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ヘレティックワンダー 〜異端な冒険者〜  作者: Twilight
第一章 異世界適応篇

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第3話 魔力と気


 とりあえず、俺は魔法を出すことが出来るか確かめてみようと思い、地面に胡座あぐらをかきながら魔法を出せるか実験し始めた。


「むむむ~!」


 どうすれば魔法が出てくるかわからなかったので、右手を前に出して適当に念じてみたのだが、全くと言っていいほど変わった様子はない。


「これじゃあ只の中二病だな……」


 俺は今やっていることを一端中断して、どうしたらいいか考え始めた。


 ただ魔法を漠然と出そうとしても出来るわけがないか。そりゃそうだ。今まで出来たことが無いものを、適当にやってできる方がどうかしてるし、見たことないものを実現させるというのは到底無理な話だろう。


 まず、魔力とはどういうものか、というところから考えてみるべきか。


 一つ目、地球何かでの電気に相当する未知なるエネルギー説。これは、身近でわかりやすい。


 二つ目、オカルトなんかで死者が纏っている、謎の動力源説。自分で言ってて、頭おかしいんじゃないかと思うが、とりあえずおいておこう。


 三つ目、地球の伝説にあった『気』と呼ばれる生物や空気などにある概念説だ。中国思想なんかでは、一般に不可視であるとされ、流動的で運動し作用を起こすとされている、不思議なエネルギーだ。

 一説には、生命力を具現化したもので、この世に存在するもの全てに宿るとか、『気』はプラーナと呼ばれていたり、丹田に生命力の塊があるとか色々な解釈がある。


 四つ目、以上三つ全てを含んでいる場合。これを出したらキリがないな!


 まあ、半分くらいは本から拝借した雑学だからどこまで当てにしていいかも定かではない。

 とりあえず、今俺が分かる範囲と言うか、自分の中で説明できるのはこの程度か。


(一つ目も二つ目もこじつけみたいだし、頭がこんがらがってくるな……。まあ、共通点を上げるとするならば、体内にあること、動かすことが出来ること、何らかのエネルギーであることくらいだろうか。これだけの情報でどうにか出来るか?)


 10分程くらい黙考もっこうしていただろうか。

 俺は今考えたことを踏まえて、へその下にあると言われる丹田たんでんに意識を集中させ、身体中を力が巡っていることを想像しながら、目を閉じて瞑想する。


「……ダメだな。そう簡単に出来るわけないか」


 目を開いて、失敗したことに落ち込みはしなかったものの、なんだか疲れ(・・)を感じて、地面に寝転がりながら今ここにいる理由を思い返した。


「そういえば俺って、何でこんなことしてたんだっけ……」


(ああ、そうか。何故か異世界にいて、飯食うために生のキノコが嫌だから、こうして魔力を感じる練習から初めて、魔法で火が出せないか試そうとしてたっけ)


 優人は瞑っていた目を開けて空を見上げた。

 地道に弓切り式でも使って、火を起こしておけばよかったかな……。

 空腹と疲れを感じて憂鬱に浸りながら自然豊かな大地に、何処までも自由な空に、捉えることのできない雲になるようなイメージが頭を(よぎ)りながら一言――


「あーあ、雲になってどこかへ飛んでいきたいな――」


 と言った瞬間、

 体から重く、しかし生暖かいモノが体中から、特に臍の下付近でうごめいたのを感じた。


「ん? いきなりなんだ、これ? もしかして、これが魔力か!?」


 そう言うが早いか、起き上がってその正体不明のモノを動かそうと(こころ)みる。


「う~ん」


 と唸りながら、慎重に、少しずつ、丁寧に動かそうとしてみた。そうしていると、鈍い不透明ななにかが腹から身体中に纏わりついてきたのを感じとった。


「ふぅ、何か体がすげぇ重くて辛いんだけど……それに何か汗かいてきてるし」


 触れることができない不透明なそれは、腹から突き出た魂のようにも見えた。

 そんなことを考えつつも、何故か全力疾走した後みたいな疲労感を感じながら(ひたい)に浮かぶ汗を拭った。


「とりあえず、もう疲れたからこの力を動かすのを止めるか」


 その魔力(?)らしきものを体の中に収めようとするが、そううまくはいかず、壊れた蛇口のようにどんどん体から流れ出ていく。


「えっ、ちょっとヤバくね……?」


 危機感を覚えながら何とかしようと掻き集めるが、手が空を切りながら無慈悲にもとめどなく溢れ出ていく。


「ヤバい、意識が――……」




──☆──★──☆──

 



