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ヘレティックワンダー 〜異端な冒険者〜  作者: Twilight
第一章 異世界適応篇

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第17話 図書室で 3

説明ばかりですみません!今回でやっと次に進みます。

ではご覧ください!



*2017/10/21 言語についての描写を付け加えました。


 テーブルに載せられている五冊目の本を手にとって、俺はページを開いていく。


 題名は『冒険者の全て』とある。

 この本は冒険者の必須情報が本当かどうか知らんが、全て書かれているらしい。


 著者は“現ハイラント公国 冒険者ギルド本部”と書いてあった。ハイラント公国で最初の冒険者ギルドが創られたんだと、そこにひどく興味を寄せられた。

 中を読む前の最初のページに、ギルドの一階にあった六ヶ条が「大事なことだ!!」と言わんばかりに太字で書かれていた。そんなにこれが譲れないのだろうか……。

 まあそんなことは置いといて、本を読んでいくとこんなことが書いてあった。



 一つ目はアイテム。

 予備の武器(ナイフ)、剥ぎ取りナイフ、背負い袋(バックパック)、大きな布、針、小さな袋、回復薬(ポーション)砥石といし、方位磁石、タオル、ロープ、水筒、非常食(干し肉・干し野菜・乾パン)などがあった。

 剥ぎ取りナイフは狩った魔物や動物を捌くのに必要だ。使っている武器で良いじゃないかと思ったが、それだと衛生的に悪いらしい。背負い袋は色々な物を入れるために、布は様々なことに応用できるようだ。例えば簡易テント、服、毛布、解けば糸としても使える。小さな袋は魔物の討伐証明などに。回復薬はそのまんま。それ以外の道具は万が一迷ったときの予備だとか。


 二つ目は情報。

 目的先の周辺情報、魔物の種類、野草や薬草などの傾向、盗賊の出没情報、依頼クエストがないかなど多岐にわたる必須事項とされるものだ。

 目的地が森の中ならばそこに至る経路だったり、水場や休めそうな場所があるのか? 出てくる魔物の脅威レベルは? 採取できる薬草なんかの種類などは? 盗賊に関して噂でも聞いたかなど知っておくと、安全性はもちろん効率的に行動できるという。

 「子供でもこの程度考えるだろ」と思ったが、この世界のというより、この時代の知識レベルが低いとかだろうか?


 三つ目は仲間。

 パーティーは基本的に3人以上6人未満が望ましいとされており、それは自分が危機に貧したときに、一人が回復、もう一人が援護するといった風に互いをサポート出来るからだ。6人ならば前衛二人、中衛二人、後衛二人と3人よりも格段に自分達を守りながらも攻撃することができる、王道の布陣だ。

 仲間がいない場合は、ギルドのクエストが貼ってある方とは反対側に併設されている酒場で探すといいらしい。

 何かゲームっぽいな。


 最後は雑多な情報が書かれていた。

 例えば冒険者のマナー。

 討伐した魔物の不要部分は燃やすか埋めること。

 獲物は先に攻撃した者勝ち。

 倒した獲物は倒した者が所有権を有すること。

 亡くなった冒険者を見つけたらギルドカードを回収することなど色々あった。

 魔物の不要部分を片付けるのは疫病や腐敗臭による周辺への被害や、それに伴う魔物を誘き寄せてしまうからだそうだ。

 獲物に関しては倒した魔物の奪い合いを防ぐために、作られたんだとか。

 冒険者のギルドカードの回収はいわゆる「ドッグタグ」の代わりみたいなものだ。

 まあ、このマナーを破った所で罰則なんて無いらしいが、しいて言うなら、他の冒険者に嫌われたり煙たがわれるくらいだ。

 あと、ギルドから冒険者の評価に影響があるとかだろうか。


 他にもダンジョンでのルールなどがあるようで、「セーフティエリアではお互いに武器を抜かない」、「魔物を引き連れて来ない(俗に言うモンスタートレイン)」、「他の冒険者とはいさかいを避けるため基本不干渉」、「かち合った場合は別の道へ行く」などありがちなことが書かれていた。

