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複垢調査官 飛騨亜礼 ≪短編連作版≫  作者: 坂崎文明
第七章 AIヒューマン

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仮想通貨謀略戦

「あれ、飛騨さんと舞さんがいない?」


 バリューコインを買うためにコンビ二入金から帰ってきたメガネ君がきょろきょろしている。


「何か用事があるとかで、ふたりで出てったよ。たぶん、捜査活動に戻ったんじゃないのか」


 真田幸村が答える。


「僕も行くべきかな」


「メガネ君はしばらく僕らと遊んでてもいいそうです」


 石田三成がにっこりと笑った。

 戦国時代の話でもして楽しく過ごすか。


「結局、バリューコインキャッシュって何なんですか?」


 メガネは8月1日に誕生する予定の仮想通貨について質問していた。


「あれは結局、電気代の安い中国のIT起業家がバリューコインの知名度を利用して新しい仮想通貨を発行するってことなんだよ。バリューコインのシステムはパソコンによって支えられてるけど、その多くが中国に拠点を置いてるんだ。それって中央集権的でないのが理念のバリューコインの思想とは相反するものだよ」


 三成が丁寧に説明してくれる。


「仮想通貨の基軸のバリューコインは50%のシェアがあるのだけど、その他にも数十種類のアルトコインと呼ばれるものがある。アルトコインとは『代わりのコイン』という意味でバリューコイン以外の仮想通貨のことをさす。おそらく、米国のCIA辺りが創った裏社会の金の流れを掴む<諜報仮想通貨>がバリューコインなんだよね。それに対抗して中国が創り上げようとしてるのがバリューコインキャッシュだよ。バリューコインのバッタものという中国らしいネーミングだよね」


 三成は中国人には手厳しい。


「それじゃあ、バリューコインの資産情報は米国情報部に筒抜けなの? 米国のブラウザ<Doors>と同じで情報抜かれてるの?」


 メガネは焦った。


「米国は日本人の携帯電話やメールを全部、盗聴してるし、無料通話アプリ<LIME>は韓国情報部に情報行ってると考えて間違いない。いつの世も情報を制するものが世界を制するな」


 幸村がこわいことをいう。

 だが、おそらく真実だろう。


「そういえば米国情報諜報部にいた『スノーホワイト』という諜報員の映画を観たけど、そういう世界の情報盗聴するシステムを米国が持ってるのは確からしいし、『アラブの春』にSNS<フェイスリスト>が利用されたり、中東のイスラムゲリラIFなども元々米国情報部(CIA)や米国が作ったイスラム政権転覆のための組織とは聞きますね。スランプ大統領が生まれた米国大統領選にロシアのハッキングなどの干渉があったという問題も未だに(くすぶ)ってますね」


 メガネ君はネットで得た情報を口にする。


「現代の諜報戦はハッキングなどのサイバー攻撃や無人偵察機ドローンなどの使用に移行してる。米国が中東の工作に民間IT企業やNGOなどの団体を巧みに操ってるのも分かって来ている。ロシアもそれに対抗して米国大統領選挙に介入したと言われてるし、仮想通貨<ルーサリアム>でロシアのルーブルを仮想通貨に移行しようとしてるようだ。中央銀行の発行する紙幣が消えて仮想通貨に移行するのも時間の問題だ」


 幸村は国際謀略戦にも詳しい。


「ということはバリューコインが米国、バリューコインキャッシュが中国、<ルーサリアム>がロシア政府の支配下にあると考えられる訳ですね」


 メガネ君にも全体像が見えてきていた。


「そうだよね。つまり、実質、自国の民間IT企業の発行する仮想通貨を利用して、紙幣から仮想通貨に移行する時代がくる。中国などはキャスレス社会が行き過ぎて、屋台、お賽銭、物乞いもQRコードでお金を受け取ってるからね。商店のQRコードをすり替えてそこの売上げをごっそり抜き取る犯罪もでてきている」


 三成も未来の仮想通貨社会を見越しているようだ。


「凄い世の中になりましたね。ということは、バリューコインが基軸通貨ドルのように世界を支配する日も近いというか、すでに仮想通貨世界を支配している」


 メガネ君がいう。


「そういうことだな。インターネットも仮想通貨も技術的には分散型だが、米国の軍事技術が応用されたり、CIAの存在抜きには語れない。気をつけないといけない点だよ。SNSの情報を人工知能(AI)が吸収して進化してるとも言われているし」


 天下の知将、真田幸村の見解に深く納得するメガネ君であった。

仮想通貨はインターネットの発祥理由と似ている|間違いなくこれからの主流になる分散型

http://virtualmoney.jp/I0001233


ロシアによる「米大統領選干渉」がマズい理由 トランプ勝利に導いた立役者?

http://toyokeizai.net/articles/-/149930


グレン・S・フクシマ :米国先端政策研究所(CAP) 上級研究員

ロシアはイーサリアムで自国仮想通貨発行を狙う|プーチン大統領が語る米国の支配

http://virtualmoney.jp/I0001168


凄い勢いで進む中国のキャッシュレス社会、既に想像の遥か上に到達

http://kabumatome.doorblog.jp/archives/65890870.html


スウェーデンの現金使用率は2%―、キャッシュレス社会への賛否

http://jp.techcrunch.com/2017/03/01/20170226cash-is-no-longer-king/


キャッシュレス社会の中国で日本では考えられない犯罪が起きる

http://blog.livedoor.jp/qmanews/archives/52196243.html


米MSの人工知能が暴走している一方、日本MSの作ったJK人工知能はオタクになっていた

https://togetter.com/li/954095



 仮想通貨やインターネットは確実に監視されてると考えるべきです。

 ネットが自由などというのは幻想です。

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