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123話

アレクは、一人の捕虜を獣王国軍に多大な被害を出した者として公開処刑を執行した。



そして数日後にもう一人の捕虜を公開した。その捕虜は綺麗な服を着て捕虜とは思えないような扱いを受けていた。

そして数日間、各地を連れまわしてから秘かに処刑された。


「カイン兄、各地の占領は完了したの。」

「アレクか、もう終わったぞ。領民は素直なもんだったぞ。」

「そうですか、ムレット王国の民は何も知らないんでしょう。」

「そうだな。グラムット帝国に操られているとは思わないだろうな。」


「カイン兄、グラムット帝国との国境を見ましたか。」

「ああ、見てきたぞ。凄いなあれ、グラムット帝国をあれが囲んでるのか。」

「でしょうね。だからこそ小国群をつくったんでしょうね、時間稼ぎの為に。」

「うちの国境壁よりデカいもんな。」

「人力であそこまで出来る国力は侮れません。」


ムレット王国とグラムット帝国は国境が接している。その国境には、高さ12メートルの防壁が国の端から端まで防壁が建てられていたのだ。グラムット帝国は、国の周りをこの防壁で囲んでしまうつもりのようだ。

監視塔もあり進入は困難である。

アレクも、ムレット王国側に防壁を建てるように指示をしている。先に監視塔を建て、潜入されるのを警戒している。監視塔には機人、木人を配置して侵入者を撃退するようにしている。


「カイン兄、このムレット王国を獣王国として併合しても領主が獣人だと纏まらないよ。取りあえずは人間に治めさせないと無理だね。」

「そうだよなー。誰かいないかなー。」

「一人候補はいるよ。獣人に偏見が無くて、人間、獣人、ドワーフ、エルフにも知り合いが多い人。」

「そんな奴いるのか。」

「うん。迷宮都市の冒険者ギルド長のミジル。あの人が領主なら上手く治められると思うよ。まぁ手助けはしないと駄目でしょうけどね。」

「そうか、アレクが打診してくれよ。知り合いだろ。」

「分かったよ。獣王国で男爵にしようよ。そしてこのムレット王国の旧王都を開発させよう。旧王都からグラムット帝国までを早急に開発をさせるよ。グラムット帝国から見えるように豊かさを見せつけるんだ。そして少しずつグラムット帝国を追い詰めていく。」


アレクは一人で納得をしている。カインはポカンとしている。


「カイン兄、領主の配置は僕が考えるから人選をお願いね。最低でも獣人で5人、人間で5人の領主にしないと統治が難しいね。」

「10人もか、いるかなー。」

「マリア姉、イリア姉に相談しなよ人間は手配してくれるよ。獣人はカミュウ姉さんに相談しなよ。」


旧ムレット王国の防衛をカインに任せて、アレクは急ぎ迷宮都市に向かう。


自治領迷宮都市


アレクは冒険者ギルドにいた。


「ミジル久しぶりだね。」

「アレクス様、その節はありがとうございました。」

「いいのいいの。ルジンも良くやってるようだしね。」

「アレクス様、今日はどのようなご用件でしょうか。」

「ミジルをね、スカウトに来たんだ。」


アレクは獣王国の事をミジルに説明をしていく。獣人や種族に偏見がなく扱いにも慣れている人を探している事。領主として開発を行えるもの。人望のあるもの。この条件を満たしているのはミジルしかいないと説得をしていく。ミジルも自分が評価されているのが嬉しいようだ。


「ミジル、ギルドも定年てあるよね。領主は定年は無いから。」

「アレクス様、領主ですよ、貴族ですよ。私は平民ですよ。」

「ミジルは、貴族の一族だよ。ほらルジンが貴族になったでしょ。」

「・・・・・そうでしたが。いきなり男爵はないでしょう。」

「男爵ぐらいないと旧王都は治められないでしょう。出来れば子爵がいいね。そうしよう。」

「アレクス様、領主になるのに冒険者を引き抜いてもかまいませんか。」

「んーー。仕方ないよね。あまり大勢はやめてね。」


ミジルは、冒険者に打診するために翌日に正式の返事となった。


翌日


「ミジル。冒険者たちは集まったかい。」

「はい。アレクス様も良く知っているメンバーです。」

「ん。誰。」

「ガイア、トーマス、マリーヌのパーティーです。」

「ああ、迷宮探索の時のパーティーか、でもベテランがギルドを抜けるの不味くない。」

「彼ら、彼女らは、引退を考えていたんですよ。」

「へーそうなんだ。」


それからの話は、ミジルを獣王国の子爵にする事。ガイア達をミジルの家臣としてグラムット帝国近くの村を治めさせる。戦力としても十分に頼りになるからだ。その者にも獣王国から騎士爵を与える。アレクは、気前のいい話を語っている。爵位の大盤振る舞いなのだ。


「それで、この冒険者ギルドのギルド長は誰にする。」

「長年に渡り私を助けてくれた。セシルに後任を任せたいのですが。ギルド本部がなんというか。まだ返事が来ていません。返事が来るまでは移動が出来ません。申し訳ありません。」

「いいよ、こっちが突然の話を持ってきたんだから。」



後日、冒険者ギルド本部から正式にセシルが後任と認められた。



「セシル、後は頼んだぞ。」

「私に出来るでしょうか、気が重いです。」

「大丈夫だ、アレクス様も何かあれば助けると言ってくれているから。」

「時々、ご相談するかもしれませんが、やってみます。」

「頼むな。」



迷宮都市の冒険者ギルドでは盛大な送別会が行われていた。



雷電の斧、ミスリルの剣、ワレキューレのメンバーがミジルの家臣となり貴族にもなると。冒険者たちは大喜びをしている。それもそのはず、将来自分たちも、もしかしたら貴族になれるかも知れないと期待を込めた祝いなのだ。

冒険者もいずれは引退となる。体力仕事の多いこの商売。いつまでも続けることは出来ないのだ。



アレクはそんな冒険者に向かい、引退しても俺が雇ってやると叫んでいた。



アレクは少し酔っていた。冒険者にご領主様、ご領主様と煽てられ、褒められて気分が良かったのだ。

冒険者は、戦える人の集まりだ。領主としての資質はともかく戦力にはなる。アレクは、領主は無理でも戦力として雇うつもりのようだ。爵位という餌がある。軍人としての職場があるのだ。

酔ってもその辺はまだ頭が回っているようだ。

アレクは冒険者たちと、楽しく飲んで食べて喋っていた。

この迷宮都市を起点としている冒険者たちは、アレクスの事を崇拝している者が多い。

特に、難民として来た者たちは、アレクを崇拝している。餓死寸前の者を救い、仕事を与えた。そして、迷宮で力まで手に入れることが出来るのだ。すべてアレクがやっていることを、冒険者たちは知っているのだ。

迷宮都市の総人口も10万人を超えていた。領民は3万人だが滞在者を含めると10万を超える。

今は迷宮の農地がフル稼働している。迷宮内農地を広げる計画もあるのだ。ミルが計画をしている。ミルはこの迷宮都市の自治領主代理として行政全般を見ているのだ。


アレクが、居ないせいもある。



段々と、ミルに頭が上がらなくなっているアレクである。




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