です。見た目が大事ですよ。」カリーナは髪を手櫛でかき上げる。
「そ、そうだね。鎧機人と木人を境界壁の上に等間隔で配置するようにしようか。」
「了解しました。鎧機人と木人をお送りください。よろしくお願いします。」
「分かった。出来たら送るからね。」
今度はオリオン王国
「何だか最近忙しいよね。」
「アレクス様は、最近は特に働いていますから当然です。」
「・・ヘレンなんか棘のある言い方だね。」
「それはそうです。迷宮都市まで行っているのに奥方様にも会わずに行くなんて信じられません。」
「そうだったね、気を付けるよ。おっ、もうすぐ着陸だ。」
オリオン城内でアレクは一人で歩いている。秘書官たちは別の仕事があるようだ。
「げ、デリック。」
「ア、アレク坊、よくも俺を嵌めたな。この目の隈を見ろ。ほれほれ、ほれよく見ろ。」
「デリック、ごめんよー、あの時はああするしか無かったのは分かるでしょう。」
「分かっても、俺だけが犠牲になるのはおかしいでしょう。」
「今度、デリックだけに、デリック特別の特製品を、新機能付きの機人を10体と木人を100体至急に送るから許してよ。」
「特別な機人ですか。15体ですね。」
「んーー。13体。」
「15体です。」
「分かったよ。15体至急送るよ。じゃぁ僕は急いでいるから。」びゅーーといなくなるアレク。
「焦ったな、こんなところでデリックと会うとはな。」
「会うに決まっているだろう。ここはオリオン城内だぞ。」
「あっ、父上。ご報告があります。」
「ちょうどよい、執務室に行こうか。」
「アレク、先ほどデリックに新機能付きの機人15体送る約束をしてたな。私にも送るような。」
「・・・・・・分かりました。でもデリックの件は僕だけのせいじゃありませんよ。」
「まぁ、そうだが。アレクには言いやすいのだろう。」
「ま、まぁそうですね、僕とデリックは仲がいいですから。」
アレクは少し照れている。ハロルドはアレクの扱いを方を良く知っている。
「アレク。報告とはなんだ。」
「あっ、そうでした。あーっとですね。大森林の湖の島の人口が増えて困っています。と相談をサリーナ女爵からされまして、色々と考えているうちに、何となくですが大森林を調査に出ました。そうしたら、なんと、なんとですね。」
「早く、結論を言え。引き伸ばすな。」
「はい、すいません。大森林の中に迷宮を発見しました。終わり。」
「・・・・こ、この馬鹿者ーーー。何故もっと早く言わんのだ。」
「いやーー、速く報告に行こうと思ったのですが、湖の島と水の都に用事がありまして、遅れました。ごめんなさい。」
「はーーーーーーー。」
「父上、いつもよりはため息が長くありませんか。
「誰のせいで、ため息が出るのか分かっているのか。」
「分かっています。デリックです。」 ゴン。アレク久しぶりのゲンコツである。
「いたーー。」
「アレク、家族内ならまだ冗談も良い、だがお前はもう王だ自覚を持て、いいな。」
「はい、すいません。」
アレクはハロルドに大森林の迷宮の説明をしていくのである。