第3話 【3時間で538名死亡しました】
残存プレイヤー数
1462人/2000人
「…………え?」
2000人ってのが、このアホみたいなゲームに巻き込まれたプレイヤーの人数であってるよね?
じゃあ、1462人ってなに?
残存プレイヤー数…………?
538人………どうなったの?
「まだここに飛ばされて3時間もたってないのに……」
いや、もしかしたらゲームに巻き込まれたタイミングがバラバラで、もう何年も前にゲームに巻き込まれてた人が沢山居ただけかも。
それともゲームの参加者は皆病人だったとか?
そんなにすぐ死んじゃうような世界なわけないよね。
大丈夫大丈夫!
私はもう健康だし、余裕だよ。
ワォーーー……ン
狼的な動物の鳴き声かな…?
…………あんまり楽天的に考えてると危険かも。
とにかく安全な場所に行きたい。
「どうしよう…もう真っ暗でほとんど何も見えないのに。」
夜の森がこんなに怖い場所だなんて知らなかった。
風に揺れてざわめく樹々、たまに聞こえる何かの鳴き声、なにより本当に真っ暗。
星なんて木で覆われたここでは見えない。
「この暗闇のなか裸足で動いて大丈夫なのかな?」
さっき木の枝が刺ささった痛みを思い出した。
「痛いのはよくないね。歩き回るのはパス。今日はとりあえず木に登って夜を越そう。」
近くに生えていてなおかつ登りやすそうな木を探す。
「痛っ、刺さらなくても小石踏むだけで痛いよ…さっき何で飛びはねてたの私」
良さげな木を見つけたので恐る恐る近づく。
「…登れるかな?」
近づくと木はゴツゴツしてて結構痛そうだ。
痛いの嫌だけど…ここは我慢しないと539人目になっちゃいそう。
…がんばって登りますか。
「昔は木登りのゆりちゃんと呼ばれた私を舐めんなよ!…よっ、はっ、よいしょ…いてっ、うぅ…んしょ、よっこいしょ、痛たた…」
あちこち擦りむきながらも、なんとか結構な高さまで登れた。
4メートルくらいかな?
足の裏や手のひらはズタズタで血が滲んでる。
「…ふぅ。ここなら大丈夫っしょ。…あちこち痛いけど。」
とりあえず少しは安全だと思える場所にこれて落ち着けたね。
これからどうしよっかな。
超暇
「あ、そうだ【ステータスウィンドウ】」
ステータスウィンドウの持ち物の欄を開く。
■持ち物■
・ボウイナイフ×2
・毛布×1
・非常食×10
・水筒×1
・【空欄】
・【空欄】
・【空欄】
・【空欄】
・【空欄】
・【空欄】
■残りスペース6■
…………非常食も水もあったのかよ。
いや痛い思いはしたけど、非常食を温存するのは正解なような気がする。
とりあえず寒いから毛布を選択してみる。
「んあ!?」
びっくりした…
急に毛布が手の上辺りに現れた。
「落とさなくてよかったぁ…」
落としかけた毛布にくるまる。
あぁ…暖かい。
ステータスウィンドウを確認すると、持ち物の欄から毛布が消えて残りスペースが7になってる。
10種類までは持ち物の欄に入れれるって事かな?
「毛布あったかぁい。…他のモノは落としたら嫌だし朝になったら確認しよ。」
時刻は21:02まだまだ先は長いね。
…………暇だし木に登った時の怪我でも治そうかな。
これからも【ドMの癒し手】は使う機会が多いだろうし、慣れておかないとね。
「…………怪我を癒して【ドMの癒し手】」
ド ク ン !
「ひぎいいい!!!…って、うぁっ?、あぶなっ」
木から落ちる所だった。
擦り傷だったからか、木の枝が刺さった時よりは痛く無かったような気がする。
てゆか、スキル使うたびに悲鳴上げるのなんか恥ずかしいな…。
「でも綺麗に治るから結構便利なスキルだよね。なんかこのスキル好きになってきたかも。」
…………暇だなぁ。
お母さん心配してるかなぁ……。
風邪ひいて寝込んでた娘が急に居なくなったら心配するよね。
「ぐすっ…おかあさん…私まだ、ちゃんと生きてるよ………ぐすっ、がんばってるよ…」
12:43
「やばい…眠い…寝たら落ちるよね、これ…あー…【ステータスウィンドウ】」
状態は眠気、か…
どうでもいいけどさ、ねむけまなこって漢字にすると【眠気眼】だよね。
ふふっ
邪気眼みたい。
くっ私の眠気眼が発動してしまう…っ!
みんな逃げて!
…いや本当にどうでもいいよ。
このまま寝ちゃうのは不味い。
また出番だね、【ドMの癒し手】
「ちょっとは手加減してね?…………眠気を癒して【ドMの癒し手】」
ド ク ン !
「~~~~~~~~っっ!」
痛たたた!
痛いってばぁ!
「ぅぅぅ~~~~っ」
空腹とかを癒した時と同じ痛み。
それに長い……
なに?
癒すものの種類によって痛みとか長さが決まってるの?
「~~~~っ……ぅ……はぁー……終わったぁ……」
長かった……3時間くらいたった気がする…
「えっと…スキル使う前は12:45くらいだったかな?今は…【ステータスウィンドウ】」
01:28
……体感時間なげえ!
45分ぐらいしかたってないじゃん!
「いや、痛みは短い方がいいよね、うん。それに眠気はぶっ飛んだし…」
……眠気は痛みでなくなっただけじゃないよね?
今ので8時間睡眠したのと同じような効果なんだよね?
また1、2時間したら眠くなるとかじゃないよね?
大丈夫だよね?
「信じるからね?ドMの癒し手。」
……そして暇だ
1人シリトリでもして時間つぶそ。
「りんご……ごま……マントヒヒ……彦星……シマウマ……マリンバ……バニラ……ラピュタ……バルス……すずめ……メダカ……かみなり……リコーダー……ダージリンティー……いぬ……ぬいぐるみ……水……頭脳……右脳……
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……クアラルンプール……る、る、ルイズ・フランソワーズ・ルブラン・ド・ラ・ヴァリエール……る、る、る、ルーブル美術館、においてある絵画……が、が、ガイドライン、がないと何も出来ないマニュアル人間、の私……し、死亡フラグ……ぐ、ぐ、Google……る、る?また!?って、なんか明るい!何時!?【ステータスウィンドウ】!」
4:22
いやったぁ!
お母さん!私1人で異世界の夜をやり過ごせたよ!
あー…なんだろう、この達成感。
3時間も1人シリトリなんかしたの産まれて初めて。
まだちょっと薄暗いし、今のうちに空腹とか色々治しておこうかな。
「ステータス異常を癒して【ドMの癒し手】」
ド ク ン !
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「~~~~っ…………んくぅ…ぁんっ…ぁぅ……ふぅ、絶対に今回は長かった。なんか超明るいもん…【ステータスウィンドウ】」
7:52
2時間半もたってるよ…
「まぁ、いいや。……何故か痛みが終わった瞬間凄く気持ち良かった気がする…」
あ、そうだプレイヤーの皆はちゃんと夜を越せたのかな…?
見るの怖いな…
でも見ておこ…
■残存プレイヤー数■
958人/2000人
「うそぉ…?」