初犯 『誰かが、誰かに、何かを要求する』
この小説はフィクションです。
物語上、犯罪を教唆するような言い回しなどもあるかもしれませんが、犯罪は人の人生を狂わせます。決して真似などはしないようお願いします。
わかったかい? 『犯罪』は『法』と原理は同じ。
誰かが、誰かに、何かを要求することなんだよ。
ただ、誰かに向ける要求が違うだけ。
国民が、国に、生活の保全なんかを要求するように。
犯罪者が、他人に、金を要求する。
要は、こんなもんなのさ。
これは数学の公式に過ぎないんだ。
ただ、一つの数字を変えるだけで、答えはまるっきり変わってしまう。
1×1=1。この中の数字の一つを弄れば、1×2=2となるように。
ん? 何が言いたいかわからない?
ここまで来るのに、かれこれ三十分は掛かってるんだけどね。
じゃあ、もっとわかりやすく言おうか。
自分の行動一つで、事態はまるっきりひっくり返せる。
たとえそれが、『犯罪』に繋がることであろうと。
所詮、『法』も人が創ったものに過ぎない。
そして、『犯罪』も人が創ったものだ。
だから、簡単に破れ、ぶち壊せる。
要するに、迷う必要はない。
『犯罪』という選択肢を躊躇う必要はない。
選択したければ、選択すればいい。
正しい選択も、間違った選択も、どちらも結局は苦難の道でしかない。
それなら、『犯罪』を選んだって構わないだろう?
さて、そろそろ君の答えを訊こう。
君は何を選び、何をしたい?