君と同じ夢が見たい。けれど、君はいない。

数多の国が刃を交える世界大戦期。
この世界では[ロネア]と言う力の源が存在し、人々もそれを応用する術を身に着けていた。
そしてそのロネアを使いこなす者を人々は「ロネア使い」、またの名を〈寝将騎士〉と呼んだ。
凡才、リュネル・ラノ・バーラスは子供のころから寝将騎士になるのが夢だった。
なぜかは、わからない。リュネルは７歳のころ、一度記憶を失っている。何もわからない世界で一つだけ、明確にわかることがあった。その時から見るようになった「夢」。朧気で、確証なんかこれっぽっちもないけどこの夢だけは自分の記憶の一部なんだと。

夢に出てくる少女と会うこと、会うには寝将騎士にならないといけないこと、そのためだけに彼は努力した。

時は経ち。
彼の夢が叶うことはなかった。

夢見る少年と見飽きた少女。
希望と絶望が織り成す、異世界ファンタジー。彼はまだ、夢を見る。

カクヨム掲載作品。