 ダンジョンでは俗に言うセーフティエリアと呼ばれるような場所があり、そこでは魔物が現れない不思議な空間があるようだ。

 その理由は現在も分かっていないらしい。そういうところでは冒険者たちは、一致団結してその時ばかりは助け合うことを優先するとか。

 そして狭い道での魔物との戦闘では奪い合いによる人同士の争いを避けるため、とりあえず離れたところから手伝うのか声をかけ、拒否されたらその道とは別の道を行くことが冒険者として暗黙の了解のようだ。

 そうして俺はこの本を最後まで読み終えたので、次の本へと向かう。




 六冊目はこの世界に存在している種族について記した本だった。題名は『世界を冒険した果てに』と書かれていて、著者は“グリルロイ・ベアリング”と書かれている。本を開いて読み進めていくと、興味深いことが沢山書いてあった。

 まずこの本の著者は自分で世界を旅して様々な種族や人に出逢い、別れを繰り返してきながら、それで得た知識や経験の全てをこの本に記したのだという。

 ようは種族について書いてあるが、実質的には冒険記のようなものだろう。

 それはつまり、彼自身があちこちを自由に旅できるほどの強者であると言う証拠だ。

 だが、どこどこにある国のなになにと言われても解らないので、種族だけを列挙して覚えることにする。


 種族は人族、獣人族、鳥人族、魚人族、精霊族、龍人族(ドラゴニュート)、悪魔族、吸血鬼族、魔人族、鬼人族、天族などがあった。


 人族ひと、通称“ヒューマン”は特に秀でたところがない故にどんなところでも適応する力と、何者にも成れる力がある。世界で最も多く存在する種族。寿命は80年程で戦闘を主にする職業に就くものはさらに短くなる。


 獣人族じゅうじんは犬人、猫人、狼人、虎人、獅子人、兎人、狐人などの総称であり、他にも様々な種の獣人がいる。寿命は70年程と人族より少し短い。


 鳥人族ちょうじんたかわしからすつるなどの総称であり、他にも様々な種の鳥人がいる。寿命は獣人族と同じ70年程。


 魚人族ぎょじんは手足にヒレ、首にえら、そして体の所々に鱗が点々と生えている種族。主に人魚(マーメイド)魚人(マーマン)が存在する。寿命は300年以上と言われているが、魔物にやられるなどして命を落とす者が多いため、寿命で亡くなるものはあまり多くない。水の中で長時間、呼吸することが出来る。


 精霊族は森妖精エルフ高位森妖精ハイエルフ闇妖精ダークエルフ岩窟妖精ドワーフなどの種族の総称だ。森妖精や闇妖精の寿命は約1000年程と長く、岩窟妖精ドワーフは250年ほど。高位森妖精ハイエルフに至っては、数千年もの寿命があると言われている。


 龍人族ドラゴニュートは龍の力と人の多様さを合わせた強靭な肉体を持つ種族。寿命は1000年程でトカゲ呼ばわりは絶対に禁句。子孫を重ねるにつれて龍人族の力は衰えていると言われている。人類三大最強種族の一角に挙げられる。


 悪魔族は狡猾で他者を堕落、もしくは悪戯することや戦うことを生きがいとする者が多い種族。見た目は黒い肌だったり翼や尻尾、角が生えていたりと統一感はない。寿命は特になく、現在の最高到達年齢は1000年を優に越していると言われている。人類三大最強種族の一角に挙げられる。


 吸血鬼族きゅうけつき、通称“ヴァンパイア”は血を吸うことで栄養と吸血鬼本来の力である様々な特殊能力の覚醒や力を増し、寿命を引き伸ばすことができる。そのため多様な能力がある故に弱点もそれなりにあるが、血を吸うほどに克服し強くなると言われている。人類三大最強種族の一角に挙げられる。


