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130話

「師匠、聞いていいですか。」

「何かな。」

「オーストの王を何故逃がしたんですか」

「ああ、あれはね。反抗勢力を集結させるためだよ。」

「反抗勢力ですか。」

「そうだよ、このオーストでこれから内乱が起きるよ、各貴族に領地安堵の通知をだす。期日までに登城した者は領地を安堵する。来ない者は討伐する旨の手紙を出していくからね。」

「そんなことで貴族は来るんですか。」

「まぁ来ても来なくともどちらでもいいんだ。敵か味方かを選別したいだけだしね。」


アレクはオーストの貴族に対して通知文を出した。期限は一月以内に来なければ討伐をすると書かれていた。



その頃、ルーアニア王国でも動きがあった。アレクよりオースト王国を降伏させたことが伝えられたのだ。ルーアニア王は、アレクなら降伏させると思っていたが、実際に降伏をさせてしまうと恐ろしくなってきたのだ。あの者に不義理をしてはいけない。裏切ったら殺されると直感で思っていた。

そんな思考も、ベレーヌ王国とブライ王国の降伏交渉で頭の隅に追いやられていた。

ベレーヌ王国とブライ王国は、オースト王国が降伏をした事実を前にしては、何も言えなくなっていた。3か国で侵略戦争を仕掛け敗れたのだ。ルーアニア王国は2か国に対し国の半分の割譲で降伏を受け入れる事としたのである。交渉の結果、ルーアニア王国はブライ王国の国土の3分の1を譲渡される。ミルトン王国はベレーヌ王国より国土の3分の1を譲渡されることとなった。

ミルトン王国は、グラムット帝国との戦争での救援要請で失った国土以上の領地が戻ってきたのだ。以前の国土の1.2倍になったのだ。そして今回の救援要請でゲートル伯爵は侯爵と成り、割譲された旧ベルーヌの領土の3分の1を手に入れたのだ。通常の侯爵領の倍近い広さである。


ミルトン王国とルーアニア王国では貴族の大移動が起こっていた。



アレクは、オーストの貴族たちを待っていた。


そして王都まで来たのはオーストの生き残りの貴族の半分であった。アレクはその多さにびっくりしていた。来ても3分の1ぐらいと思っていたのだ。

オーストで冷遇されていた者が半数、領地が安堵されれば主君は誰でも構わない者が半数であった。


そして反抗勢力は登城しなかった6割ほどが集結していった。残りの4割は日和見をしていたのだ、有利な方に付こうと考えているようだ。


アレクは登城した貴族に、反抗勢力の討伐に兵を出す必要ないことを告げる。見学は許可していた。


貴族の見学用に小型艦2隻を用意して上空待機をさせている。


他の艦隊は横一列に並び待ち構えている。だが今回は艦隊は使わないようだ。地上にアレク隊とユリ、マック、リック、ホリー、バレー、の隊と機人隊、木人兵がいる、空にはワイバーン隊が改装空母にて待機中である。

アレク隊の総数は400と機人、木人兵100の総勢500である対する貴族軍は12000の兵を集めていた。


上空で見ている貴族たちはこれは間違えたかと顔色が悪い人が多い。


そんなことは、知らないアレクは気楽なものだ。


平原に対峙している、アレク隊と貴族軍。先に動いたのは貴族軍である。アレク隊に向ってきたのだ。アレクは落ち着いている。


「木人兵と機人を先頭に突っ込むぞ。いくぞーー。」

「おおおおおーー。」


木人兵を先頭に駆けていくアレク隊が駆けながら魔法を貴族軍に放っていく。1発で10人近くが死んで往く。そして機人の戦闘が貴族軍と接触をする。機人は容赦のない攻撃で、人を紙の様に斬っていく。

