118話
オリオン王国、7伯爵。それはオリオン王国の最高幹部である。
出席するのは、国王ハロルドとエレメル夫妻。あとは7伯爵である。
「全員が揃うのは久しぶりだな。」
「子供たちも大喜びで、騒いでいますよ。」
ハロルド、苦笑い。
今この屋敷、いや大使館にはルドルフの家族他、子供たちが全員勢揃いしている。もう大変な騒ぎになっていたのだ。
ルドルフには男の子、レオンの子供も男の子、マリアの子供は双子で両方男の子、イリアの子供は双子で両方とも女の子なのだ。総勢6人の子供が騒ぎ回っているのだ。
「この会議が終わったら、全員で食事会だな。大変だなー。はーー。」
ハロルドは、孫の相手をして疲れ切っていた。
「気を取り直して始めようか。まずアレク、鉄道の件を頼む。」
「では、この計画書を見てください。まだ現地を見てないので概略ですがね。
この帝都とレオン兄の北部首都と鉄道で繋ぎます。同時に帝都とオリオン公爵領領都も同時進行で工事を行っていきます。ここまでは決定事項です。
問題はこの後です。僕の予定では、旧ローエム王国内を東西に鉄道を引くようにするつもりです。南北には公爵領都と北部首都を繋げていますので、十字に鉄道が完成となります。
ここまでは誰も文句は出ないでしょう。ですがここからが問題が、いいえ利権の取り合いが発生するでしょう。この十字に鉄道が引かれた場合、その先、又は途中からの枝分かれで、線路を引かれる場所と引かない場所では、経済の影響が違ってきます。
土地が帝国の物であれば、そんな利権など問題にならないのですが、領地は貴族が持っています。帝国が鉄道の布告を出せば従うのは間違いありませんが。実際の工事になった時は問題が出てくるでしょう。間違いありません。」
「アレク、どんな問題が出てくる。」
「そうですね。線路を伸ばせ。工事の作業員を雇え。駅をここに建てろ。ですかね。」
「貴族も必死になるだろうな。」
「レオン兄、他人事じゃありませんよ。レオン兄の所に一番来ますよ。」
「そ、そうか、帝国、オリオン公爵か、俺が一番身分が低いな。」
「そうです、だから一番言いやすい人の所に行くんです。」
「それは、まずいぞ。アレク何か対策は無いのか。」
「ありますが、これをやるのはまだ、次期早々かと思います。まぁ、オリオン王国で外国となりますから、それを理由に突っぱねれば当分は大丈夫でしょう。」
「俺が貧乏くじか。」
他の兄弟姉妹は面白がっている。自分に影響がないので気楽なものだ。
「貧乏くじは、ルドルフ兄もそうでしょう。」
「え、俺もか。」
「だって、ルドルフ兄は外務大臣ですよ。」
「あちゃぁぁ。そうだった。」
「ルドルフ兄とレオン兄、他の兄弟もそうですが帝国の爵位を持っていることが足枷になってきますね。オリオン王国の王族だけであれば、強気で行けますが、帝国の爵位を持っている事で相手は帝国貴族として接してくるでしょう。」
「父上、爵位を返上しますか。」
「カイン、それは出来ないと分かっているだろう。」
「え、なんで。帝国に住んでいないし返して終わりでしょう。」
「いいか、カイン。オリオン王国は、元はローエム王国の貴族だ。カインが南部に行き、領地を開発して南部という領地が手に入り独立をした。これはすべてローエム帝国皇帝が譲歩してつくられたものだ。ローエム帝国とオリオン王国とは主従関係は無くなったが、オリオン家としては自ら足枷を付けているのだ、ローエム帝国に配慮するためにな。」
「そうだったのか、知らなかった。」
「父上も、宣言していませんでしたしね。」
「では、レオンの帝国爵位を伯爵以上に出来ませんか。」
「ルドルフ。いい考えだな。」
「帝国の爵位の件は、後日、陛下と相談をする。」
「カイン、お前も獣王国の国王になったんだ。政治の事もきちんと理解しろ。」
「はい。」
「カイン兄、政治は、カミュウ姉に任せなよ。カミュウ姉なら大丈夫だよ。」
「そうか、なら任せてしまうかな。」
「アレク、カミュウに任せて大丈夫なのか。」
「うん。マリア姉とイリア姉ぐらいの実力はあるよ。」
「そ、そうなのか、じゃぁ、オリオン王国を手伝ってくれないかな。」
「父上、だめ、だめだよ、獣王国が優先だから。」
「そうだなカイン。悪かった。」
「それなら、ミルに手伝わせるよ。ミルは迷宮都市だけを今見ているから余裕はあるからね。」
「ミルティアも才能があるのか。」
「あれ、言ってませんでしたっけ。能力解放をやったんですよ。」
「アレク、能力解放。それは何だ。」
伯爵会議は中止となった。
アレクが、カイン、ミルティナ、カミュウと4人で迷宮核まで行き。能力解放を行った経緯を説明をした。自分の潜在能力の解放と聞き、マリア、イリア、レオン、ルドルフ。ハロルド、エレメルまでも自分もやりたいとなり、オリオン家総勢20人+デリックの17人で迷宮都市に行くことになったのだ。
アレクは迷宮都市、湖の村に案内をした。
「ここが、僕たちの屋敷です。じゃあーぁぁぁん。」
「凄いお屋敷だな。」
「住みやすそうね。」
「私にも建てなさい。アレク頼んだわよ。」
「じゃ、私の屋敷もお願いね。」
「なら、俺も頼む。」
「待ってよ。後で話は聞くからさ。今は迷宮核でしょう。」
「「「「そうだった。」」」」
アレクはみんなを迷宮核まで連れていき。一人一人に能力解放を行っていった。
ミル、カミュウほどの上昇は無かった。元々の能力がもう解放されいたのだろう。
それでも今まで以上に、能力が上がったのは間違いなく。特にハロルドの知力が上がった。
他の人達も、能力の底上げは出来たようだ。
「私にこんな力があったのね。ふふっ。」
「なんか、肌がきれいになったわ、アレクこれは何故。」
「あっ、まず。母上実は。」
アレクは、エレメルに体が活性化する事をオブラートに説明をしていく。だが質問が的確で逃げることはできなかった。少しだけ若さを維持できることを伝えたのだった。
その説明を聞いた、女性陣は大喜びであった。男性陣は白けて興味なし状態であった。男で一人忙しかったのはアレクのみであった。
みんなで又、迷宮内で能力の試しを行ったのは言うまでもない。
アレクは、こんなに魔物を殺して大丈夫か心配になったほどであった。
オリオン家、恐るべし。