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複垢調査官 飛騨亜礼 ≪短編連作版≫  作者: 坂崎文明
第五章 複垢狩りゲーム
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信長降臨

 メガネのボトムストライカーが大地に投げ出された。

 赤い砂塵が舞い上がる。

 龍頭のボトムウォーリアーの巨大な尾による一撃である。

 背後からの攻撃ゆえに全く感知できず、メガネの意識も一瞬、遠のきかける。


 幸い、機体に大きな損傷はない。

 だが、龍頭のボトムウォーリアーは再び、その巨大な尾でメガネ機を打ちすえた。


 左手でガードするが、そのまま吹っ飛ばされてしまう。

 パワーが違い過ぎるのだ。

 衝撃を横回転で和らげて、上手く受け身を取って素早く立ち上がる。

 そして、そのまま距離を取った。


 腰の<水龍剣>に手をかけて居合の間合いを図る。

 が、あまりに体格差かありすぎて、到底、間合いに入れそうもない。


(メガネ、何とかなりそうか?)


 信長が心話で話しかける。


(なかなか厳しいですね)


 メガネは不用意に転位魔方陣に入ってしまったことを後悔していた。

 アバターの掌に冷や汗が吹き出してきた。

 

 だが、このまま逃げ回っても埒があかないし、思い切って突撃してみる。

 何とか間合に入るしかない。 


 巨大な尾が暴風を伴ってメガネを襲う。


 一撃目は何とか身をかわしたが、二撃目が左足にひっかかって機体が回転して吹っ飛ばされた。

 しかも、まずい事に、今度は左足の関節が上手く動かない。

 破損のアラームランプが点滅している。


 龍頭のボトムウォーリアーの巨大な尾がメガネの<ニンジャハインド>を滅多打ちにする。

 両手でガードしているが、長くは持ちそうもない。





(メガネ、しっかりしろ!)


 そう叫びながら、神霊である信長はその光景をただ見守るしかなかった。 

 例えゲームの中でも物質界には直接、干渉することはできない。


 精神生命体である神霊の信長が物質界に働きかけるためには何かの<憑代(よりしろ)>が必要である。

 そんなものがこの火星世界、正確には<火星ステージ>にあるはずがない。


 メガネの<ニンジャハインド>は彼のメイン機体ではなくサブ機体であるが、敵陣に潜入する隠密行動で愛用していて、それなりの経験値と性能をもつ大事な機体である。


 メガネが<ニンジャハインド>をとても大切に整備してることを信長はよく知っていた。

 たかがゲームの機体であるが、されどそれはメガネの汗と苦労の結晶である。

 それが失われることは、そのことを良く知っている信長にとっても忍びないことだった。   

 

憑代(よりしろ)などあるはずが………あれは、何じゃ?)


 信長の<魔人眼>の視界に赤い砂塵の彼方に奇妙なものが見えた。 

 黄金に輝く人形(ひとがた)の何かが砂に埋まっていた。


 それは生命体ではなかった。

 廃棄された機械の身体であった。


 付喪神(つくもがみ)、長い年月を経た道具などに神霊や精霊、霊魂などが宿ることがある。

 ならば、機械の身体であっても神霊が宿ることが可能かもしれない。


(ええい、ままよ!) 


 信長の神霊体、メガネに宿っていた<アストラル・ボディ>が瞬間移動して、黄金に輝く人形(ひとがた)に憑依した。


(なんじゃ、こりゃ?)


 憑依した黄金の身体が再起動(リブート)する。

 背中の双発のジェットエンジンが噴射して凄まじい加速がかかる。

 信長はそのまま頭から、龍頭のボトムウォーリアーに突っ込んで行った。


 制御不能の信長の特攻をまともに受けた龍頭のボトムウォーリアーは、さすがにその巨体を揺らして赤い大地に倒れた。

 メガネはやっと開放されて、機体をようやく立て直した。


(メガネ、大丈夫か?)


 信長の心話がメガネに響いた。


(信長さま?)


 メガネはそこに生前の織田信長の姿を見ていた。

 細面の顔にどじょう(ひげ)、洋風の黒マントの裏地は真紅である。

 漆黒の鎧に愛刀<へし切長谷部>が黄金の鞘に収まっている。

 颯爽とした出で立ちで、黒のブーツがとてもおしゃれである。

 

 それが謎の<|境界性次元変換機械生命体マージナル・ボディ>と信長との最初の出会いであった。

  

 

<境界性次元変換機械生命体/マージナル・ボディ>って何なんでしょうね?


作者も全くわからない(爆)

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