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複垢調査官 飛騨亜礼 ≪短編連作版≫  作者: 坂崎文明
第七章 AIヒューマン

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時価総額

「この<バリュ-スター>の時価総額10億円って何なの?」


 神楽舞は前から疑問に思ってきたことを口にした。

 <バリュ-スター>ランキングを覗いていたのだが、単価とか、時価総額とか何か数字が並んでいる。

 そこは京都の神沢優の探偵事務所で、『石田三成オフ会』の事前待ち合わせ場所であった。

 まだ、舞とメガネ君しか集まっていないが。


「知らなかったんですか? 舞さんの評価というか、<バリュ-スター>は現在、単価7000円、時価総額4億円ってことですよ」


 メガネ君はちょっと唖然としてるようだった。


「なんですと! ということは<バリュ-スター>を全部売れば4億円になるっていうこと?」


 舞がすっとんきょうな声を出した。

 分かってなかったんかよ!と突っ込みたいメガネ君であった。


「正確には今まで売り出した<バリュ-スター>単価7000円×<バリュ-スター>数になりますが、少なくともすでに売れた<バリューコイン>は数千万円分ぐらいあるかと思います。そこから残りの<バリュ-スター>数に単価7000円をかけたものが時価総額になります。ただ、それは<バリュ-スター>社の発行する<バリューコイン>を円換算したものなので、<バリューコイン>取引所で現金に換金しないといけないですが」


 メガネ君が丁寧に説明する。

 

「そうかあ。とりあえず、一千万円ぐらい換金して『お嬢様は悪役令嬢』の広告ポスターを秋葉原駅構内に展開してみようかしら?」


 舞がとんでもないことを言い出す。


「いやいや、『お嬢様は悪役令嬢』が例え売れても印税は数千万ですから、それはやめた方がいいのでは? 二巻が三万部ぐらいしか売れなかったんでしょう? やっぱり、二巻で打ち」


「みなまでいうなあ――――! 分かってるわよ。分かってるのよ。だけど、『にんじん村のうさちゃん』の例もあるでしょう!」


 舞は魂の底から叫んだ。

 『にんじん村のうさちゃん』は某女お笑い芸人が描いた絵本であり、20万部の大ヒットになってるが、最初の二万部を自腹で買取り、二万部の大ヒット!と宣伝していたという。宣伝費も自腹であった。

 最近では某ラノベ作家が秋葉原駅構内に広告ポスターを自腹で展開したという事例もある。


「確かに、全く可能性はないとは言えないですね」


「そうでしょ、そうでしょ!」


「そんなに自分の小説を売りたいんですか?」


「違うのよ。売りたいんじゃなくて、この物語の続きを書かせて!ということなの」


 舞は初恋の少女のような真摯な瞳で、メガネ君を見返している。


「分かりました。好きなようにしなさい! 舞さんの好きなように! 後悔のないように」


「ありがとう! メガネ君!」


 と舞は感激のあまりメガネ君に抱きついた。

 そこに間が悪く飛騨がドアを開けて登場してくる。


「舞さん、メガネ君、そういう関係だったのか?」


「いや、誤解ですよ」


 メガネ君は慌てて弁解する。


「私、やるわ! メガネ君! 秋葉原駅構内を『お嬢様は悪役令嬢』のポスターで埋め尽くすのよ! いっそ、自腹で10万部ぐらい買っちゃおうかな。<バリュ-スター>の力で無双してやる!」


 最後のオチは異世界転生小説を書いてる人しか理解不能なものだったが、そんなことは舞には全く関係なかった。

 『お嬢様は悪役令嬢』の三巻を出すためには手段を選んでいられない舞であった。




『VALUの仕組み』解説編です。

クリエイターネタも入れてみました。

結構、実話だったりします。


「作者印税は宣伝費に全額突っ込みました」ラノベ作家が自腹でアルタ広告まで出す理由

http://nuwton.com/comic/15729/


【やってみたシリーズ】自腹で2435万1138円払ってみた。

https://lineblog.me/nishino/archives/9253796.html


VRMMOをカネの力で無双する 作者:鰤/牙

http://ncode.syosetu.com/n0553bs/


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