141話
ドレイブ王国王都上空
王都上空にはアレク艦隊の姿があった。
「報告、アレク艦隊王都に着陸いたします。」
「王都を1周して着陸するか。」
「はっ、王都をゆっくりと1周いたします」
アレク艦隊は低空でゆっくりと王都を一周してから着陸をしたのだった。
アレクがガレオン号を下船すると、ローエム帝国宰相トロレス・リームス侯爵が迎えに来ていた。
「アレクス殿、お待ちしておりました。」
「リームス宰相がどうしてドレイブ王国にいるんです。」
リムースはアレクにローエム帝国での皇帝とハロルドの話を伝える。
「そうですか、私が貴族達を見極め役という事ですね。」
「そうなります、執行役は私の方で行います。ドレイブ国王からの委任状とローエム帝国編入の誓約書です。」
「あれ、ドレイブ王はここにいないのですか。」
「その事なのですが、アレクス殿が来ると分かった途端に静養に出られました。」
「ハハッ。そうですか。早く元気になるとよいですね。」
「ハハハ。」
「リームス宰相、率直に聞きますが、見極め役だけですか。」
「実は。」リームスはアレクに詳細な事柄を伝えていく。
サウスローエム王国から移るウェルソン王の新しい国の場所を確保したい事。
そして今の自分の立場が弱く貴族達にさえ抵抗が出来ない状態である事。皇帝陛下にこの旧ドレイブ王国にて多少の影響力を上げるように申し付かっていることを伝えていく。
そしてドレイブ王国の編入までを、行ってしまうつもりであると言われる。
「そこまでやるんですか。あちゃー。」
「申し訳ありません。よろしくお願いします。」
「まぁ、仕方ないですね。もう来てしまいましたから。」
アレクはドレイブ王国の貴族たちの情報を確認していく。何をやったのか、何をしようとしているのか。
「リームス宰相。貴族達はいつ頃こちらに来ますか。」
「1週間後に王城に来るようにしています。」
「分かりました。それまでに案を考えておきます。すべてを仕切らせてもらいますよ。悪いようにはしませんから大丈夫です。」
「アレクス殿にお任せいたします。」
1週間後
王城謁見の間
ドレイブ王国の貴族たちが勢ぞろいしていた。今ドレイブ王国は開発が始まったばかりだ貴族領の開発をどの様に進めていくかを決めている最中である。足の引っ張り合いで何も決められない状態が続いていた。
がやがやと騒がしく貴族たちが雑談をしている。
そこにいつもは王が出てくる扉から、見知らぬまだ若い青年が現れたのだ。貴族たちの騒めきがいっそう騒がしくなる。
「誰だあれは」「なぜあそこから出てくるのだ。」「どこかの貴族のせがれか。」「・・・」
ローエム帝国宰相リームスが大声で「静まれ。」
「我はローエム帝国宰相のトロレス・リームスである。この程、ドレイブ王国、国王陛下からの委任状及びローエム帝国皇帝陛下からの皇帝代理を仰せつかっている。
そして今回、ローエム帝国同盟国であるSEオリオン国王であるアレクス・オリオン陛下がおいでである。」
アレクはドレイブ王が据わるべき玉座に座り。貴族たちを睨みつける。
貴族達は一瞬にして静まり返る。 誰も喋らない。
アレクが右手を高く上げると、入口からアレク艦隊の空兵隊が謁見の間に入り出入口をすべて塞いでいく。貴族達は顔が真っ青になっていく。
まだアレクは一言もしゃべってはいない。
空兵隊の一人がアレクの脇まで来てアレクに小声で何やら報告をしている。
アレクは空兵隊の言葉に頷く。
空兵隊は「今から貴殿たちの登録を行う。素直に従ってくれた方が我々は助かるが、反抗しても構わん、そいつらは死ぬだけだからな。」
貴族達は言われるままに登録をしていく。誰も喋らない。
貴族達の登録が進んでいくとアレクに情報が流れていく。アレクはその情報を確認をしているようだ。
そしてすべての貴族の登録が完了した。
「俺はアレクスだ。知らない者もいるだろうが、ドレイブ国王を殺したのは俺だ。復讐したいのなら勝負をしてやるぞ。」
「・・・・・・」
「そうだな、ドレイブで一番の武勇を誇る、カルタス子爵前に出てこい。」
カルタスは自分の名が出たことにびっくりしている。まさか自分が呼ばれるとは思っていなかったのだ。
「カルタス。俺と剣でも槍でもなんでもいいぞ戦うぞ。」
「アレクス王、私は戦うことは致しません。」
「カルタス。戦わぬと死ぬぞ。」
「アレクス王なぜでございましょう。」
「分からぬのか、カルタス。お前は謀反を企てたであろう。これが証拠だ。」
アレクは紙をカルタスに放り投げる。
カルタスは、その紙を拾い内容を確認していく。顔色が悪くなっていく。
「アレクス王、これは間違いです。」
「ほう、どこが間違いなのだ。カルタスと共謀している他の貴族の名前でも間違っているのか。」
貴族達の顔に緊張が走る。
「私は、謀反などには加担しておりません。信じてください。」
「カルタスよ、言葉だけで信じられぬよな、その計画書、そして誓約書には血判まであるぞ。」
「・・・・・・」
「カルタス。沈黙は肯定と判断をする。何か言え。」
「・・・・・・・」
「肯定としたと判断をする。死ね。」
空兵隊の一人が、カルタスの首を跳ねる。カルタスの首が床に転がっている。一面が血の海となり赤く床が染まっていく。
貴族達は一言の悲鳴さえ出していない。声を出すとアレクに言葉をかけられそうで怖くて出せないのだ。
「では次の者は、ソーレント男爵前に。」
ソーレントの周りにいた人たちが一斉に離れていく。
「おお手間が省けたな、ソーレント貴様は謀反に加わっているのか。」
「私は、謀反に加わっておりました、申し訳ございません。断る事が出来ずに。申し訳ございません。許してください。」
「ソーレントよ、俺はな、色々と調べたのだ、その誓約書に名前の無い者も謀反に参加している者がいるな。先日のパーティーでの会合で話に出たであろう。」
ソーレントは唖然とする、決起パーティーの事を言っているのだ。秘密の決起パーティーであったはずである。
「そ、それは・・・・」
「お前の命を助ける方法を教えよう。誓約書に無い奴の名前をいえ。」
「一人言えば、お前の命を助ける。二人言えば財産も残そう。3人言えば地位もやろう。俺は誓約書署名者全員に同じ質問をする。どうする。」
ソーレントは3人の名前を告げた。
「では次の者は・・・・・・・」
アレクは次々と誓約書の署名した者たちから名前を言わせていく。