133話
アレクはSEオリオン王国の人事を決めた。大変だった。軍人は少なくなっていたが、文官は比較的残っていた。やはり、戦争に出なかったせいだろう。
アレクは治安悪化を懸念していたが、幸いにして警察組織が出来上がった為、治安は安定をしていた。
後はこの国を商業と工業そして耕作地帯として発展をさせていくだけだ。国土は広い余っているぐらいだ。国全体をくまなく開発をしても十数年はかかるだろう広さを持っているのだ。
木人と機人を使い、通常の何倍も速さで開発を進めていく。
戦争で荒れた農地を耕し、工場を建てる。商業施設も建て直し、砦の修繕、補強工事も行っていく。
各大臣、行政長はマリアとイリアな相談しながら的確に仕事を熟していく。
そんな頃、迷宮都市から、エスティナから連絡が入ってきた。無事に子供が生まれたとの連絡であった。
アレクはガレオン号に飛び乗り迷宮都市に向かう。
「ただいまー。生まれたの。」
「アレク、静かにして、赤ちゃんが寝ています。」
「ご、ごめん。うわぁ、小っちゃいね。」
「まだ生まれたばかりですからね。」
アレクはその生まれたばかりの赤ん坊を優しく撫でる。
「うわあ、壊れそうだ。おっかないや。」
「赤ちゃんが起きたら抱いてやってくださいね。」
「うん。分かってるよ。やさしく抱っこするね。」
「名前は考えてくれましたか。」
それがまだ悩んでる、明日までには決めるよ。」
アレクはそっと部屋を出る。
アレクの生まれた子供は男の子であった。名前をまだ決めていない、ガレオン号の中でも悩んでいた。どうしよう、どうするか、どうすればいい。
翌日
命名 ファーレス・オリオン
「いい名前ですね。ファーレス」
「そうかな、色々と考えて決めたんだ。」
「お兄様、おめでとうございます。これで赤ちゃんて呼ばなくて良くなりました。」
「ハハハ。そうだね。エルちゃんありがとうね。」
「「「おめでとうございます」」」
「マリウス君もありがとうね。エスティナ義母もありがとうございます。もう少し面倒をおかけします。」
「いいのよ、私も楽しんでますから。」
エスティナは何も言わない。ミルトン王国の事もルーアニア王国、ベレーヌ王国等の事もだ。周りにマリウスが居ることもあるが、触れない様にしている。それはミルトン王国がオリオン王国との関係を重視している事が関係している。オリオン王国と対面に位置するベレーヌ王国とは険悪な関係であった。国境線と未開発の地をめぐり揉めていたのだ。過去に未開発の地を巡り争いも起きていた。両国は不毛な争い事はこのまず双方手出しせずとしたのだ。それ以外の国境の争いは別である。一つの川、一つの村をめぐり小競り合いが続いていた。そして今回のルーアニア王国侵攻である。ルーアニア王国を3か国で攻め、同時にミルトン王国の戦力を削ごうとしていたのだ。
ベレーヌ王国はオリオン王国の参戦はないと思っていたが、まさかアレクス単独で救援をするとは思わなかったようだ。
エスティナは、小さい声でアレクに「助かったわ。ありがとう。」と呟いた。
アレクはにっこりと笑い。「当たり前ですよ。」と答えていた。
アレクは、迷宮都市恒例に成ろうとしている無料の飲食だ。だが今回は、迷宮都市だけではなく、水の都と湖の島でも無料飲食を開催をしたのだ。流石にSEオリオン王国全土ではできなかった。王都オーストの城内と軍施設のみで行った。
その後、アレクの領地に赴任している行政の人達から請求書が大量に送られていていた。
無料飲食は個人払いの為、お金が無くなり一人迷宮に潜りツルハシを担ぎ、迷宮鉱山で金を掘っていた。
無料飲食直後のアレクの貯金は金貨1枚であった。
その後、ミルに怒られているアレクがいた。ミルに無料飲食の禁止命令を出されたのだった。
迷宮都市の滞在を伸ばしていたアレクだが、SEオリオン王国から帰国の催促が日増しに多くなっていく。限界になりアレクは渋々戻っていった。
SEオリオン王国王都オースト
「陛下、やっとお帰りですな。」
「いやー、子供がね、可愛くてさー。」
「陛下。このサウスイーストオリオン王国は陛下が居られませんとと困ります。」
「そのサウスイーストは省略してよ、SEオリオンでいいよ、長いし言いにくいからね。」
「名前などどうでもいいのです。仕事をしてください。」
アレクは、SEオリオン王国宰相のセンドリー・ノースト伯爵から書類の束を受け取っていた。
アレク、仕事モードに入る。機人に書類を渡して確認をさせる。修正箇所をチェックして差し戻す。
修正された書類をアレクが、ハンコでポン。ポン。ポン。と押していく。
1時間後には書類が無くなっていた。アレクはやり切った顔をしているが、アレクはハンコを押してだけなのだ。
宰相は書類を確認していた。完璧である。
この300枚の書類が実質20分。 ハンコを押す時間だ。
「いやあぁぁー。やっと仕事が終わったー。疲れたー。」
宰相はブツブツと何かを言っている。「この書類を読むだけで何時間もかかるし、精査するだけでも数日かかるそれを1時間・・・・・」
「宰相、機人の使い方が解ったかい。」
「はい陛下。仕事のやり方を根本から見直しを致します。」
「宰相、大臣、各庁に機人を1体ずつ渡すから活用してね。1体で人間の2,300人分の仕事をするから考えて仕事してね。24時間働けるからね。」
宰相言葉が出ない。
ノートス宰相は、仕事のやり方を変えた。なんというと事でしょう。今まで数日も掛かっていた物が数分で終わったのだ。機人恐るべし。
これで王都オーストの開発が一気に進んでいく。アレクも戻ってきたので仕方なく開発に参加をして街を造り変えていくのである。その様は小さい模型を作るように、次々と出来上がり魔道具が至る所に設置している都市に変わっていた。
アレクは王都の住宅を見せてもらいながら、不便そうな箇所を直し改装していく。その改装のやり方等を引き連れている大工、職人等に見せていったのだ。職人たちも職人用魔道具の使い方や改装のやり方を勉強していた。アレクはあえて職人たちを引き連れていた。この都市全部をアレク一人では到底直せないからだ。アレクは職人たちに職人用魔道具を格安で販売をした。そして各家庭に夜使う魔道具も格安で販売をしていったのだ。
都市のメイン通りには街灯が並んで輝いていた。王都民達は、夜なのに外が昼間の様に明るい事が嬉しいようだ。
アレクは、ステータスカードの登録があまり進んでいない事の報告を受けていた。
アレクは、王都民に布告を出した。ステータスカードの登録者に家庭用魔化製品一人一つプレゼント。
この布告に、王都民は過剰反応をした。町の街灯などを見ていたからだ。4人家族なら4個、5人家族なら5個。王都民は登録所に殺到した。待ち構えていた機人は一人5秒で登録を行っていく。
登録は一人5秒だった。だが魔化製品を選んでいる人々は、一人数十分悩んでいた。その事が原因で大行列となってしまった。
アレクの大誤算であった。