 魔人族まじんはここ数千年突如現れた種族で、大量の魔力と人よりも優れた身体能力が特徴だ。魔人族と人族はそれほど仲良くない。そのため少数の魔人族は人族のことを自分たちよりも劣等人種と見下し、人族は魔人族を堕ちた人族と蔑む。だが大半の人族は村や辺境に住んでいるとそもそも会ったことがない魔人族に対してどうも思わない者が多いという。寿命は200年程。


 鬼人族はその強大な豪腕で知られている。見た目は基本的に赤い肌に、頭に角と特徴的な種族だ。性格は粗野で粗暴で短気だが、情に厚く仲間思いで約束は必ず守るとされている。寿命は300年程。


 天人族はその昔、天から降りてきた天使と人とが愛し合って生まれた種族であり、性格は高潔で悪を許さない強い正義感を持つと言う。希少性が高く容姿が整っているため、見つけたら捕まえられて奴隷にされていた時代がある。そのため、天人族は警戒心がとても強くコミュニティは誰にも分からないため、更に希少性が増している。寿命は元々存在しなかったが代を重ねるごとに天使の血が薄くなっていると言われているため、正確な寿命は分からないが存在すると思われる。


 他にも同じ人族でも含まれない者たちがいて、小人族(ミニムス)女人族(アマゾネス)巨人族(ジャイアント)などがいる。彼らは長い歴史でヒューマンとは違った変化をした種族だと今は考えられている。


 小人族は見た目こそ100~140センチほどで小学生みたいだが、動きが素早く、器用で繊細な装飾技術を持つ。草原で遊牧民のような生活をしており、ドワーフと似ていると考える者も多いが、顔や体つきが全然違うらしい。


 女人族は女性しか生まれないことで有名な種族だ。遥か昔には「神の呪い」と言われ、蔑まれていたため人族に迫害されてきた過去を持つが、今では女性だけを生むことから尊い種族だと世界的に考えられている。だが一部の人族はまだ神の呪いだと信じている者もいる。種族のほぼ全員が一流の戦士であり狩人でもあるため平均的な戦闘能力は高い。  


 巨人族は2~5メートル程の姿でその出で立ちから魔物と見なされた時代も存在するが、女人族アマゾネス同様にある時変革を迎え、その時に体が大きなだけの種族で危険は無いと知れ渡っていった。

 この本に大体このようなことが書いてあった。




 最後でもある七冊目の本を手に取った。

 今回も同じように表紙を見てみると、『世界の常識』と題された本だった。著者は特に無いのでそのまま本を読み開いていく。内容はこの世界で決められた共通の常識やルールなどについて書かれているようだ。

 


 まず貨幣価値。

 ジャックに教えてもらった通り銅貨、銀貨、金貨、白金貨、水晶貨が大小二つの計10種類が存在する。そしてこの世界では金属含有率が明確に決まっているので偽造できないし、もし出来たとしても重犯罪で死刑になるほど重い罪だ。まあ“金は天下の周りもの”っていうし、偽造してまでお金を欲しいとは思わないけどな。ついでに水晶貨は水晶自体が極少数なので希少価値が途轍もなく高く、そのせいで数億もの価値があるとか。また、硬貨自体は同じだが、レリーフはそれぞれの国ごとで違いがある。これについては、その国に行ってからのお楽しみということで。


 二つ目に魔物。

 この世界の至る所に存在し、人間を見たら滅ぼせと言わんばかりに襲ってくる凶悪な生物だ。どこから来たのか、なぜ襲ってくるのか、どうして存在するのかは未だ何も分かっていない。

