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複垢調査官 飛騨亜礼 ≪短編連作版≫  作者: 坂崎文明
第七章 AIヒューマン
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なりすまし対策会議

「ということで、なりすまし対策会議はじめます」


 <バリュースター>の運営担当の渡瀬紗英が高らかに宣言した。

 今日も若い美貌がまぶしい。

 そこは京都にある<バリュースター>本社の7階会議室である。

 白い壁にはオレンジ色の丸印があり、その中に白く<VS>のロゴが浮かび上がっている。


 メンバーはメガネ君、飛騨亜礼と神楽舞である。

 Web小説投稿サイト「作家でたまごごはん」の初代、二代目運営で構成される不正アカウント削除(BAN)のドリームチームである。これほど最適な人材はいない。

 三人合わせたら、数万規模のアカウントBAN数になるだろう。


「とりあえず、怪しそうな人を挙げてほしいのだけど」


 飛騨亜礼がメンバーに意見を募る。


「スティーブ・ジョブスとか亡くなってるし、ヒトラーとか歴史上の人物、故人は事前にBAN、削除済みです。それとスマホなどを利用しての二段階認証。免許証など身分証の提出も義務付けてるのでかなり改善していくと思います。ハッキング対策もやってます」


 紗英が補足説明した。

 確かにそれはもっともだ。

 

「あれ、でも、<バリュースター>ランキング5位の真田幸村、9位の石田三成は垢BAN対象者でしょう?『石田三成 派遣社員で働いてます』『真田幸村 三成のアパートで居候してます』とか、おかしいでしょう?」

 

 神楽舞が疑問を呈した。


「あのふたりは捜査協力者なんで」


 メガネ君がさらっという。


「どういうこと?」


 舞は目をまるくしている。


「それは俺から説明するが、最初、問題になったんだけど、オフ会であまりにもそっくりなんで誰も文句は言えなくなってさ。説得力は半端ないんだよ。まあ、ネタだと思うけど、<バリュースター>で人気者になっちゃってさ」


 飛騨が事情を説明した。


「そういうことです。三成さんのお茶は絶品だし、幸村さんの体技も凄くて、この前、オフ会に来てた人のサバイバルナイフを見事にをかわして気絶させちゃって」


 紗英の目が輝きを増している。

 幸村ファンか。


「まあ、そういうことなんで、次は?」


 飛騨が話を進める。


「それと、この<バリュースター>ランキング1位のコスプレイヤーさんですか。<さえさえ☆>とかいう。気に入らないわ」

 

 アイコンの写真はピンクの猫耳コスプレでかわいい尻尾(しっぽ)が生えている。

 舞がぶーたれてる。


「可愛いじゃないですか。それ、ただの個人的好みでしょう、舞さん?」


 メガネ君が突っ込みを入れてきた。


「―――それ、わたしです」


 紗英が衝撃発言を繰り出す。


「そうなの? それは申し訳ないわ」


 舞は仕方なく謝る。

 気まずい。


「えーと、まあ、ここで議論しても本人確認とか難しいし、実際の印象なども大事だしね。今までやってきていたオフ会に参加してのランキング100位までのメンバー確認活動も地道にする必要がある」

 

 飛騨が助け舟を出して話をまとめてきた。

 舞が参加する以前に、オフ会中心の地道な調査活動をしていたらしい。

 次回は主要メンバーが集まるという「石田三成オフ会」に潜入予定だという。

 それから何人かのメンバーについて議論が続き、13時からはじまった会議は19時ぐらいにようやく終わった。

 

「舞さん、これから暇ある? ちょっと食事でも奢ろうか? メガネ君、紗英さんもどう?」


 飛騨は珍しく気前がいい。

 舞は懐かしさもあって、誘いに乗ることにした。


「残念、私はまだ仕事がありますので」


 紗英は本当に残念そうな顔でエレベーターまで送ってくれた。

 小さな手を振る。

 仕草がかわいい。

  


