101話
オリオン北部新領土
レオンは、北部新領土を上空から領土を一周していた。
「やはり広いな。」
「そうです、広さで言えば大国とまでは言えませんが、中堅国の広さではありません。」
「統治が大変だな。参ったな。」
「・・・・・・・・」
「北部の予定首都に行こうか。」
レオン一行は、元ドレイブ王国第二の都市に向かう。
「へー、ここがドレイブ第2の都市か。」
「閣下、まずは領主城に行きましょう。」
妻のメアリーは一緒ではない、妊娠しているため、ローエム帝国の屋敷にて留守番をしているのだ。これはメアリーが愚図ったが、レオンが長時間を掛けて説得をしていた、落ち着いたらすぐに呼ぶ事で納得をさせた。
城に入ると、家臣たちが両端一列に並び、レオンを迎えた。
「なんか、王になったようだな。」
レオンは、城の大広間に行き、家臣たちの挨拶を受けた。一通りの挨拶が終わり、現状の説明に移っていった。
「閣下、この元ドレイブ王国の第2の都市の名称はアムレットダレンとなります。まずこの名称の変更をお願いします。」
「長いな。通称では読んでいなかったのか。」
「はい、通称ではアムレットと又はダレンと呼ばれていました。」
「なら、正式名は、アムレットでいい。」
「はっ、正式名、アムレットで布告いたします。」
次々とレオンは決済をしていく。
「閣下、元ドレイブ王国の貴族たちが挨拶に来ております。お会いになりますか。」
「会おう。」
「伯爵閣下、謁見をしていただきありがとうございます。」
「あいさつはいい、用件は何だ。」
「はい、私共はオリオン王国に忠誠を誓います。なにとぞ、ご好意を承りたく来た次第でございます。」
一同が深々と頭を下げる。
「‥‥‥‥なぜ、ドレイブ王国に戻らなかった。」
「そ、それは・・・」
「まぁ良い、想像はつく。貴族位は残っても領地が無いのであろう。」
「さようでございます、伯爵閣下のご慧眼には感服いたします。」
「世事はいい。不愉快になる。」
「は、はい、も、も、申し訳ございません。」
「で、卿らは、いや今は平民か、貴様らは何が出来る。」
「・・・・・・りょ、領地の管理が出来ます。」
「そんなものは要らんな。」
「なにとぞ、ご好意をお願いします。お願いします。お願いします。お願いします。」
「・・・・・・」
レオンは、この元貴族たちを、最初から統治に利用するつもりでいた。元貴族達、全員にステータスカードの登録をさせて、レオンは各自の能力の確認をしたのだ。
「卿らを、オリオン王国は陞爵させてもよいぞ、だが以前の地位、領地はやれんな。」
「あ、ありがとうございます。陞爵され、貴族に戻ることが出来ましたら、誠心誠意お仕えさせていただきます。」
レオンは、一部の無能以外は陞爵させた。能力のある者は男爵にした。低いものは騎士爵を与え村の統治をさせるのだ。今までと全く関係のない土地だ。それを失敗すれば、処断し、成功すればそれで良しとしたのだ。
元ドレイブ王国の貴族達は、オリオン王国の貴族となった。この北部新領土は、ドレイブ王国の貴族が、ドレイブ王国に戻らなかったものが8割を超えていた。大きな理由は領地であるが、ドレイブ王国ではオリオン王国に勝てないと理解しているからである。もし、又戦争になった時にはオリオン王国側であれば、武功を上げれば褒賞を貰えると考えたのだ。
「ドレイブ王国の、元貴族たちの管理を任せるぞ。」
「はい、了解しました。」
この新領土は、オリオン王国のように発展はしていない。オリオン本土より広い領地の開発を行わなければならない。新領土の貴族、この権限を一時的に停止をしている。大まかな開発が完了するまでは、下手に貴族に権限があると、開発行為が滞る恐れがあるために停止をしているのだ。
これで、一気に開発行為を行い、発展をさせる考えだ。
「ある程度は機人に任せよるようにする。的確な指示を与えればそちらの方が早いだろうしな。
ブルーは、治安維持に全力で頼む。レッドは軍の維持と防衛を頼む。グリーンは開発の指示を、イエローは領民の状況を調べてくれ。対応は任せる。ピンクは、マリア、イリアと連携をして予算と計画をやってくれ。穏便にな。
他の・・・・・・・・・・・」
「こんなもんかな、あとはその都度、報告を頼む。」
ローエム帝国帝都
ルドルフは、オリオン王国となり、レオンも居なくなりルドルフに一気に仕事が押し寄せているのだ。外務大臣としての仕事、大使館としての業務、同盟国への色々ともう大変である。
「外務大臣が大使ってどう見てもおかしいだろう。」
「・・・・・」
「分かってるんだ、いいんだよ。独り言だ。」
「・・・・・・」
部下たちは何も言えない。オリオン王国の仕事量が尋常じゃないくらい多いことを、ルドルフには言えない。本人はその仕事をこなしているのだ、さすが優秀である。
部下たちは、ルドルフの指示のもと、大使館業務をこなしいく。
「ルドルフ様、イングリット王国が、面会を求めています。いかがいたしますか。」
「後回しだな、ローエム帝国との調整が出来ていない。」
「はっ、了解しました。」
「ルドルフ様、ローエム帝国のマイルド子爵が、面会を求めに来ております。」
「用件は、分かるか。」
「はい、魔法学校の件ではないかと。」
「魔法学校かぁぁ。まだ、学長代行だったな。・・・会おう。」
「ルドルフ殿、お忙しいところ申し訳ない。」
「マイルド殿、今日はどのような用件でおいでかな。」
「はい、実は、魔法学校にいったのですがルドルフ殿はこちらにいらっしゃるとお聞きしまして、寄らせていただきました。」「私の試験前に、スキル玉をお譲りくださいお願いいたします。」
「・・・・・・」
「お願いいたします。どうかお願いいたします。」
「マイルド殿、スキル玉。あなたに買えるのですか。」
「何としてもお支払いいたします。お譲りください。」
マイルド子爵には、希望するスキル玉はある。このマイルド子爵は、ローエム帝国の関係者なのだ、無下には扱えない。
「支払いは金貨ですか。為替ですかな。」
「その事ですが。今は金がありません。領地を担保にお願いできませんでしょうか。」
ルドルフは呆れてしまった。金もなしにお願いに来るのだろうか、普通は来ない。無下にできないと知っているから出来る行動なのだろう。
「マイルド殿、オリオン王国は、今後、一切のお付き合いをお断りいたします。お帰り下さい。」
ルドルフは、マイルド子爵を追い出した。ローエム帝国と親戚だから融通が利くと思っているのか。他の見せしめの為にも、ルドルフは、マイルド子爵の事を触れ回った。
マイルド子爵は、この事が切っ掛けで没落していった。 自業自得だな。
ルドルフは、気合を入れなおして仕事に励んでいった。が仕事量が日増しに増えていく。そこに機人が大量に送られてきたのだ。
ルドルフは歓喜に沸いた。
だが、トップの仕事は変わらなかった。楽になったのは部下たちであった。




