136話
オリオン王国王都ブレスト
国王夫妻、7公爵が集まる最高幹部会である。
「アレク、どこか攻めようぜ。獣王国も落ち着いて来たからな。」
「カイン兄、無暗に戦争はいけませんよ。平和が一番です。」
「お前が言うと冗談にしか聞こえないな。戦争大好きアレク君。」
「あー、そんなこと言ってるカイン兄は戦闘狂じゃないですか。」
「あーーーー、お前らは少し黙っていろ。俺の悩みを解決しろ。」
「どうしましたかルドルフ兄、ご病気ですか。」
「アレク、お前がすべての原因だぞ。」
「ナンデストォ。」
「いいかアレク、旧オーストにて単独で戦争をしたのは誰だ。」
「空軍です。」
「カインの獣王国の隣国を攻撃したのは誰だ。」
「カイン兄と空軍です。」
「空軍だとおぉぉぉ。お前だアレク、空軍ではない。アレクと直臣たちだ。それが今この状況を作っているんだぞ。オリオン王国連合となる、この状況をだ。」
「兄上様。もの凄く反省をしております。私はもうカイン兄の口車には乗りません。お約束を致します。」
「アレク、俺がいつ口車でお前を乗せたんだよー。俺が乗せられてんだろー。」
「あー、ちがいますよ。」
当然ドアが開いた。
「大声が外まで聞こえているぞ、黙れ。」
ハロルド夫妻が入室してきたのだ。
7公爵会議が始まる。
ハロルドの話が始まる。
「今回の7公爵会議は、皆も知っていると思うがオリオン王国連合の件だ。やっと調整が終わった。ルドルフが良くやってくれた。流石だ。」
ルドルフは無言だ。全てを押し付けてきたハロルドに無言の抗議をしているのだ。
「おっほん。えーっとだな、連合に入る国が正式に決まった。オリオン王国はいいだろう。まずノースオリオン王国、サウスイーストオリオン王国、獣王国、デオドール王国、バッハ獣王国、サウスローエム王国、エルフ王国、ドワーフ王国の10か国だな。エルフ国とドワーフ国は王国としてもらう。」
「サウスローエム王国も参加するんですか。」
「そうだアレク。サウスローエム王国だけ残されるのが嫌だったようだな。ローエム帝国が承認しているから問題はない。」
「ドワーフも入れるんですか、王は誰になりますか。」
「ドワーフの王はガストだ。奴しかいないな。ただドワーフだけは少し条件が違う。この連合に入る条件はオリオン王国の爵位持ちが連合に加わる事が出来る。各王には公爵位を渡すようになる。いいな、内政は各国が今まで通りだな。ここがドワーフだけが違う点だな。ドワーフの行政の面倒はオリオン王国が見る。あいつらには無理だからな。」
アレクは一言「でしょうね。」
「連合で変わるのは軍事面だけだ。各国の軍はそのままだが、戦争になった場合はオリオン王国の指揮下に入る事が決まった。連合国の一国でも宣戦布告がなされた場合は、連合参加国が戦争状態となる。それと内政は不干渉だが、国が傾いたらこちらが困るので助ける事はする。この7公爵で援助の内容やその他諸々を決めていく。要は今までと変わらんがな。指導・援助する国が増えただけだな。」
「・・・・・・・」
「この7公爵で各国の舵取りを行っていく。各大臣は10か国分の仕事が増える事となる。」
「えええええええええーー。」
「父上そ、それは無いでしょう。」
「ルドルフよ、諦めろ。」
「・・・・・・・」
「アレクお前にも責任がある、今の状況を作り出したのはお前だ。この仕事量の状況を改善しろ。」
「ううぅぅ。考えます。」
「父上、ドレイブ王国の事ですがよろしいでしょうか。」
「レオン、私もその事を話そうとしていたのだ。」
「父上に変わり俺が説明をする。ドレイブ王国が崩壊寸前だ。」
「えええ、崩壊ですか。どうして又そんなことに。」
「アレク、お前が原因だな。」「な、何で僕ばかりが原因なんですか。」
「ドレイブの王を殺したのがアレクだからだな。新しく即位した王に貴族を抑える力が無かったともいえるがな。ノースオリオン王国の発展にドレイブ王国の貴族たちが騒ぎだしたのが始まりだ。ドレイブ王国はオリオン王国から領地問題で金を得て直轄領の開発を行った。ここまでは良かったのだが、貴族達には資金が無かった。自分たちの領地開発は出来ずに、周りは開発が進んでいくのだ焦るだろうよ。
ドレイブの貴族達は、王に責任を押し付けたようだな。ドレイブ王は、耐えきれずにローエム帝国とノースオリオン王国に保護を求めてきているという状況だな。」
「・・・・・」
「開発出来ないのは貴族たちの責任ではないですか。自分の事を王国の責任にするなんてどうかしてますよ。」
「そうなんだがなアレク、ドレイブ王国はローエム帝国に戦争を仕掛けて負けた。この事実がある限り王は貴族を抑えられないだろうな。」
「レオン兄はどうするのですか。」
「それをいま決めたいんだよ。」
「レオン、アレク、そして皆よ、この件は、ローエム帝国とも話し合いがもたれた。その内容だがローエム帝国がドレイブ王国を吸収合併する話になっている。」
「それなら何の問題も無いではありませんか。」
「それがあるんだ。北部ではなく。この南部でだな。ローエム帝国はドレイブ王国の事で資金がいる。帝国の開発だ相当な資金がいるだろう。そこでローエム帝国は、オリオン王国から資金を引き出す名目を考えたのだ。」
「あ、サウスローエム王国の連合参加ですか。」
「そうだルドルフ。名目はサウスローエム王国だけ連合に参加しないと周りがすべて連合国だ。国政の安定のために参加となった。実際には、事実上オリオン王国にサウスローエム王国を譲渡したのだ。サウスローエム国王は了承している。むしろ喜んでいたな。相当なプレッシャーが王国運営であったようだな。サウスローエム王国は時期を見て併合するが今ではない。当分先の話だ。今はそれどころでは無いからな。
それと引き換えにオリオン王国が、ドレイブ王国開発の資金提供をする話になっているのだ。」
「父上。」
「イリアなんだ。」
「オリオン王国も資金が無尽蔵に湧き出すわけではありません。限界があります。」
「そうなんだ、そこが問題の一つだ。あんな広い国の開発だ、ローエム帝国も資金を出すが到底それでは賄えない。だからオリオン王国の資金が必要なんだ。イリア何とかならんのか。」
「ドレイブ王国一国の開発費なんて他の開発を止めないと出せませんわ。」
「止めれば出せるのか。」
「父上、他の開発も急務なんですよ、出せる訳ないでしょう。」
「イリア姉、奥の手を出しませんか。」
「いやよアレク。あれはオリオン王国が緊急時の為です。やりません。」
「ア、アレク、イリアなんだ奥の手とは。」
「ハーー。アレク説明しなさい。」
「はい。では父上、南部も北部もお金は金貨、銀貨、銅貨を流通させています。金貨を大量に流通させると金の価格も下がります。イリア姉はその金価格の調整もしているのです。だから安定した国の運営が出来ています。これ以上金を市場に放出してしまうと、金価格の下落が起こる心配をイリア姉はしているのですね。そこでオリオン銀行券を発行して金貨の代わりをするのです。金をオリオン銀行できちんとプールしていることが大前提ですね。 多分、迷宮核の情報取得の時に、紙幣の事があったでしょう。」
「アレク、偽造されない紙幣は製造できるか。」
「父上、迷宮核なら出来ますよ。」