     †



「え? ここって、秘密結社<天鴉(アマガラス)>の京都のセーフハウスですよね?」 


 舞が絶句している。

 隠れ家的レストランに連れて行ってくれるのかと思っていたのだが、そこはWeb小説投稿サイト『作家でたまごごはん』の入ってるビルの7階でもあった。

 おかしいとは思ってたんだけど。


「舞さん、座って座って。今日は私の手料理を振舞うわよ。公安カレーよ。美味しいのよ」


 ピンクのサイバーグラスにダークグリーンの軍服姿の神沢優が笑顔で迎えてくれた。

 この事務所は表向きは探偵事務所ということになっていて、公安警察の京都のアジトのひとつでもあった。

 神沢優は探偵事務所社長であり、秘密結社<天鴉(アマガラス)>のリーダーであり、公安警察にも出向していた。

 神楽舞、飛騨亜礼、メガネ君も事情があって、今は公安警察の協力者、エージェントであり、秘密結社<天鴉(アマガラス)>のメンバーでもあった。


「公安カレー美味しい!」


 舞は本当に美味しそうに食べる。


「だけど、神沢社長がでてくるとなると、この事件には裏があるんですね?」


 メガネ君も事情を察してるようだった。

 神沢優がエプロンを脱ぎながら言った。


「<バリュースター>社は金融庁、政府なども注目していて、公安警察に調査命令も来てるよ。かつてのIT企業<ライフドア>事件の再来を警戒してるという訳よ」


 <ライフドア>事件といえば、投資事業組合による自社株買いで相場操縦をした事件である。

 連日の株価上昇は自作自演であり、東京地検特捜部の国策捜査だとも言われている。

 特捜部の捜査で<ライフドア>の株は暴落し、『<ライフドア>社被害者の会』も作られて、刑事事件で主要経営者数名が逮捕され、民事の損害賠償請求の裁判も起こされた。

 Web小説投稿サイトにおける自作自演の複垢(複数アカウント)によるポイント水増し不正と構造的に類似してる部分もある。

 

「評価経済社会には複垢問題はつきまといますね」


 メガネ君がつぶやく。


「そういうことよ」


  神沢優も同意する。


「で、俺の出番という訳なのだが、人工知能の問題も絡んでるという情報もある」


 飛騨が意外なことを言った。


「人工知能?」


 メガネ君が身を乗り出す。


「<バリュースター>社は人間を株式のように評価する際、自社発行の<バリューコイン>を使って、バリュースターの単価、時価総額を算定している。さらにその評価自体はネットのSNSなどの影響力がベースになってるが、人工知能(AI)でしていると言われている。その人工知能のプロトタイプは、世界的IT企業<Miyazon>社のものらしく、極秘裏に人工知能を脳に埋め込んだ<AIヒューマン>の実験もしてるというタレ込み情報があったんだ」


 飛騨が事情を語った。


「だけど、その情報提供者の<バリュースター>社員は失踪した後に琵琶湖で死体が発見された」


 神沢優の話がきな臭い方向にいっている。


「<AIヒューマン>かあ。米国では数十万人規模でもう存在してると言われてますね」


 メガネ君がメガネをくいっと上げるしぐさをした。

 いつもの癖である。


「<バリュースター>社などAI企業の動向に法律が追いつかない問題もあるのだが、AI社会の進展もなかなかに人間の倫理的問題をはらむな」


  飛騨も珍しく考え込んでいる。


「―――あの、公安カレーおかわり!」


 いい笑顔でスプーンをなめている。

 舞はあくまでマイペースだった。

 腹が減っては戦はできない訳だけど。

 何とか第二話を更新です。


 なるべく扇風機で過ごしてましたが、パソコンが落ちまして、30℃以上はまずいということで、28℃設定のエアコン生活になってます。


 出だしはVALUとか、ビットコインとか、ライブドア事件のお話ですが、徐々に人工知能のお話になります。

 ラストシーンはもう浮かんでいるので、そこにどう繋げるかというお話ですが。



VALUで怖いのは「アカウント乗っ取り」と「なりすまし」だ!セキュリティ強化必須。

http://www.kiyosui.com/entry/valu-nottori


VALUの問題点をリストアップしてみる。

http://www.ikedahayato.com/20170713/71395079.html



『石田三成 派遣社員で働いてます』

『真田幸村 三成のアパートで居候してます』


ミヤゾンの荷物がいつになっても届かない

http://ncode.syosetu.com/n5686dd/72/


実は・・・50万人以上がマイクロチップ人間!人間のロボット化はすぐそこまで・・・

https://matome.naver.jp/odai/2148257112913172001

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