貴族軍の中央を機人が斬りこみ突破していくのだ。中央を突破して機人達はアレクの掛け声に反応する。


「敵軍の中央で分断。敵軍左を機人隊で殲滅せよ。右はアレク隊で突入せよ。」



アレク隊は機人隊と分かれて敵の殲滅にかかっていた。機人と木人兵は、感情のない動きで貴族軍を殺していく。貴族の兵士が命乞いをしても関係ない。聞こえないのだから。

一方のアレク隊は魔力を上空で維持をしていた。各々の得意な火、水、土、風を上空に留まらせていたアレクが「放てーー。」の一言で一斉に貴族軍に向かい魔法が放たれる。アレクはその魔法を自分の魔法風で竜巻を起こして統合した。それが貴族達の中を横断していく。貴族軍は壊滅的な打撃を喰らった。そこにアレク隊の面々が突入していく。剣が槍が貴族軍の兵に突き刺し斬っていく。一人一人と死んでいく。

戦闘自体は1時間もかからないで終了した。



皆殺しであった。生存者もいたが殺して回ったのだ。



上空から見ていた貴族たちは震えあがった。慈悲もなく殺されていく、元仲間の貴族軍を見ている事しか出来ないのだ。それよりもアレク軍の強さに恐怖していた。12000対500、それを圧倒して皆殺しである。見学の貴族たちはそのまま王都の城に連れていかれた。


アレク隊も、王都に戻り一息ついていた。


一息ついたアレクは、見学をしていた貴族たちの集まる広間に姿を現した。

貴族達は一瞬で直立不動になって固まったままである。

アレクはおかしくなり笑ってしまった。


「ハハハハ、皆の者。楽にせよ。」


だが貴族たちは余計怖くなり固まったままである。

アレクはもう気にしないで話を始める。

「皆の者。よく聞け、この国の領地の再編を行う。異議のある者は申し出よ、多少は考慮するぞ。再編の告示は来週行うのでそれまでは王都に滞在せよ。」

アレクは、この言葉を残して退室してしまった。残された貴族たちは困惑顔である。

どうしたら良いのか分からないようだ。


翌日には、日和見をしていた貴族たちが続々と王都の城に集まってきたのである。

アレクは、その者たちの謁見を許した。そして日和見をした者に何故日和見をしたかを聞いたのだ。

あるものは言い訳をし、あるものはひたすら謝った。またあるものは正直に勝つ方につくためと言い、アレクは面白いと喜んでいた。


アレクは言い訳をした貴族を追放処分とした。もう殺しを見せる必要もなかった。


アレクは追放処分にした貴族を気にすることもなく、他の日和見をした貴族に領地替えと領地を半分に減らす事を告げる。貴族たちは、許されたことを安堵して喜んで承諾をしていた。


アレクは貴族たちに慈悲も見せていた、ルーアニア王国の攻略で当主が死んだ貴族に対しては相続を認めた。功労者として一時金まで出したのだ。

それでアレクの評価が決まった。誠実に仕えればきちんと評価をして貰える、褒賞も貰える。多くの貴族がアレクに対して忠誠を誓ったのだ。


旧オースト王国の領地が内乱で死亡した貴族領が全体の3割、領地を半減にされた貴族領が2割、そのままの領地を安堵された者が4割であった。領地として王国直轄領を含むと空白地帯は全体の5割であった。大物の貴族が反乱に加わった為に領地が広く空いたのだ。

アレクは、直轄地を今まで2割だったものを3割に上げた。残りの2割を今回の戦争で働いた者へ褒賞として分け与えたのである。ユリ、マック、リック、カイ、ホリー、バレーをオースト王国の伯爵とした。領地は各地に散らすように配置をしていた。マルコ、レイカ、トリスの3人は男爵、女爵として領地はグラムット帝国に近い位置となっていた。他にもアレク隊全員が騎士爵となり村一つだが領地持ちとしたのだ。

ユリたちの直臣たちにも騎士爵を与え。ユリたちは自分の伯爵領内から直臣に領地を渡していた。



アレクは新王国の誕生を祝い。王国民に対して酒と食料を配布した。

王国民は、振る舞い酒など初めての経験であったようだ。酒と食べ物が無料で食べられる。王国民はその一日を飲んで食べて楽しんだようだ。


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