146話
ガレオン号艦内
「パウル。今どの辺かな。」
「そうですね、この地図で行きますともうすぐ湖に出ると思います。」
「やっぱり船は水に浮かすのが一番だね。」
「私には空を飛んでいる方が普通です。」
「ハハハ。そうだね。」
「湖が見えてきました。」
「どれどれ、おぉ、見えてきたね。」
ガレオン号が湖の中に入っていく。
「へー、意外とこの湖も大きいね。うちの湖の島よりは少し小さいかな。」
「前方の島に上陸しますか。」
「そうだね、見てみようか。」
アレク達は小舟を降ろして魚人に引いてもらっている。
島に着いたアレク達は島の探索に向かうようだ。
「この島、直径1キロぐらいだね。」
「湖の島の中では大きい方でしょう。」
「パウルも固いね、もっとフランクに話そうよ。」
「いいえ、私はこの喋り方で行きますのでお気遣いなく。」
「・・・・」
「島を見てみようか、魚人たちは島の周りを調査してきてくれ、あとは島の調査行くぞ。」
アレク達は、島の中央に向かい進んでいく。
「アレク様、この島少しおかしくありませんか。」
「ボアンもそう思うか。」
「ええ。前方の山に向かって島に入りましたが、もう2時間近く歩いていますが近づけません。ガレオン号から見たときはこんなに大きい島では無かった筈です。」
「そうだな、直径1キロぐらいの島だったよな。」
「このまま進みますか。」
「いったん戻るぞ。」
アレク達は、3時間かかり元の場所まで戻ってきた。アレクはガレオン号に乗り込み上空から島の観察をしてみた。普通の島である。何も変わったところが無いのである。大きさも直径1キロ程度の島である。ガレオン号は湖に着水して元の位置まで戻ってきた。
アレクは又島まで戻っていた。
「何か変わったことはあったか。」
「ウルフとオークの魔物が多少出ましたが問題ありませんでした。」
「まぁ、この辺の魔物など弱いからな。」
「・・・・・・・アレク様、普通は大森林の魔物は強いのです。弱いというのはアレク様とカイン様ぐらいですよ。」
「そ、そうだったかなーー。」
「ガレオン号にロープがあるだろう。10メートルに切って100本ぐらいもってこい。あとその辺の木を木を伐って杭を作ってくれ。」
アレクの指示により各自が木を伐採して木杭を作っていく。
「よし。この場所に木杭を打ち込め。」最初の1本が打ち込まれる。「10メートルのロープを持ってこい。簡易だが3本のロープで三角形を作って交わった所に杭を打ち込んでいけ。まぁ、誤差は出るが仕方あるまい。」
アレク隊の隊員たちは3本のロープを引っ張り正三角形を作っていく。そこに杭を打ち込み10メートル間隔で木杭が並んでいく。この作業をアレク隊は交代で作業を行っていった。だが1キロを過ぎても、2キロを過ぎても島の反対側に到達いないのである。
「どうだ、作業の方は進んでいるか。」
「はい、3人一組で20組で行なっていますが。まだ島の反対には到達していません。」
「この島は拡張されているな。そう考えないと辻褄が合わない。」
「そんなことがあり得るのでしょうか。」
「実際にマジックバックが存在しているんだ。地上でもあり得るだろう。」
「そうですが、マジックバックの中には生き物は入りません。この場所は森があり魔物もいます。」
「そうだな、大きな違いだな。」
「4班より報告、魔物の集団がいます。100匹以上いるようです。」
「行ってみよう。着いてこい。」
アレク達は、4班のいる場所に向かう。
「どこに魔物がいる。」
隊員はアレクに双眼鏡を渡し、方向を指さす。「あちらの方向です。」
「オーク、ウルフ、よくわからない魔物がいるな。かなり大型だな。」
アレクは少しの間、魔物を観察していた。観察をしていると解ったことがある。ひときわ大きいサイのような魔物がボスのようだ。アレクには魔物の名前が分からない。隊員に聞いても知らないようだった。
そして何かを守っているようなのだ。
今のこの場にいるアレク隊は10人だ。魔物は100以上はいる。アレクは魔物が守っている物が気になっていた。知性の無い魔物が守る物、一つしか考えられなかった。
「魔物を殲滅するぞ、だが強力な広域魔法は禁止する。いいな。」
アレク隊の隊員は黙ってうなずく。
アレクは腕を上げ、散らばるように合図を送る。アレク隊は各自が魔物を取り囲むように配置に着くのである。
そしてアレクが一番の大物に向かい、練り上げた魔力弾を魔物に撃ち込む。
その強力な魔力弾は、大きいサイのような魔物の口に入り突き抜けていった。だが死んではいなかった。まだ生きている。
アレクの一撃を合図に各自が魔法を魔物に撃ち込んでいく。一撃を放った後は突撃である。
アレクは、身体強化を使い高速で魔物に近づく、アレクは右手に短槍、左手に剣を持ち魔物を斬り倒していく。
右手でオークの喉を突き、左手でオークの腕を斬る。アレクはゆっくりと歩きながら大物に向かっていく。跳びかかってくるウルフの口に槍を突き刺す。口を槍で刺されたウルフはそのままの勢いでアレクの槍を持っている手に迫る。アレクは槍の手を放しウルフの頭に突き抜けている槍を引き抜く。そして新たな魔物に突き刺していく。サイの前までやっとたどり着いた、まだサイのような魔物は死んではいなかった。アレクはそのサイを顎の下から剣を突き刺し、槍で右目を突き刺した。右目を突き刺した槍はサイの脳まで達したのだろう。サイは静かに崩れ落ちた。
他の魔物たちもアレク隊の隊員たちが粗方片付けていた。
アレクは周りを見回す。するとサイの後ろに入り口がある、アレクはその中に入っていく。
入り口に入るとそこは空間となっていた。中央には下に降りる階段があった。アレクはその階段を下りていく。下まで降りたアレクは「やはりな。迷宮核だな。」アレクは迷宮核に近づくそして迷宮核に触れる。アレクの中に迷宮核が入り込んでくる。3回目の経験となると慣れたものである。まだ若い迷宮核のようだ。抵抗すら出来ずにアレクの支配下に置かれる。
アレクはこの迷宮核の情報を調べていく。フィールド型の迷宮のようだ。この迷宮核は出来てまだ数十年。迷宮都市の迷宮核は数百年は経っている。
魔力が少なく成長が出来ていない。魔力が少なく迷宮を改造できない。アレクは迷宮都市の情報で方法を探す。
「ケーブルがいいかな。」
アレクは、急いで外に出る。
「アレク隊はこの地を守れ。私は、ガレオン号で迷宮都市に行ってくるがすぐに戻る。」
アレクはガレオン号から必要な物資を降ろし急いで迷宮都市に向かう。
迷宮都市迷宮最下層
アレクは迷宮核に指示を出す。魔力ケーブルの作成をするのだ。剣でも切れない丈夫な物を作ろうとしていた。直径15センチのケーブルを300キロメートルを製造している。出来上がったケーブルをアレクはマジックバックにしまっていく。
完成した300キロにも及ぶ長いケーブルを持って急いで大森林の迷宮の場所に戻っていくのである。