 どれくらいの時間が経っただろうか。

 俺は筋肉痛のような体の動かしにくさを感じつつ上体を起こすと、自分のステータスを早急に確認することから始めた。




──────────────────


名前:霞野 優人かすみのゆうと

年齢:18

性別:♂

種族:人族

称号:異世界転移者・読書家・哲学者・一流キノコハンター

Lv:1

HP:120/260

MP:250/1126 +100

筋力:100

体力:116

耐久:280

敏捷:143

魔力:110 +10 

知力:265 +8


スキル

高速思考Lv3

算術Lv5

速読術Lv2

採取Lv2   new +Lv2 up

魔力操作Lv1 new

気力操作Lv1 new


ユニークスキル

鑑定Lv3 +Lv2 up

言語術


──────────────────




「おおっ! スキルを獲得している。っていうか【魔力操作】だけじゃなく、【気力操作】っていうのまでスキルとしてあるんだけど。あと、キノコの称号まであるし」


ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー


一流キノコハンター:キノコを狩るスペシャリスト。50種類以上のキノコを採取するか、オウゴンダケを採ることが出来たものに贈られる。キノコを見つけやすくなる。


ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー


「……なんだろう、これ。功績として素晴らしいはずなんだけど、嬉しいような残念なような、複雑な気分だ……」

 

 不幸中の幸いなのか、魔力だけではなく気力とやらまで操作することが出来るようになったらしい。

 しかしおそらくだが、一度に両方感じとることができるようになったため、二つの力を制御ができず、コントロールが出来なくなってしまったのだろう。

 そのため、体が自己防衛のために魔力と気力を体内から出して、体を守ろうとしたのだ。そうして先に魔力が枯渇して気絶してしまった。

 もしこれで自己防衛が働かなかった場合、体内で二つの力が暴走して、最悪、爆発していたり、両方流れ出て気絶したまま死んでいたかもしれない。

 優人は冷や汗をかきながら、生きてる幸運に感謝しつつも別の事に意識を向ける。


(ステータスを見る限り、と言うか見なくても魔力枯渇したのだろうことは想像に固くないが、1時間程眠っていたのか?

 それに魔力が自動で回復していくことを知れたのも悪くない。


 とはいえ、どうして魔力と気力を同時に感じとることができるようになったのか不思議だな。

 この世界の人間は初めて魔力を感じとる時、毎回こんな危険なことをしているのだろうか?)


 優人はそんなことをぬかしているが、実際はこんな状態になることはありえなかった。

 通常、魔力を感じとる練習は、生まれ持っての天才でもない限り、魔法の師匠と共に危険を少なくすることが当然であり、魔力という存在に触れたことも無い人間がいきなり魔力操作をしようとすることや、まして気力も同時に操作しようものなど、考えるべくもない。


 そもそも、気力とは武術の達人が踏み入れる領域であり、何十年も鍛えたからこそ修練の果てに自然と使うことができるのだ。

 例を挙げれば、中国拳法などの滝に打たれたり、型を何年間も続けたり、木人に手足を打ち続けたり等の日々の弛まぬ鍛錬により、ひたすら肉体を酷使していく中で、悟るようにその境地に至る。


 それを素人以下の、さらに体が貧弱で魔力に触れたことすらない無知な人間が同時に操作しようものなど、無謀の一言に尽きた。

 もし、そんな事ができる人間がいるのなら、それはよっぽどの天才か、もしくは飛びぬけた大天才のいずれかである。

 この事実を知って、自分が死にかけたことに気付くのは当分先の話である。



 その本人である優人はというと、


「というか、HP減ってるし。もしかしなくても気力ってHPを消費するのか……? まあ、今は考えていても仕方がない。HPとご飯のためにも、お楽しみの魔法を早速試してみるとしますか!」


 とりあえず現状わからないことは置いておき、持ち前のマイペースさで優人は夢にまで見た魔法を試みるのだった。





魔力と気力に関してはいずれちゃんと説明する予定です。





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名前:霞野 優人かすみのゆうと

年齢:18

性別:♂

種族:人族

称号:異世界転移者・読書家・哲学者・一流キノコハンター

Lv:1

HP:260/260

MP:1126/1126 +100

筋力:100

体力:116

耐久:280

敏捷:143

魔力:110 +10

知力:265 +8


スキル

高速思考Lv3

算術Lv5

速読術Lv2

採取Lv2   new +Lv2 up

魔力操作Lv1 new

気力操作Lv1 new



ユニークスキル

鑑定Lv3 +Lv2 up

言語術




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