 だが魔物たちは人間を襲い、喰らって進化することは子供でも知られているので、進化して強くなるために襲っているというのが世界で信じられている一般的な見解だ。

 だが魔物にも食べ物の趣味嗜好があるのか、植物しか喰わない草食系の魔物もいれば、人肉を好んで喰らう肉食系の魔物も存在する。そのため人間を喰うことが好きな魔物が街道に現れた際はすぐに危険指定され、即刻冒険者ギルドや騎士団で討伐することが求められている。

 また魔物の定義は『体内の一部(心臓もしくは頭部)に魔力が凝縮して固まり、結晶になった“魔石”と呼ばれるもの持っていて、なおかつ赤黒い血を持つ生物を一般に「魔物」』と呼んでいる。逆説的に、動物の定義は『魔石を持たず、赤黒くない血を持つ生物』である。


 三つ目は魔法。

 魔法とは『魔力という生物や大地、大気などあらゆる場所に存在し、この世全てに共通する万物を形作ることが出来る力を使い、発動する事によって成し得る奇跡』のことである。

 属性は火、水、風、土、光、闇、無のことをシンプルに“基礎属性”、または“創世の始原七翼(アルキプテリュクス)”と呼ばれている。これはこの世界が七柱の属性を司る神によって創られた神話による影響が強い。

 氷、木、雷、影、血、神聖、空間、時間、重力の九つのことを上位属性、とりわけ空間、時間、重力の三つを“万理の三角(トリルアレーティア)”と魔法に携わる者の中で呼称されている。

 精霊、付与、死霊、結界、幻惑、召喚、契約の七つの属性は特殊な環境でしか使われない、使えないことからそのままの意味で特殊属性と呼ばれている。


 四つ目にステータス。

 「ステータス」と唱えると半透明な板状のものが現れ、自分の能力の詳細な数値や説明が書かれている。一説によればステータスは神の力の一部を人間が使えるようにしたとされている。

 Lvは“レベル”と読み、本人の強さの段階を知ることが出来る。基本的にレベルが高い者の方が強い傾向にあるが、武術や剣術などのわざを磨くことによって格上の相手でも倒すことができる。ステータスの数値は100が成人男性の平均であり、200で二倍、300で三倍と言うのが一般的な価値基準(・・・・・・・・)となっている。


 五つ目に地下迷宮(ダンジョン)

 迷宮は平地や砂漠、森や洞窟、山や海などこの世界の様々なところに存在し、偏在している。しかも迷宮の中は千差万別であり、灼熱地獄のところもあれば極寒地獄のようなものまである。

 だがいくつか共通する部分がある。

 それは中に魔物の存在と迷宮核(ダンジョンコア)と呼ばれている宝石のような見た目の物体があることだ。魔物は死ぬと体の大半がダンジョンに取り込まれ再利用されて、再び造られるとされている。そして取り込まれず残った魔物の体の一部が様々な素材として活用される。この素材のことを人は“ドロップアイテム”という。

 ドロップアイテムにはその魔物の角、牙、爪、鱗、眼球、翼、皮、骨など多種多様な種類があり、薬や武器、防具などに使われる。迷宮核ダンジョンコアは迷宮奥深くの最深部にただ一つ存在し、たった一つだけでも莫大な価値を持つ。迷宮内に一つだけしか存在しないことから、それは魔物にとっての魔石のように、迷宮にとっての命だと言われている。そのため迷宮核を得たものは巨万の富を得たことと等しい。迷宮は突如現れることから昔は神の試練と思われていたが、今は魔物の一種なのではと考えられている。


 最後に言語。

 まず最初にこの世界は【エルフェルシア】と呼ばれており、その中で今いるこの大陸を【デイアード大陸】、この大陸より南に位置する大陸を【ハイルート大陸】と名付けられている。

 その【デイアード大陸】の中では様々な言語が生まれ、そして消えていったが、その中でも今現在主流となっている言語を【ユースリト語】、通称“共通語”とも呼ばれている。

 他にも、森妖精エルフが使っている言語は“エルフ語”などと区別されている。 



 これで俺は七冊の本全てを読み終えたのだった。


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